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文献概要
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夢の処方
著者: 橘直矢1
所属機関: 1東大麻酔学教室
ページ範囲:P.1310 - P.1311
文献購入ページに移動 中国は昔の物語。鄲邯なる地に一軒の茶屋があり,ある日ひとりの道士が休んでいた。そこへ旅の若者がやつて来た。名は盧生,彼は雄飛の心やみがたく都へ上つての立身を思い立つての旅路であつた。鄲邯で憩をとった青年盧生は道士の枕をかりて横になるうちにいっしか眠り込んでしまった。彼はここで都に行つた自分が立身出世して栄耀栄華をきわめた夢をみる。ふとめざめた盧生は気づく……先程この店で火にかけてあつた黄粱の粥はまだ炊き上るか炊き上らぬかであることを……あの出世あの栄華はこの短いつかの間のことであつた……。黄粱の炊き上る迄のこのつかの間のこと! これは有名な黄粱一炊の夢のお話である。
夢には心の奥底が顔を出すという。栄華を瞳れた青年盧生の心はつかのまのまどろみにも顔を現した。が,あはれ,それは黄粱一炊の間であつた。この物語はいくらのかの教訓を含んでいる。古典のまますなおに受けとろうと,現代的に逆説的に受けとろうと勝手であるが。
夢には心の奥底が顔を出すという。栄華を瞳れた青年盧生の心はつかのまのまどろみにも顔を現した。が,あはれ,それは黄粱一炊の間であつた。この物語はいくらのかの教訓を含んでいる。古典のまますなおに受けとろうと,現代的に逆説的に受けとろうと勝手であるが。
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