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〈神経心理学コレクション〉チャールズ・ベル 表情を解剖する
著者: 長野敬1
所属機関: 1自治医大
ページ範囲:P.1716 - P.1716
文献購入ページに移動 コンラード・ロレンツ(Konrad Lorenz)の系譜に連なる行動学者アイブル=アイベスフェルト(Ireneus Eible-Eibesfeld)は,最近翻訳の出た『ヒューマン・エソロジー』(日高敏隆,他 監訳,ミネルヴァ書房,原著は1984年)に,日本人にとりわけ興味の深い写真をのせている.歌舞伎役者が笑い,怒り,悲しみなどの典型的な表情をしているのを撮った一連のポートレートである.彼はこれらの写真を世界各地の人々に示して,表情が何を意味しているかを推定させたのだ.
日本人による正答が高いことは当然予期されるが,喜びの表情については,歌舞伎に特有の誇張された隈取りと様式化された表出にもかかわらず,外国の被検者も相当の率で正しい答を出している.ところがそれ以外の場合には,例えば,驚きを恐れと解釈するというような相互乗り入れ的な食い違いが,かなり多く見られる.ただしこの結果も,ある見方から整理すれば割合にすっきり要約できそうだ.すなわち心と表情の関係を,期待と状況の合致を意味する喜びの顔(ポジティブ)と,不一致に基づくその他の表情(ネガティブ)にふるい分ければ,正答率は格段に高くなるだろう(この著者自身は,そうした整理を行なっていないが).
日本人による正答が高いことは当然予期されるが,喜びの表情については,歌舞伎に特有の誇張された隈取りと様式化された表出にもかかわらず,外国の被検者も相当の率で正しい答を出している.ところがそれ以外の場合には,例えば,驚きを恐れと解釈するというような相互乗り入れ的な食い違いが,かなり多く見られる.ただしこの結果も,ある見方から整理すれば割合にすっきり要約できそうだ.すなわち心と表情の関係を,期待と状況の合致を意味する喜びの顔(ポジティブ)と,不一致に基づくその他の表情(ネガティブ)にふるい分ければ,正答率は格段に高くなるだろう(この著者自身は,そうした整理を行なっていないが).
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