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雑誌目次

雑誌文献

medicina40巻12号

2003年11月発行

雑誌目次

医療人として必要な基本姿勢・態度 患者―医師関係

医師としての心がまえと態度

著者: 津田司

ページ範囲:P.10 - P.13

達成目標

・患者は健康と生命を医師に任せられることを望んでいる.この要望に応えるために,われわれはプロとして標準的な医療やケアを提供し,生命を尊重する義務がある.

患者・家族のニーズ(身体・心理・社会的側面)の把握

著者: 大西弘高

ページ範囲:P.14 - P.16

達成目標

・生物医学的側面と心理社会的側面のバランスを重視しながら患者の問題点を探るとともに,治療や患者教育の際にもあらためて患者の心理社会的側面に目を向ける習慣をつける.

・患者や家族のニーズが自分にとって複雑,過剰であると直感しても,他の医療者と協力して常に正面から取り組もうとする態度を身につける.

・患者との関係性が深まりつつあるとき,患者-医師間の距離や関係が治療の妨げにならないかどうかを判断する習慣をつける.

インフォームド・コンセント

著者: 長谷川修

ページ範囲:P.18 - P.19

達成目標

・患者の自己決定と権利を尊重する,患者中心の医療を理解する.

・医療行為を行う際の説明と記録の大切さを知る.

・EBMと併せて,患者一人ひとりのオーダーメイド医療が必要であることを知る.

守秘義務とプライバシーへの配慮

著者: 田邉昇

ページ範囲:P.20 - P.25

達成目標

・患者のプライバシー権の範囲について理解する.患者のプライバシーがどのような法律で保護されているか一応は理解しておく.しかし,法律より患者の生命身体のために頭が働き,手が動くことがずっと大切である.

・患者の個人情報について,自分の医療機関でどのように管理されているか理解する.

・患者のプライバシーについて各機関から照会などがあった場合に,どのような機関から照会があるのか,その場合にどのような範囲で回答すれば良いかを理解する.

チーム医療

医療従事者間の適切なコミュニケーション

著者: 松村理司

ページ範囲:P.26 - P.28

達成目標

・きちんとした症例呈示の能力を身につける.あくまで病歴や身体所見を中心に臨床像を浮かび上がらせ,それに問題点を織り込む.諳じてしゃべる訓練は欠かせない.

・コミュニケーションの場や相手はさまざまであるから,適切な緩急自在さがいる.

・初期研修医であっても,チーム医療のリーダーになることがあるという自覚を忘れない.丁寧さと笑顔を絶やさない.

問題解決能力

診療上の疑問をもとにした自己学習法の習得―EBMの実践

著者: 船越樹 ,   名郷直樹

ページ範囲:P.30 - P.33

達成目標

・EBMの5つのステップを覚え,ツールとして気軽に使用できる.

・疑問をPECOで定式化できる.

・二次資料の使い方に慣れ,無理せず情報収集できる.

・空いた時間で可能な限り患者と話をし,できる限りの診察をしたうえで,得た情報を利用できる.

問題解決における臨床疫学の基礎知識

著者: 野口善令

ページ範囲:P.34 - P.37

達成目標

・仮説演繹法の思考プロセスに従って診断推論ができる.

・問題点に対し,鑑別すべき疾患の診断仮説のリストを作成する.

・病歴や身体所見から得られる情報により診断仮説の可能性(検査前確率)を推定する.

・検査結果と診断仮説を照らし合わせて評価し,仮説の確からしさの可能性を修正し,診断仮説を確定,または除外する.

安全管理

リスクマネジメント―医療事故防止,事故後の対処法

著者: 鈴木荘太郎 ,   藤田茂

ページ範囲:P.38 - P.41

達成目標

・医師法・医療法・医療保険法などの関連法規を理解する.

・担当する診断のガイドライン・クリニカルパスを習熟する.

・検査や治療時に予測しうる合併症や副作用を事前・事後に患者・家族に説明する.

・最悪の事態(心肺停止・出血など)への対応(呼吸・循環管理,補液,薬物投与)を学ぶ.

・迅速に診療記録を作成し,患者情報の守秘に従い管理する.

院内感染への取り組み

著者: 遠藤和郎

ページ範囲:P.42 - P.44

達成目標

・標準予防策と感染経路別予防策を適用できる(日常業務に際して,当たり前に取り入れることができなければならない).

・自分の健康管理ができる(必須のワクチン接種を研修開始前に済ませておく).

・針刺し防止装置つき器具の組織的導入.

症例呈示

プレゼンテーションのしかた

著者: 高田和生

ページ範囲:P.45 - P.47

達成目標

・聞き手側の限界を認識し,明確で,1回で容易に理解しやすい簡潔なプレゼンテーションのしかたを習得する.

・「必要十分な情報」,つまり聞き手が鑑別診断リストを構築し,それらのprobabilityを吟味するのに有用な情報を順序良く伝えることができるプレゼンテーションのしかたを学ぶ.

医療の社会性

保険医療法規・制度の理解

著者: 広井良典

ページ範囲:P.48 - P.49

達成目標

・公的医療保険の存在理由について理解する.

・日本の医療保険制度の基本的骨格を理解する.

公的医療保険の理解

著者: 広井良典

ページ範囲:P.50 - P.52

達成目標

・公的医療保険がカバーする範囲について理解する.

・診療報酬とその基本的課題について理解する.

医の倫理,生命倫理の理解

著者: 浅井篤

ページ範囲:P.54 - P.56

達成目標

・医療を受ける人々の利益を最優先し患者の人権を擁護するために,医療専門職としての義務を十分認識し,適切な倫理的・法的・社会的判断ができる.

・受け持ち患者のケアにおける倫理的問題を認識でき,他の医療者と話し合うことができる.そして,関係者間の価値観や倫理観の葛藤に冷静に対処することができる.

経験すべき診察法・検査・手技 医療面接

コミュニケーション・スキル

著者: 松村真司

ページ範囲:P.58 - P.60

達成目標

・患者中心のコミュニケーションにおける3つの主要な基本技法(診療の重要事項を整理する,患者の解釈モデルを引き出す,当面の診療方針に関して合意に達する)を理解する.

・入院および外来3名の実際の患者の診療においてコミュニケーションの指導を受けながら実践し,指導医のフィードバックを受ける.

・20名の患者の初診外来に従事し,患者中心のコミュニケーションを実践する.

問題解決のための病歴のとり方(動的情報収集)

著者: 井村洋

ページ範囲:P.61 - P.63

達成目標

・病歴を問題解決の道具として使用することを認識する.

・病歴聴取の序盤は,主訴を探りながら訴えを関く.

・主訴と周辺状況の情報を用いて問題の核になるストーリーを作る.

・病歴をまとめる際に,成因についての仮説(鑑別)を挙げてみる.

・仮説(鑑別)の妥当性を吟味するためにclosed questionを利用する.

患者との情報の共有と今後の計画についての話し合い

著者: 向原圭

ページ範囲:P.64 - P.67

達成目標

・患者のニーズに合わせて,情報を共有する.

・患者の自己決定権を尊重しながら,今後の計画について話し合う.

基本的な身体診察法

全身の観察

著者: 谷口純一

ページ範囲:P.68 - P.78

達成目標

・全身状態を観察し,評価し,表現する習慣を身につける.

・全身状態のチェック項目を素早く観察し,重症度の評価ができる.

・病歴と全身状態と身体診察との相互の一致やズレを検討できる.

・高齢者など特殊な患者での全身状態のズレに気を配れる.

・全身状態の各チェック項目を述べることができる.

・全身状態の各チェック項目の異常を正確に認識できる.

・全身状態を記録し,プレゼンテーションできる.

バイタルサイン

著者: 谷口純一

ページ範囲:P.80 - P.85

達成目標

・バイタルサインを測定し,評価し,表現する習慣を身につける.

・バイタルサインのチェック項目を素早く観察し,重症度の評価ができる.

・病歴と全身状態とバイタルサインとの相互の一致やズレを検討できる.

・高齢者など特殊な患者でのバイタルサインの特性を述べることができる.

・バイタルサインの各チェック項目を述べることができる.

・バイタルサインの各チェック項目の異常を認識できる.

・バイタルサインの異常に対し適切な行動がとれる.

・バイタルサインを記録しプレゼンテーションできる.

頭頸部の診察

著者: 西澤宗子

ページ範囲:P.86 - P.91

達成目標

・頭頸部には狭い範囲に種々の臓器が存在するため,診察方法も種類が多い.一通りを通して訓練するよりも,一つひとつの診察方法をマスターすることを目標にするとよい.以下に,ここでマスターしておきたい項目を挙げる.

 ①顔面・頭部の視診・触診,②口腔内の視診,③眼底鏡,④耳鼻鏡,⑤頸静脈の診察方法,⑥甲状腺の診察方法.

胸部診察

著者: 宮城征四郎

ページ範囲:P.92 - P.95

達成目標

・詳しい胸部身体所見を取ることで,医師-患者間のより深い信頼関係を構築する.

・身体所見から,急性呼吸不全のタイプ,重症度の程度を推し量ることができる.

・身体所見を詳細に取ることにより,呼吸機能障害のタイプとその重症度がわかる.

・身体所見による臨床判断から,失見当識的臨床検査の濫用を避けることができる.

心血管系の診察

著者: 道場信孝

ページ範囲:P.96 - P.102

達成目標

・心血管系の形態と機能を十分に理解する.

・身体所見は全身所見と心血管系について系統的に評価する.

・所見は視診,触診,聴診の順で行い,視診は内頸静脈,前胸壁,触診は総頸動脈,前胸壁,下肢動脈,そして聴診は総頸動脈,前胸壁,下肢動脈について評価する.

・それぞれの所見を正確に記述できるようにする.

腹部の診察(直腸診含む)

著者: 小田康友 ,   小泉俊三

ページ範囲:P.104 - P.109

達成目標

・腹部の視診,聴診,打診,触診に関し,正しい手技で診察でき,所見を評価できる.

・腹膜刺激症状の有無を評価することができる.

・直腸診の適応を正しく判断でき,正しく診察して病変の性状を表現できる.

・急性腹症に際し,患者の状態に配慮しつつ病態を推測するための情報を適切に収集できる.

婦人科系診察

著者: 瀬藤江里 ,   宇田川康博

ページ範囲:P.110 - P.116

達成目標

・乳癌の視診・触診による発見率は検診者の約0.1%と低いが,そのうち50~60%は早期癌である.熟練医師ですら乳癌の触診による診断精度は60~70%であるため,触診のみによる確定診断は難しいが,基本的な視・触診によるスクリーニングをマスターすることは必須事項である.

・一次検診で異常が疑われた場合,マンモグラフィ,超音波,穿刺細胞診などの検査も併せて行い,総合的に判断することが大切である.

泌尿・生殖器の診察

著者: 乾政志 ,   筧善行

ページ範囲:P.117 - P.121

達成目標

・腹部診察により,尿路由来の異常所見を鑑別できる.

・男性生殖器および女性外陰部の異常所見がわかる.

・鼠径部腫瘤の鑑別,陰囊内腫瘤の鑑別診断ができる.

・直腸指診にて前立腺の触診所見がとれる.

骨・関節・筋肉系の診察

著者: 紺野愼一

ページ範囲:P.122 - P.128

達成目標

・第一の目標は,重篤な疾患を除外できるようになることである.

・第二の目標は,痛みがどこからきているのかを推定できるようになることである.例えば,腰痛であれば,痛みが腰椎由来か股関節由来かを鑑別できるようになること,肩痛であれば,痛みが頸椎由来か肩関節由来かを鑑別できるようになることである.

神経学的診察

著者: 星野晴彦 ,   高木誠

ページ範囲:P.129 - P.135

達成目標

・神経学的診察として,各神経系を系統だって診察できること.

・各神経系の機能を理解し,所見の異常を解釈できること.

・神経学的所見から部位診断ができること.

小児の診察

著者: 富松宏文

ページ範囲:P.136 - P.144

達成目標

・正常小児の発育発達の過程を知る.特に乳幼児の発達のマイルストーン(里程)を知る.

・緊急処置を必要とする疾患を知り,その診断が正確に行うことができる(腸重積,痙攣重積,髄膜炎,喘息発作,喉頭炎,無酸素発作,高度脱水など).

・小児の一般的な疾患の診断と治療ができる〔上気道炎,肺炎,尿路感染症,胃腸炎,発疹を伴うウイルス感染(突発性発疹,麻疹,水痘,風疹,手足口病,伝染性紅斑など)〕.

精神面の診察

著者: 宮岡等

ページ範囲:P.145 - P.149

達成目標

・医療コミュニケーション技術を身につける.

・主な精神症状について説明できる.

・精神現在症を記載できる.

基本的な臨床検査と画像診断法

尿検査(一般検査,沈さ)

著者: 矢内充

ページ範囲:P.150 - P.157

達成目標

・尿一般検査の適応と採尿の一般的注意を述べることができる.

・Dip and read 方式の試験紙法による尿一般検査を正しく実施し,得られた結果を解釈することができる.また,偽陽性・偽陰性をきたす病態についても説明することができる.

・尿沈さ検査の適応を判断し,主な沈さ(赤血球,白血球,顆粒円柱など)を観察し,結果を解釈することができる.

便検査

著者: 伊藤機一 ,   木庭敏和 ,   加島準子

ページ範囲:P.158 - P.166

達成目標

【便潜血検査】

・便潜血検査には化学法と免疫法があり,それぞれに長所・短所があることを知っておく.

・決められたとおりに便採取を行わないと正しい結果が得られないことを理解し,被検者に説明できる.

・免疫法陽性イコール大腸癌の疑いとする短絡的考えをしない.

【寄生虫検査】

・主要寄生虫感染症の症状をよく把握しておく.

・海外渡航歴,飲食歴などの問診の重要性を理解し,実行できる.

・地域的流行もあり,保健所など行政との連絡が必要な場合があることを視野に入れておく.

末梢血検査(血算,白血球分画,末梢血液像)

著者: 川合陽子

ページ範囲:P.168 - P.175

達成目標

・末梢血検査は採血などのサンプリングの影響を受けやすいこと,測定結果は施設・機種によって若干異なることなど,血液検査の基本的特徴を習熟する.

・末梢血検査は健康診断でも施行される基本的検査であり,末梢血の結果から骨髄検査などの精査に進む診断の進め方を習得する.

・血液専門医にコンサルトするタイミングとポイントを習得する.

心電図

著者: 原武史 ,   山科章

ページ範囲:P.176 - P.186

達成目標

(安静時12誘導心電図)

・心電計の標準的な設定ができ,各誘導の位置,意義を理解している.また必要に応じ心電計の設定,誘導を変更できる.

・各種雑音への対策,除去方法を知っており,判読に値するようなきれいな記録がとれる.

・心電図波形を理解し,系統的な心電図判読ができる.また異常所見から病的意義を理解し,鑑別すべき疾患を挙げられる.

(負荷心電図)

・負荷検査の目的・適応・禁忌を理解し,それぞれの患者さんの状態を把握し検査の可否を判断できる.

・機器の取り扱い,エンドポイントを理解し安全に検査が施行できる.

・検査中のアクシデントに的確な対処ができる.

・診断基準を理解し診断,追加検査ができる.

動脈血ガス分析

著者: 松尾収二

ページ範囲:P.188 - P.193

達成目標

・自ら動脈血ガス分析ができる.

・誤ったサンプリングや測定が検査データに影響することを理解し,適切な方法で採血や測定ができる.

・血液ガス分析結果から呼吸機能(ガス交換能)と酸塩基平衡状態を速やかに判断し,速やかに治療に結びつけることができる.

凝固・線溶系検査

著者: 村上直己

ページ範囲:P.194 - P.197

達成目標

・凝固・線溶系が血小板・血管系とともに止血機構で果たしている役割を把握する.

・凝固系(外因系・内因系),線溶系にかかわる各凝固・線溶因子について理解する.

・出血素因に対する凝固系スクリーニング検査を含めた検査の進め方を理解する.

・凝固・線溶検系検査からDICの診断ができる.

電解質検査

著者: 北川渡 ,   今井裕一

ページ範囲:P.198 - P.202

達成目標

・細胞内外での電解質の分布を理解し,電解質異常の機序を推察できる.

・それぞれの電解質のイン・アウトを測定し,病態を説明できる.

・電解質異常の進行速度と症状の有無に注目し,急速進行性あるいは症状のある場合には,早期に適切な対処ができる.

肝機能検査

著者: 柴田実

ページ範囲:P.204 - P.209

達成目標

・個々の肝機能検査の意義を理解し,目的に応じた検査を選択・指示できる.

・結果を総合的に評価し,診断,病態把握および重症度判定が行える.

・肝疾患以外で肝機能検査値が異常となる病態を除外できる.

・肝機能検査に関する国内外のガイドラインを理解する.

その他の血液生化学検査

著者: 高木康

ページ範囲:P.210 - P.214

達成目標

・血液生化学の緊急検査項目について,検査の目的と適応を説明し,結果を解釈できる.

・検査項目の測定・解釈でのピットフォールを列挙できる.

・生化学検査の適切なサンプリングができる.

血清検査(感染症関連検査)

著者: 中村良子

ページ範囲:P.216 - P.221

達成目標

・検体採取時の注意と保存法:免疫グロブリン製剤が投与されていないことを確認し採取する.採取した検体は-20℃以下に保存し,ペア血清を同時に検査する.

・検査法の選択:スクリーニング検査か確認検査か,検査の目的に合った検査法を選択する.

・抗体価の判定および検査結果の解釈:原則として急性期および回復期のペア血清で4倍以上の特異抗体の上昇があれば有意とする.ただし単一血清で診断する場合は,特異的IgMを証明する.交差反応,非特異反応による偽陽性および偽陰性が起こりうること,急性期には抗体陰性が少なくないこと,免疫能低下の場合は抗体上昇が認められないことがあるなどを理解しておく.

免疫学的検査

著者: 比留間潔

ページ範囲:P.222 - P.231

達成目標

・免疫グロブリン,補体などの重要な免疫血清検査値の読み方を習得する.

・自己免疫疾患の診断と治療に必要な自己抗体を理解する.

・リンパ球表面抗原CD3,CD4,CD8,主要な白血病の表面抗原を理解する.

・アレルギー疾患の診断に必要な検査を理解する.

・血液型検査,不規則性抗体,交差適合試験の手技と内容を理解する.

腫瘍マーカー

著者: 大倉久直

ページ範囲:P.232 - P.236

達成目標

・腫瘍マーカー検査の基本的性質,臨床での使用法,共通した問題点と限界について知る.

・主要な腫瘍マーカー(CEA,AFP,CA19-9,CA125,CA15-3,PSA,hCG)について,臨床的意義と使い方を知る.

・血清診断以外の分野での腫瘍マーカー検査の意義を理解する.

細菌学的検査(鏡検法)

著者: 安藤博彦 ,   河合良介 ,   青木眞

ページ範囲:P.237 - P.241

達成目標

・自らの手で塗抹検査(グラム染色・抗酸菌染色・メチレンブルー染色・液体標本)を実施することができる.

・塗抹検査の長所・短所を理解する.

・感染症診療に塗抹検査を利用することができる.

細菌学的検査(培養法)

著者: 津田弘之 ,   藤田芳郎 ,   青木眞

ページ範囲:P.242 - P.248

達成目標

・それぞれの検体について,適切に採取・保存することができる.

・血液培養の重要性について理解する.

・培養結果の解釈について理解する(報告された菌種がコンタミネーションなのかどうか判断できる).

肺機能検査

著者: 桑平一郎 ,   岩元徳全

ページ範囲:P.249 - P.253

達成目標

・肺機能検査のなかで最も基本となるスパイログラムとフローボリューム曲線,肺気量分画の測定方法,病態生理学的意義,結果の解釈を習得する.

・異常所見が認められた場合の診断の進め方について習得する.

髄液検査

著者: 加納崇裕 ,   亀井徹正

ページ範囲:P.254 - P.257

達成目標

・髄液検査の適応と禁忌を理解し,安全,確実に合併症なく髄液検査を施行することができる.

・検査結果について適切な評価を加え,臨床上必要な判断に役立てることができる.

骨髄検査

著者: 鈴木憲史

ページ範囲:P.258 - P.261

達成目標

・骨髄検査は痛みを伴う検査であるから,十分に適応を考慮して行う.

・細胞数算定のためのメランジュール操作やスメア標本の作製など手際よく行う必要があるので,臨床検査技師の介助を要する.

・初期研修医が達成すべきことは,1回の穿刺で確実に診断をつけるために,検査手技の習熟と検体の処理への配慮ができることである.

・染色体分析,細胞表面マーカー解析が重要である.そして将来の遺伝子解析などのために生組織で凍結保存することも大切である.

上部消化管内視鏡検査

著者: 松田浩二 ,   宮原透 ,   田尻久雄

ページ範囲:P.262 - P.266

達成目標

・上部消化管内視鏡検査の目的・適応・禁忌,上部消化管内視鏡検査用スコープおよび他の器材の使用法を把握する.

・上部消化管における鑑別疾患の把握と上部消化管内視鏡検査の円滑な実施ができる(120症例を目標とする).

・正確な内視鏡下生検ができる.

(当科における2カ月研修の場合)

大腸内視鏡検査

著者: 五十嵐正広

ページ範囲:P.268 - P.273

達成目標

・大腸内視鏡を盲腸まで挿入できる.挿入技術の基本を習得し,盲腸までの挿入が可能となるようにする.

・ポリープの診断,癌の深達度診断ができる.大腸のポリープと癌の内視鏡診断ができるようになる.特に癌の深達度診断ができるようにする.

・炎症性疾患の内視鏡診断ができる.慢性および急性の炎症性疾患の内視鏡診断ができるようにする.

頸部エコー

著者: 田端千里 ,   辻本文雄

ページ範囲:P.274 - P.280

達成目標

【頸動脈エコー】

・立体的解剖や疾病の病態生理についての知識を深める.

・超音波の物理的特性や適正な装置の条件設定を理解する.

・実際の走査方法と正常・異常超音波像を理解する.

・他の画像診断法や病理との対比を行い,より深い知識の構築を行う.

【甲状腺エコー,上皮小体(副甲状腺)エコー,唾液腺・頸部リンパ節エコー】

・立体的解剖や疾病の病態生理についての知識を深める.

・超音波の物理的特性や適正な装置の条件設定を理解する.

・実際の走査方法と正常・異常超音波像を理解する.

・他の画像診断法や病理との対比を行い,より深い知識の構築を行う.

心エコー

著者: 浅川雅子 ,   羽田勝征

ページ範囲:P.282 - P.288

達成目標

・基本的な像で位置関係を理解し,描出できる.

・正常値の理解,収縮能の評価,心膜液の有無の評価ができる.

・専門医への紹介の必要性の判断ができる.

腹部エコー

著者: 宮本幸夫

ページ範囲:P.289 - P.293

達成目標

・超音波Bモード像の基本的な原理,超音波像における充実性(solid pattern),囊胞性(cystic pattern),混合性(mixed pattern)といった表現の意味や,エコーレベル(echogenicity)の意義,超音波画像における主なアーチファクトなどを理解する.

・腹部の代表的臓器(肝,胆囊,胆道,膵,脾,腎,消化管,膀胱,前立腺,子宮,卵巣など)における正常超音波解剖に習熟する.

・諸臓器における代表的疾患の超音波像を通して,超音波診断学の基本を理解する.

・超音波検査の適応を理解し,適切な超音波検査の依頼ができるようにする.

婦人科エコー

著者: 市原三義 ,   岡井崇

ページ範囲:P.294 - P.299

達成目標

・産婦人科疾患を病態に基づき超音波所見を理解するように努め経験しなければならない.特に急性腹症を呈する産婦人科関連疾患として子宮外妊娠,卵巣腫瘍茎捻転,卵巣出血などの鑑別に超音波断層法を活用できるようにする.

・婦人科良・悪性腫瘍の初期診断として超音波断層法を活用して,診断ならびに治療計画の立案をできるようにする.

・超音波断層法の所見に基づき診療録への正確な記載をできるようにする.

胸部単純X線検査

著者: 渡辺文彦

ページ範囲:P.300 - P.304

達成目標

・胸部単純X線写真の画像の成り立ちを理解し,その弱点,限界を知る.

・見落としの少ない系統的読影法を習得する.

・日常遭遇することの多い疾患のX線像を理解する.

腹部単純X線検査

著者: 水野富一

ページ範囲:P.306 - P.311

達成目標

・腹部単純X写真の陰影の成り立ちを理解する.

・イレウスの診断ができる.

・腹腔内遊離ガスの描出法のマスターと遊離ガスの認識ができるようにする.

・単純写真で目に付きやすい石灰化のうち,臨床的に問題のないものを理解し,無意味な検査を避け,患者に余計な不安感を与えないようにする.

上部消化管X線造影

著者: 佐藤奈都子 ,   宮川国久

ページ範囲:P.312 - P.315

達成目標

・適切な適応症例を選別し,検査および前・後処置が施行できるようになる.

・撮影技術と読影が一対となった検査であることを理解し,病変の診断が確実にできるようになる.

注腸X線検査

著者: 布袋伸一 ,   杉野吉則 ,   栗林幸夫

ページ範囲:P.316 - P.321

達成目標

・大腸の腫瘍性病変と炎症性病変がどのような形態をとるのかを知り,それらがX線検査でどのように描出されるか理解してほしい.

・全大腸をくまなく二重造影として撮影するには大腸内でのバリウムの移動をいかに行うかである.そのためには大腸の立体的な解剖知識が必須である.

頭部CT

著者: 渡部恒也

ページ範囲:P.322 - P.326

達成目標

・頭部CTの基本的な特徴を理解できる.

・頭部CT検査の適応と限界を知る.

・造影検査の適応について判断ができる.

・特殊な頭部CT検査の応用と適応について理解できる.

胸部CT

著者: 井原信麿 ,   八代直文

ページ範囲:P.328 - P.331

達成目標

・胸部CTの適応と撮影方法を理解する.

・基本的な胸部CTの正常解剖を理解する.

・胸部CTでの異常所見を記載し,基本的な鑑別診断を挙げることができる.

腹部CT

著者: 坂本努

ページ範囲:P.332 - P.339

達成目標

・CT検査および造影剤の適応と限界,検査時の留意点/禁忌,CT検査の基礎原理,基本的撮像法を理解し,画像診断およびCT guided interventionへの応用ができる.

・検査に伴うデメリットが最小となり,臨床に必要な情報が最大限引き出せるような,エビデンスに基づいた検査の実施と臨床へのフィードバックができる.

頭部MRI

著者: 上村昭博 ,   大内敏宏

ページ範囲:P.340 - P.344

達成目標

・MRIの適応および禁忌を知り,適切な頭部MRIオーダーができるようになる.

・正常解剖ならびに脳梗塞などの日常臨床で比較的よく遭遇する重要疾患の基本的所見について学習し,画像診断レポートの内容を実際のMRI画像を参照しながら的確に理解できるようになる.

核医学検査

著者: 鈴木豊

ページ範囲:P.346 - P.349

達成目標

・各検査の適応を理解する.

・各検査の原理,方法を理解する.

・検査の実際,前処置,禁忌についての知識を習得する.

神経生理学的検査(筋電図,脳波など)

著者: 大熊壮尚 ,   北川泰久

ページ範囲:P.350 - P.356

達成目標

・日常臨床における筋電図検査および脳波検査などの神経生理学的検査の具体的方法を把握すること.

・各検査結果を正確に判断し,臨床診断・治療に役立てられるようになること.

基本的手技

気道確保

著者: 当麻美樹

ページ範囲:P.357 - P.362

達成目標

・気道確保を必要とする病態を認識できる.

・気道確保の種類を理解し,それを確実に行うことができる.

人工呼吸

著者: 原義明 ,   益子邦洋

ページ範囲:P.363 - P.367

達成目標

・医師が人工呼吸についての知識や技術を要求される場面はなにも救急外来ばかりではない.病院内での患者の急変時や,外出先で救急患者に遭遇した場合,医師として治療にあたる必要がある.また一般市民,特定の団体に心肺蘇生法教育を行う機会があるかもしれない.病院内ではさまざまな医療器材を駆使することや医療スタッフの協力を得ることも可能ではあるが,病院外(プレホスピタル)においてはすべてを1人で行うことになる.そのため医師は,医療器材のある場合とない場合のいずれの場面においても人工呼吸が正しく行えるように知識と技術を備えなければならない.

心マッサージ

著者: 坪井英之

ページ範囲:P.370 - P.373

達成目標

・心マッサージが必要かどうかの判断が瞬時にできること.

・心マッサージが必要と判断したら,時を移さず効果的な(脳循環が十分保てる)心マッサージが施行できること.

・心マッサージ施行中にその効果を評価できること.

・心マッサージを施行しながら各種の臨床情報を集め,そこから心肺停止に至った原因を推察できること.

・上記の推察した原因を確定するための検査(心エコー,CT,CAGなど),および次段階のACLSの手段(IABP,PCPS,心血管インターベンションなど)を指示できること.

除細動

著者: 中村朋子

ページ範囲:P.374 - P.379

達成目標

・心室細動は突然出現する致死的な不整脈であり,心肺停止に陥る超緊急の状態であることを理解する.

・直流通電によって心室細動を停止させる治療を除細動と呼び,脳損傷が生じるまでの数分以内に施行できるかが,蘇生の重要な鍵となることを理解する.

・患者にとって効果的に,医療スタッフにとって安全に除細動を施行する方法を知る.

気管挿管

著者: 太田祥一 ,   須田高之

ページ範囲:P.380 - P.383

達成目標

・下顎挙上法,バッグバルブマスクによる換気に習熟する.

・必要な器材を自分で準備できるようにする.

・安全で確実な気管挿管ができる.

圧迫止血法

著者: 鈴木篤

ページ範囲:P.384 - P.388

達成目標

・血管造影など動脈を穿刺する検査・モニター後の圧迫止血を,自力で確実に行える.

・指導医の行う観血的なベッドサイド処置の助手として,圧迫止血の役割を行える.出血に対する緊急処置と指導医の指示を,理解し実行できる.

・救急の場での出血への初期対応として,一次的圧迫止血術が行える.同時に,指導医や外科医による永久止血につなぐまでの,対応や段取りができる.

注射法,点滴の感染管理,採血法

著者: 菊池隆秀

ページ範囲:P.389 - P.393

達成目標

・注射・採血は初期研修医の修得すべき最も基本的かつ,重要な手技である.

・手技には器用,不器用があるが,ある程度のレベルまではだれでも到達可能であり,最も重要なことはとにかく回数をこなすことである.

穿刺法(腰椎,胸腔,腹腔)

著者: 田中江里 ,   相澤信行

ページ範囲:P.394 - P.398

達成目標

・腰椎・胸腔・腹腔穿刺の3つの技術は臨床で最も頻繁に用いられる基本手技であり,安全に確実に行うことができ,さらに検体をどういう検査に提出し,その結果をどう解釈するかまで習得する.

導尿法

著者: 池永昌之

ページ範囲:P.399 - P.403

達成目標

・導尿,膀胱留置カテーテル,膀胱穿刺が適応となる病態を理解し,その処置の目的を述べることができる.また,患者と家族に対して処置の目的と方法を十分に説明し,協力を得る能力を身につける.

・処置に伴う合併症の予防方法を理解し,漠然としたカテーテルの留置は避け,可能な限り早期の抜去を図ることができる.

ドレーン・チューブ類の管理

著者: 渡部和巨

ページ範囲:P.404 - P.411

達成目標

・ドレーン,チューブを考えるとき,それを留置,挿入すべきかどうか,いつ挿入するか,どのような種類を選択すべきか,そしていつ抜去するかといった判断,すなわちsurgical decision makingが最も大切であり,初期研修から後期研修そしてstaff surgeonになってもいつも考え続けなければならないということを初期研修で感じとることが肝要である.したがって上級医師との相談なしで処置を行う場面はなく,その都度判断の理由を聞いて習得することが大切である.ドレーン,チューブを管理する過程で,そこからいかに多くの情報を得,それを基に適切なケアを行えるかが達成目標となる.

胃管の挿入と管理

著者: 髙橋邦康

ページ範囲:P.412 - P.416

達成目標

・胃管挿入の適応,リスクおよび合併症について判断できる.

・リスクの低い患者においては単独で経鼻もしくは経口で確実に胃管を挿入し,その後の管理を行うことができる.

局所麻酔法

著者: 鈴木篤

ページ範囲:P.418 - P.422

達成目標

・穿刺・観血的処置・小外傷などにおける局所浸潤麻酔が,自力で行える.局所麻酔薬の選択と効果的使用法,局所麻酔薬中毒などの副作用への対処を心得ている.

・年齢・全身状態・精神状態・基礎疾患や,創部など局所の状態で,局所浸潤麻酔の適否についての判断(またはコンサルト)ができる.

・伝達麻酔のうち,指導医のもとで,指の伝達麻酔を経験する.

・硬膜外カテーテルの挿入法を見学し,ベッドサイドで薬物注入(間歇・持続)ができる.

創部消毒とガーゼ交換,包帯法

著者: 池永誠 ,   田所文彦 ,   西八嗣

ページ範囲:P.423 - P.427

達成目標

・創部消毒やガーゼ交換,包帯法など創傷処置の基本として,少なくとも以下の2点について理解が必要である.

 (1)創部の観察:創傷の原因,部位,大きさ,深さや形状(瘻孔形成など),組織の種類(皮膚なのか粘膜なのか)や損傷の程度,汚染や感染の有無,異物の存在など創の状態をよく把握すること.

 (2)自然治癒力を阻害しない治療:創傷は,その治癒を阻害する因子がなければ自然に治癒するものである.したがって,不適当な消毒で自然治癒力を阻害しないように注意し,十分な創部の洗浄を行うことで治癒を阻害する因子を除くことが大切である.

簡単な切開,排膿

著者: 嶋田元 ,   柵瀨信太郎

ページ範囲:P.428 - P.431

達成目標

・膿瘍は日常臨床で頻繁に遭遇する病態である.

・適応と禁忌,起こりうる合併症を十分理解し,正しい手順と手技を習得する.

・膿瘍の発生部位や患者の併存疾患,内服薬などによっては炎症性変化が現れにくい場合があるため注意が必要である.

皮膚縫合法

著者: 濱砂一光

ページ範囲:P.432 - P.436

達成目標

・縫合すべき創かどうか見分けることができる.

・適切な縫合ができる.

軽度の外傷・熱傷の処置

著者: 笹壁弘嗣

ページ範囲:P.438 - P.443

達成目標

・病歴を聴取し,正しく創傷を評価し,高圧洗浄や外科的デブリドマンなどの適切な初期治療を行い,一次縫合するか開放療法にするかを決定できる.

・外来で治療が可能な熱傷の程度を知り,第2度以上には抗菌薬入りの外用薬を適切に使い,感染を予防し湿潤環境を保つことができる.

・破傷風の予防処置の適応を知り,実施できる.

呼吸管理の基本

著者: 亀井雅 ,   宮脇裕史 ,   上田裕 ,   藤田次郎

ページ範囲:P.444 - P.447

達成目標

・呼吸不全の重症度の正確な評価法(胸鎖乳突筋肉の著しい可動性,Hoover兆候,奇異性呼吸などの理学所見,意識レベル,バイタルサイン,血液ガスなど)を身につける.

・酸素療法の基本を習得して,病態に合わせた酸素投与法,付随する抗生物質,気管支拡張薬,利尿薬,ステロイド療法,電解質補正などに習熟し,人工呼吸法の適応を理解する.

褥瘡の予防と処置

著者: 大桑麻由美 ,   真田弘美

ページ範囲:P.448 - P.456

達成目標

・褥瘡発生リスクを判断し,必要な対策を選択することができる(褥瘡は予防が第一である.褥瘡発生リスクには,局所的な要因と,全身的な要因があり,患者個々のリスクアセスメントを行い,個々に応じた対策を講じる必要がある).

・褥瘡の治癒過程を理解し,適切な局所療法を選択することができる(発生した褥瘡が,いずれの治癒過程にあるのか判断し,局所療法を選択する必要がある.不適切な選択により,褥瘡の治癒を妨げることがある).

基本的治療法と予防方法

療養指導

著者: 岡田隆 ,   川村孝

ページ範囲:P.457 - P.459

達成目標

・根拠となるエビデンスを知っていること.

・相手の状況を把握し,効果的な対話ができること.

・支援体制を作ること.

薬物作用機構の理解,薬物療法,副作用,相互作用

著者: 越前宏俊

ページ範囲:P.460 - P.462

達成目標

・薬物投与量と薬物効果・副作用に薬物動態の個人差が関係することを理解する.

・薬物副作用のうち予測可能なものについて回避法を述べることができる.

・薬物相互作用の機序について述べることができる.

抗菌薬投与の基本

著者: 武田裕子

ページ範囲:P.464 - P.467

達成目標

・抗菌薬を使用する際にその理由が説明できる.

・患者の背景・病態・身体所見・検査データから起因菌を推測できる.

・患者の状態に応じて抗菌薬を選択し,適切な投与経路・投与量・投与間隔・投与期間を設定できる.

抗癌剤投与の基本

著者: 佐々木純

ページ範囲:P.468 - P.471

達成目標

・抗癌剤の適正使用ができるか.

・抗癌剤の副作用に対して正確かつ迅速に対応できるか.

予防接種

著者: 砂川富正 ,   藤井史敏 ,   藤岡雅司 ,   奥野良信 ,   安井良則

ページ範囲:P.472 - P.475

達成目標

・ワクチン予防可能疾患という病気のカテゴリーがあることを知る.

 ①ワクチンにより守られるべき命が世界的にも国内的にも多いこと,②個々の対象者における予防接種の予定を積極的に作っていく必要性を知る.

・ワクチンに関する一般的な知識を獲得する.特に予防接種の基本的な手技およびアナフィラキシーへの対応方法を知る.

輸液の投与法と管理方法

著者: 友成治夫

ページ範囲:P.476 - P.480

達成目標

・輸液製剤の選択と投与量の決定ができる.

・輸液の継続,中止の時期が判断できる.

・安全,確実なルートの確保ができる.

輸血の理解・実施

著者: 石田明 ,   半田誠

ページ範囲:P.481 - P.484

達成目標

・輸血の考え方を十分理解し,個々の患者に対して必要性とリスクを説明できること.

・各血液製剤の特徴と使用法を正確に把握し,輸血の適応と各製剤の投与方法を習得すること.

・主な輸血関連合併症とその対応策について実践的な知識を身につけること.

医療記録

POSに従った診療録記載

著者: 伊藤澄信

ページ範囲:P.485 - P.489

達成目標

・専門化が進めば進むほど,全人的視点からの問題把握が重要になっている.患者の問題点を見落とさずリストアップし,問題リストに基づき必要十分な鑑別診断と対応ができるようにする.

・医療チームが患者の問題を包括的に把握し,問題の重要度を考慮しながら,見落としなく診療を進めていけるようなPOMRが書けるようにする.

処方箋,指示箋の作成

著者: 草深裕光

ページ範囲:P.490 - P.493

達成目標

・処方,指示の記載ルールを知り遵守する.

・他の医療スタッフが正しく認識できる処方箋,指示箋を作成する.

・誰が,いつ,何を,どのように,いつまでを明確に記載する.

・処方,指示の実施にあたり他職種と十分コミュニケートする.

診断書,死亡診断書等の作成

著者: 長谷川昭

ページ範囲:P.494 - P.496

達成目標

・死亡診断書が書式に則って確実に記載できること.

・社会保障制度(身体障害者手帳の交付,介護保険制度の利用など)や助成制度(難病治療のための特定疾患の認定申請など)による援助が,疾患に応じて適切に受けられるように必要な知識をもつこと.

・通常の診断書に必要な事項をもれなく記載できること.

紹介状および返事の作成

著者: 鄭東孝

ページ範囲:P.497 - P.501

達成目標

・二次医療機関に紹介が必要な一次救急患者の紹介状を,適切なタイミングで要領よく作成できる.

・入院中担当した患者を元の主治医に戻す際の経過報告書を作成できる.

・在宅医療の導入など特別なケアが必要となった入院患者の診療情報提供書を作成できる.

・担当患者の情報交換においてreferralとconsultationの違いを理解できる.

診療計画

入院診療計画の作成

著者: 並木温 ,   中野弘一

ページ範囲:P.502 - P.505

達成目標

・入院にあたって得られたすべての情報を明らかとし,患者の意向を十分にふまえながら入院診療計画を作成して患者によく説明することができる.

・入院診療計画を,保健・医療・福祉の各側面にも配慮して作成することができる.

・医師,看護師をはじめとした関係職種が協同して総合的な入院診療計画を策定することができる.

・入院診療計画を作成することにより,医療チームにおいても情報を共有することができる.

診療ガイドラインの使い方

著者: 渡辺嘉郎 ,   代田浩之

ページ範囲:P.506 - P.508

達成目標

・日々の臨床においてEBMを実践するうえでは根拠に基づく診療ガイドラインを選択し,活用する.

・すべての患者に診療ガイドラインが適用されるわけではなく,患者の状況に合うかどうか検討しなければならない.

・達成目標へ到達すべく努力するが,当然,個々の患者の状況に合わせて判断すべきである.

クリニカルパス

著者: 田口淳一

ページ範囲:P.509 - P.511

達成目標

・クリニカルパスの目的を理解すること.

・個々のパスにおける,バリアンス評価ができること.

・個々のパスを改良するにはどうするのか考える癖をつけること.

入退院の適応

著者: 井田雅祥

ページ範囲:P.512 - P.514

達成目標

・入院の必要な病態,検査,治療について理解し,入院の適応を判断できる.

・入院時の手続きを身につける.入院の目的,患者情報,説明と同意などを診療録に明記できる.

・退院に必要な病態のレベルを理解する.

・患者・家族への退院時指導,環境調整,退院後の療養計画を立て,総合的に時期を判断できる.

・医療ソーシャルワーカー(MSW)の役割を知る.

救急医療 救急医療の基本

急性疾患に対する心がまえ

著者: 林寛之

ページ範囲:P.516 - P.519

達成目標

・重症患者は必ずしも救急車で来院するとは限らない.

・目の前の異常所見に飛びつかない.常にABC>Dが優先.

・夜間救急は怒ったらマケ.夜間ほど重症が多い.

トリアージの実際:重症度・緊急度の把握

著者: 林寛之

ページ範囲:P.520 - P.523

達成目標

・自分の力量を知り,advanced triage ができるようになるべし.

・すべての患者にABCDアプローチを忘れない.

・重篤サインのキーワードに強くなる.

・常に待合室の患者を見渡すべし.

救命救急処置の実際(BLSとALS)

著者: 長尾建 ,   渡辺和宏

ページ範囲:P.524 - P.528

達成目標

・CPRのBLS,除細動,およびALSは初期研修医が完全に習得しなくてはならない必須処置である.最近,わが国でもこのCPRに関するトレーニングコースが救急医学会を中心に開催されている.ぜひ,参加して完全にマスターしてほしい.

外傷患者への初期対応法

著者: 武田多一

ページ範囲:P.530 - P.537

達成目標

・外傷患者に対する初期診療の手順を理解する.

・見掛けの外傷にとらわれず,救命処置を優先させるべき場合の対応法を知る.

・全身外傷を見落としなく把握し,適切に対応すべきことを認識する.

災害時の救急医療体制の理解と自己の役割の把握

著者: 辺見弘

ページ範囲:P.538 - P.540

達成目標

・防災全体からみると医療の占める割合は多くはない.しかし,国民の命に直接かかわり優先度は高い.災害医療は医療人としての危機管理である.トリアージの目的と方法を実践できるようにし,項立てしたものについても理解を深める.

緊急を要する症状・病態への対応

心肺停止

著者: 木村雅英

ページ範囲:P.541 - P.544

達成目標

・心肺停止の種類を理解し,的確に診断し適切に対応する.

・ACLS(primary ABCD survey とsecondary ABCD survey)を理解し実施する.

 心停止および呼吸停止を的確に診断する/状況に応じ適切な気道確保を用手的に実施する/バッグマスクによる徒手換気を実施する/心マッサージを実施する/除細動の適応を知り実施する/心停止の心電図診断をする/静脈路を確保する/心肺蘇生に必要な薬剤の種類と適応を知り適切に投与する/心肺停止に至った原因を指摘する

ショック:原因疾患を探せ!!

著者: 小田浩之

ページ範囲:P.545 - P.549

達成目標

・患者がショックであることを認識する.

・気道確保,酸素投与,輸液,カテコラミンの投与を行える.

・ショックの原因について,鑑別診断を挙げることができる.

・原因疾患に即した治療を知る.

意識障害

著者: 島田耕文

ページ範囲:P.550 - P.554

達成目標

・診断と治療を同時進行できる.

・的確な情報収集と診察ができる.

・鑑別診断「AIUEOTIPS=アイウエオチップス」(表1)を覚え,鑑別ができる.

・意識レベルを的確に評価(Japan Coma ScaleまたはGlasgow Coma Scale:表2)できる.

・ABCDEを素早く行える.A:気道確保,B:呼吸,C:循環,D:Do“DONT”,E:Evaluation

・可逆的な病態を直ちに治療することができる.

脳血管障害

著者: 高橋一夫 ,   小林祥泰

ページ範囲:P.556 - P.561

達成目標

・問診,神経学的所見から脳血管障害を疑い,必要な検査を計画できる.

・重症度,緊急度を正しく判断し,適切な救急処置がとれる.

・急性期脳血管障害の頭部画像所見を理解し,適切に専門医にコンサルトできる.

急性呼吸不全

著者: 相馬一亥

ページ範囲:P.562 - P.564

達成目標

・呼吸不全の定義は血液ガスからなされているが,臨床で大切なことは臨床症状,所見から急性呼吸不全を診断し,呼吸管理を最優先させることである.呼吸不全の原因は多岐にわたることを銘記し,全身の理学所見を迅速に行い,呼吸不全の病態から原因疾患を鑑別し,適切な呼吸管理により肺酸素化能の改善を目標とする.

急性心不全

著者: 百村伸一

ページ範囲:P.565 - P.568

達成目標

・急性心不全を正しく診断でき,他の疾患と区別できる.

・急性心不全の病態を正しく理解できる.

・急性心不全の適切な初期治療を行うことができる.

急性冠症候群

著者: 樫田光夫

ページ範囲:P.569 - P.571

達成目標

・急性期の症状から急性冠症候群を疑い,迅速な初期診断とプレホスピタルケアが行え,速やかにCCUへの移送ができる.

・ステント植え込み術を中心とした冠動脈インターベンション療法の適応と意義を理解する.

・心原性ショック,心破裂,心室中隔穿孔,再灌流不整脈などの重篤な合併症を理解したうえで,重症度に基づいた治療方針を立案する.

・生活習慣病としての急性冠症候群の位置付けを理解し,二次予防の対策を立て生活指導を行う.

急性腹症

著者: 雨田立憲 ,   廣兼民徳

ページ範囲:P.572 - P.575

達成目標

・可及的速やかに緊急手術をしなければならない疾患がわかり適切に判断できる.

・腹膜刺激症状を診察でき,おおまかな病態が把握できる.

・経過観察の重要性を認識する.

急性消化管出血

著者: 小林健二

ページ範囲:P.576 - P.579

達成目標

・急性消化管出血の症例に対して適切な初期マネジメントを行うことができる.

・急性消化管出血の症例において,病歴聴取と診察の重要な項目をもれなく行える.

・急性消化管出血の症例のなかで,致死率の高い群を同定できる.

重篤な不整脈

著者: 樋熊拓未 ,   佐々木真吾 ,   奥村謙

ページ範囲:P.580 - P.584

達成目標

・不整脈の治療を行うか否かを決定する際には,不整脈の心電図診断と重症度とともに自覚症状の程度,基礎心疾患の有無,心機能(左室駆出率など)などの患者背景を常に考慮する必要がある.

・不整脈の鑑別の前に患者の意識,血圧が維持されているかどうかの確認が重要である.

・電気的除細動器,経皮的ペーシング,基本的な抗不整脈薬の使い方を覚える.

急性腎不全

著者: 杉浦秀和 ,   芳田工 ,   秋葉隆

ページ範囲:P.585 - P.587

達成目標

・腎前性腎症(腎前性急性腎不全,腎前性高尿素窒素血症),腎後性急性腎不全,腎実質性急性腎不全の鑑別ができ,それぞれに適切な治療法が選択できる.

・急性腎不全の合併症を理解し,その治療法が選択できる.

・急性腎不全における,透析療法開始の基準がわかる.

流・早産および満期産

著者: 臼井真由美 ,   竹田省

ページ範囲:P.588 - P.593

達成目標

・的確な問診と妊娠の診断ができる.

・産婦人科診察法と超音波断層検査ができる.

・胎児心拍数図の読み方と胎児仮死を理解する.

・正常分娩の理解と管理ができる.

・緊急度の高い症状・病態の理解と初期対応ができる.
 
①妊娠初期の出血症例,急性腹症,②早産時期の出血症例や子宮収縮症例,③胎児・新生児管理と搬送医療施設の選択,④異常分娩と急速遂娩術,⑤産科的DICと産科的ショック

緊急処置を必要とする感染症科疾患

著者: 五味晴美

ページ範囲:P.594 - P.597

達成目標

・感染症疾患に必要な基本的アプローチのしかたを習得する.

・緊急処置が必要な主要感染症疾患を認識できる.

・抗菌薬使用の基本を学ぶ.

急性中毒

著者: 吉岡敏治

ページ範囲:P.598 - P.600

達成目標

・毒物排除の基本処置である消化管除染(胃洗浄,吸着剤・下剤の投与,腸洗浄)と,吸収された毒物の排泄手段である強制利尿,血液浄化法の原理・有効性を理解し,実施することができるようになること.

・多様な中毒起因物質に対応するために,情報入手の習慣とその手段をもつこと.

誤飲・誤嚥

著者: 佐藤敏光 ,   篠澤洋太郎

ページ範囲:P.602 - P.605

達成目標

・窒息の症状について,即時に判断,対応処置をとれること.

・呼吸音の聴取,胸部X線写真から,気管支異物の診断,陥頓側を推定できること.

・誤嚥を起こしやすい疾患についての知識とその対応策について理解すること.

精神科領域の救急

著者: 杉田荘太郎

ページ範囲:P.606 - P.609

達成目標

・精神運動興奮状態にある患者に対する心理的接近方法を実際に体験すること.

・神経遮断薬および静脈麻酔薬について救急外来での使用経験を積む.

・患者の治療に対する抵抗を理解し,いかにしたら安全に行えるか学ぶ.

特別な対応を要する状況

著者: 桃井優

ページ範囲:P.610 - P.614

達成目標

・救急診療に関連の深い医師の届出義務を理解し,指導医のもとでこれを実践する.

・異状死体とは何か,その対処の実際を学ぶ.

・ドメスティックバイオレンス(DV)や児童虐待,その他犯罪に関係する事例や,特別な対応を要する事例への対処法を指導医のもとで学ぶ.

・必要時に医療ソーシャルワーカー(MSW)および,外部の関係諸機関と連携して問題解決にあたることを学ぶ.

・救急室での感染予防対策に十分留意し,これを実践する.

資料

臨床研修の到達目標(厚生労働省)

ページ範囲:P.618 - P.623

column

無駄のない研修

著者: 岡田唯男

ページ範囲:P.29 - P.29

 現在,家庭医後期研修医(シニアレジデント)の3年間の研修と,初期研修医(ジュニアレジデント)の1カ月の家庭医療学選択研修のカリキュラム作成,運営を担当しています.最近立て続けに複数の研修医(シニア,ジュニア)からよく似た苦情を受けました.「XX科のローテーションは無駄が多すぎます」「今やっていることは家庭医になるのに役立つとは思えません」「回っている科のなかで本当に必要で役に立つ知識や技術だけエッセンスとして集中的にビデオ教材やワークショップで詰め込めばもっと短期間で済むのに」.

 もしかしたら,彼らは有名予備校の人気講師の授業や大学でのテーマごとのまとまった講義を期待しているのでしょうか.日本の研修施設では,教育のためだけに給料をもらっている指導医はまず存在しません.ほとんどの指導医は,多くの患者を抱える忙しい環境のなかで,それでも若い研修医の力になろうと指導の時間を捻出しています.そもそもスライドやビデオ,図解などでわかりやすくまとめられた教科書,教材,講義がある予備校や専門学校と卒後研修とは根本的な違いがあります.前者は学ぶ側が学習の対価として教育の提供者にお金を支払うが,研修はそうではなく,逆に少ないながらも給料をもらっているはず.そして教育の提供者(指導医)と学ぶ側(研修医)との間に金銭のやり取りはない.その違いはどういう意味なのでしょう? 研修医から指導医に教育の対価は支払われていないのでしょうか?

Evidence,Style,Community standard

著者: 岡田唯男

ページ範囲:P.53 - P.53

 generalistを目指す研修医が各専門科をローテートする際に出くわすジレンマがあります.generalistの指導医とローテート先の専門医の指導医の言うことや,診断,治療方針が違うために研修医はどちらを信じていいのか板挟みになってしまうのです.そのことは私が研修したアメリカでもよくありましたので,しばしば研修医に言っていることがあります.

 「研修をするときは教わった内容が,evidenceなのか,styleなのかcommunity standardなのかよく考えること」.

 evidenceについては言うまでもないでしょう,科学的な方法によって他の方法よりも効果があると証明された医療行為のことで,ここからそれる場合は指導医であっても診療方針を変更すべきであると考えますし,研修医はそれを見習うべきではありません(ローテーション中はある程度目をつぶらないといけないかもしれませんが,ローテーション終了次第すぐ忘れ去るべき).持続型以上の喘息治療におけるステロイド吸入薬などがこの例です.

研修医から専門医へ

著者: 木崎昌弘

ページ範囲:P.56 - P.56

 2004年からの新しい初期臨床研修制度が始まる.それまでもそうであったように,2年間の研修医過程が終了したならば,自らの歩む道を決めなくてはならない.臨床医への道,基礎研究者への道,環境や予防医学を選択する道などさまざまな選択肢があると思う.私は20年以上前に,大学での内科全般にわたる研修を終了した後,血液内科を専攻し,いまだにその道を歩み続けている.自らのsubspecialtyを決めることは,ある程度医師としての人生を決定することに通ずると思う.私の研修医時代,治療法としての骨髄移植やG-CSFなどの造血因子もなく,白血病は治癒の難しい病気であった.初めて,大学の血液内科をローテーションした際に受け持った急性骨髄性白血病の患者は,強烈な印象をもって私の心に残っている.内科全般の研修で多くの患者に接することができたが,種々の疾患を勉強すればするほど,何としても白血病を治したいという気持ちが強くなっていったのを覚えている.その後,血液内科の教室に入局し,血液学の臨床を学びながら,米国留学を通して,白血病や多発性骨髄腫といった造血器腫瘍の発症機構の解明や,それらに基づく新たな治療法の開発に関する研究に従事している.血液内科は全国的に不人気で,どこも入局者が少ないと聞いている.私の大学でも内科のなかでは希望者が少なく毎年苦労している.やはり,大変に厳しい臨床の現実が研修医に敬遠される要因であろうか.それでも,血液内科の門をたたいてくれる若者には,すがすがしい情熱を感じることが多い.血液学はおそらく基礎医学と臨床医学が最も接している分野ではないかと思う.基礎研究で明らかになったことが,臨床に反映されることはATRAやGleevecの成功をもってしても明らかである.私は,次世代の分子標的治療薬を開発し,少しでも白血病や骨髄腫の治療成績向上に寄与したいと願って,毎日を送っている.いまだ道半ばであり,到底道を究めるには程遠いが,日々の診療や研究のなかで情熱をもって努力したいと考えている.何やら血液内科の宣伝のようになってしまったが,今後,研修医の諸君が自らの道を決める際には,それまでの経験や感性を大切にし,自分が一生情熱をもってできる分野を選択してほしいと思う.6年間医学を学び,そして国を挙げての新たな臨床研修システムのなかで育つ研修医には,学んだことを社会に還元し,われわれとともに医学の発展に寄与する責務があると考えている.

教訓となった症例(1)

著者: 山口哲生

ページ範囲:P.79 - P.79

 医学部卒後1年目の1978年4月,私が大学病院に残らずに地方の一病院に勤めたのは,とりあえず普通の給料がほしかったからである.外来は医師免許証を取得した5月から1人でやらせてもらっていた.手術の手伝いもさせていただいた.内科医のほぼ全員が消化器系のこの病院では,その他の疾患の専門的な指導などは望める状況ではなかったが,1年間で多くのことを学んだ.そして最も大きな収穫は「不十分な医療は不本意な結果を招く」という,よりよい医療を行うための根幹となる教訓を得たことであったと思う.当たり前の教訓ともいえるが,不十分な医療を教えることができない今,あれはきわめて貴重な経験であったのだと思い返している.その教訓をもたらしてくれた症例をいくつか呈示したい.

 〔症例1〕 1978年6月.60歳代男性.息切れを主訴として独歩で来院.ひどい亀背があったが,その他の身体所見に異常はないとした.「息切れは亀背のせいだろうか」などと勝手に考え,胸部X線像も異常なしとして帰宅させた.夜に息切れが強くなり,他の先生が往診したところ,著しい心収縮期雑音があり「心筋梗塞後のVSDか乳頭筋断裂だろう」とのことであった.私のカルテには「heart sound; no murmur」と書かれてあった.私は本当に聴診をしていたのだろうか.胸痛のない心筋梗塞など思いもよらず心電図もとっていなかった.その夜半に患者は亡くなられた.

研修医と読書

著者: 木崎昌弘

ページ範囲:P.91 - P.91

 実際に指導医として,病棟や外来で研修医の指導をするようになって久しいが,どうしても自分たちの研修医時代と比較して,昨今の研修医を評価することが多い.私が特に最近気になるのは,書物に親しんでいる研修医が少ないことだ.もちろん,研修医の業務はわれわれの時代に比し格段に多く,忙しくて本を読む時間を捻出することが難しいことは重々承知している.それでも気になる.どんなところにそれが表れるかというと,患者と接しても,時にとんでもない非常識な言動や教養に欠ける研修医が多いと感じることが間々あることだ.もっと低レベルなところでは,カルテを書かせても意味が通じない文章や誤字が多い,他人が読むに耐えうる字になっていないなどの点に表れていると思う.医師という職業は,患者に接するにあたり医療技術や知識はもとより,全人的な人間としての素養も大切である.人間的な素養となるのは,自らの育った環境で養われることが多い.理系,文系というわけ方は好きではないが,医学部の入試は理系であっても,医師としての職業は文系的な要素がかなり大きなウエートを占めている.病気を通して患者の人生観や,時には死生観といったものにまで踏み込まなくてはならないことが臨床の現場では往々にしてあるが,そんなとき,答えは1つでないことはよくあることである.患者とともに,患者の立場に立って考えることはとても大切ではあるが,『ブラックジャックによろしく』の斉藤先生のように自らの感情を移入しすぎても,患者にとっては迷惑なこともあるかもしれない.自分の子どもや孫の年代に相当するような若くても,自分の生き方や医師としての姿勢がはっきりしている研修医は患者にとって魅力的である.指導医としてもこのような研修医と仕事をするのは楽しいし,何よりも安心感がある.自らの人生観はそれまでの経験やめぐり合う人との交流など,人生の過程で影響される多くの因子によって形成されるものである.そうであるならば,自ら優れた書物を求めることは,職種に関係なく大切なことであると思う.どんなに忙しくても,研修医時代に医学の勉強とともに優れた書物に親しみたいものである.私は今でも週に1冊は文庫本か新書を読むようにしているが,きわめて忙しいときにめぐり合った書物ほど印象に残っているし,自分の人生に影響を与えているように思う.自らがめぐり合う書物や人を大切にし,患者の立場に立って,責任のある行動がとれる医師に育ってほしいと願いながら,病棟で研修医諸兄と接する毎日である.

教訓となった症例(2)

著者: 山口哲生

ページ範囲:P.103 - P.103

 〔症例4〕 12月.肺癌末期の70歳代女性.痛みや呼吸困難などの症状をとるのにデキサメサゾンの大量投与がいいと宣伝されて,抗潰瘍薬なしで連日1週間以上打ち続けた.先輩の医師としこたま飲んでいた夜半に患者が大吐下血をしたと電話連絡を受け,急ぎ駆けつけたが,目にしたのはすでに失血死して真っ白になった遺体であった.「ステロイド潰瘍なんて初めてみたよ」と先輩に言われた.余談になるが,この状況を遺族に説明しようとするのだが,こちらはまともに話しができないほど酔っぱらっていたし,遺族側の長男も話しを聞いていられないほど酔っぱらっていて,まともな会話にはなっていなかったらしい.ただ「最後まで診ていただいて」と感謝された.よき時代であった.

 〔症例5〕1979年1月2日.当直明けに帰ろうとしたところ,外傷で入院している外科病棟の50歳代の男性が,急に腹痛を訴えだしたので診てくれという.患者は元気でとくに腹部に所見はなく,この頃にはかなり所見も読めるようになっていた腹部X線像も異常なしと判断した.痛み止めを打って経過観察としたのであるが,その夜に患者は下血して亡くなられたと聞いた.腸間膜動脈塞栓症であったらしい.

患者さんやスタッフから信頼を得る方法

著者: 大西真

ページ範囲:P.109 - P.109

 筆者が研修医だったとき,肝に銘じていたことがあります.朝は早く出勤して,採血は患者さんの朝食の時間前に必ず終えるということです.多くの病院の患者さんの朝食は8時で,採血のために食待ちをさせられている患者さんは沢山いると思います.食事を待たされることほど,辛いことはないと思います.食事時間前に採血を終わらせると,患者さんは感激して主治医を信頼するようになります.そのうえ,採血がうまければ申し分ありません.採血や点滴が上手になるには,これはもう場数を踏むしかありません.当直のかわりに積極的に点滴をし,他の医師の採血や点滴を手伝って,少しでも経験を増やすことです.

 また,朝の挨拶を忘れずに.朝病棟に行き,看護師さん,スタッフの医師,患者さんに,笑顔で気持ちよく挨拶すれば,必ず信頼されるようになります.そして自分の受け持ち患者さんを全員回診するのです.朝,決まった時間に必ず顔を出せば,患者さんは安心するものです.患者さんの所に行く前に,必ず看護日誌に目を通し,夜間何があったかを把握してから病室へ行くことです.主治医が夜間の様子も把握していると患者さんの信頼感はますます増します.回診を終えたら,カルテの記載も忘れずに.

昔の教授回診は怖かった!

著者: 大西真

ページ範囲:P.116 - P.116

 筆者は昭和55(1980)年に卒業し,東京大学医学部附属病院第3内科で研修医生活を始めました.沖中内科以来の伝統が続いていた内科で,当時は糖尿病の大家の小坂樹徳教授が主宰されていました.

 それは厳しい回診で,前夜は徹夜で回診の準備をしたものです.病室の隣の医師勤務室で,医局の先生方に取り囲まれながら,教授と一対一で回診を受けねばならず,誰も手助けはしてくれません.温度板を見ながらの真剣勝負でした.先輩からは決して目をそらしてはいけないと忠告されていました.温度板で,患者さんの体温,脈拍,血圧,体重,食欲,睡眠,便通,尿量といった基本的な情報の推移を重視されました.食欲がないのはなぜか? 発熱があるのはなぜか? きちんと説明しなければなりません.

効果的なジャーナルクラブ

著者: 徳田安春

ページ範囲:P.149 - P.149

 全国各地の研修病院や大学病院の現場で,ジャーナルクラブという医学論文抄読会が行われているが,研修医への教育という観点からみて,効果的なジャーナルクラブのありかたとはどのようなものであろうか.当院総合内科においても,EBM的ジャーナルクラブを定期開催しているが,そのスタイルを紹介しながら,私見を述べたいと思う.

 まず,EBMジャーナルクラブを,「いわゆるmethodの部分を批判的に読みこなす方法を身につける訓練の場」とした.従来の伝統的なジャーナルクラブというのは,最新の医学知識を吸収するために,introductionとresultそしてdiscussionの部分をよく読んで,methodはとばし読みをするということがよくみられていた.書かれた内容をそのまま無批判に鵜呑みにするというところである.しかしながら,新しいEBMジャーナルクラブはその逆をいくものである.真に科学的な論文の価値はどこにあるかというと,やはりmethodの部分であろう.すなわち一つの原著論文のmethodの部分を,EBMにおけるcritical appraisalの方法論を用いて,徹底的に分析し痛烈な批判を加えるというものである.

research community,scientific community,そしてlocal community

著者: 徳田安春

ページ範囲:P.167 - P.167

 医学研究者は医学雑誌をあまり読まない(ここでいう医学雑誌とはpeer review journalを指す).これは欧米では有名な話である.なぜか.最近の医学研究者は研究テーマの守備範囲がかなり狭いため,自身の研究テーマに関係する狭い範囲の論文しか読まない傾向になるという.これがいわゆるresearch communityである.彼らはその特殊領域の出来事や新たな発見の追求に埋没し,その領域では非常に高度の知識を有するが,一般医学雑誌論文,いわゆるgeneral medical journal articleに目を通すことはほとんどない.結果として,自身の専門外領域においての知識は一般人並み,ということがあるので驚きである.

 医学雑誌とはpeer review journalを指すと述べたが,なかでもbig fiveは有名である.これらは,New England Journal of Medicine, JAMA, Lancet, BMJ,そしてAnnals of Internal Medicineである.それでは,だれがこれらの医学雑誌を読んでいるのか.それはscientific communityにいる人々である.彼らはlandmark articleには必ずそのoriginal を精読し,自らの思考回路でその科学的内容の妥当性を判断している.医学の知の最前線の姿をフォローできている人々である.そのうちのハイクラスグループは,reviewerとして医学雑誌論文アクセプトにおける重要な決定権をも有している.

メタ・スキル―卒後臨床研修におけるもう一つの獲得目標

著者: 藤沼康樹

ページ範囲:P.187 - P.187

卒後臨床研修の教育目標

 2004年度における新医師臨床研修制度は,2年間の比較的絞り込まれた教育・学習目標(learning outcomes)を持ち,各種評価をプログラム運営のキーとして設定したoutcome-based medical educationとして構想されているといっていいであろう.そういう点で,この制度がうまく運営されることは,日本の医学教育全体に大きな影響を与えることになると考えられる.

 厚生労働省の設定した教育目標は,以下の2つである.

 ①医師としての人格の涵養

 ②基本的臨床能力の獲得

実際のところは,ほとんどの研修医も指導医も研修目標として,②に関してのみイメージしており,①はいわば「枕詞」「お題目」程度に捉えられていると思われる.しかし,「医師としての人格」を涵養するとはいったいどういうことを意味しているのであろうか.

情報の収集

著者: 松村正巳

ページ範囲:P.193 - P.193

 患者さんの診断,治療,マネジメントにおいては,患者さんの情報を,できるだけ多く把握することが,きわめて重要であることは言うまでもありません.患者さんと良好なコミュニケーションを築く努力をしながら,自己紹介から始まり,問診,診察を行い,検査,診断,治療についてじっくり話し合っていくわけです.患者さんのプロフィール(生活像)もしっかり把握しなくては,マネジメントに支障が出てきます.しかし,担当医1人で集められる情報には,どうしても限りがあります.考えてみれば,1人の患者さんと接する時間も,決して長くはありません.十分な時間が,どうしてもとれない日もあります.

 患者さんにかかわるコメディカル(看護師,理学療法士,薬剤師,栄養士,など)の方々も,患者さんの情報を日々把握しています.カルテの三測表に目を通すのと同時に,看護記録もできるだけ読むことをお勧めします.医師には言わない(言えない),患者さんの声が書かれています.また,看護師の勤務交代時の申し送りを何気なく聞いていると,自分が把握していなかった患者さんの状態,検査,治療に対する思いなどを知らされることが,たびたびあります.看護師の勤務交代時に,病棟にいると幸運に恵まれます.担当の患者さんが,リハビリテーションをしていれば,理学療法士から,服薬指導を受けていれば,薬剤師から,栄養指導を受けていれば,栄養士から,患者さんの情報をもらうべきです.さらに,掃除担当の方から,ある患者さんが,処方された薬を全く服用せず,ゴミ箱に捨てていたという情報を得たりすることもあります.そして,得られた情報は診断,治療,マネジメントに反映されていきます.

文献検索と症例報告

著者: 高田清式

ページ範囲:P.197 - P.197

 最近,研修医に担当症例の疾患について文献を検索するように指示すると,医局にて苦労せずに短時間でインターネットにて検索して,その関連文献リストや要約をコピーしてくる.PubMed,MEDLINE,Entrezなどがその検索方法であり,24時間オンラインで使用でき,いわゆるキーワード入力にて,すぐさま多くの文献や情報が得られるようになっており,いたって便利である.自分自身が研修医であった20年以上前は,患者診療が終わった後(だいたい午後8時以降だった)大学の図書館にて,Index Medicusや医学中央雑誌を一冊ずつ調べていくのが常套手段であった.研修医なりに診療疲れで,眠い目をこすりうたた寝しつつ,文献名や雑誌名をノートに書き写し,図書館にある本なら医局に持ち帰りコピーし,また図書館にない文献は数日かかって取り寄せてもらっていた.比較的珍しい症例や示唆に富む症例を受け持った際に,その症例報告を論文として書こうとすると,まず行うことは何日もかけて図書館で文献検索することであった.これで比較的労力を使い,学会発表はかろうじてするものの,実際に症例報告を書くのがやや億劫になってしまっていた.あるとき,2年目の研修先の病院で,ある内科部長から「なぜ研修医が症例報告を書く必要があるのかわかるか」と尋ねられた.私が答えられずにいると,「それは,症例報告を書いてさまざまの文献を読むことで,受け持った患者の反省になるからだ」と指導された.甘かった自分の目が覚めた気がし,以後患者のためになるという信念で,研修先の病院にて患者の消灯後は真夜中まで図書館にいて文献検索をしつつ,多くの症例報告を完成させた.それらの蓄積が今でも自分の日常の診療や研修医の指導の際に,自分の経験例としてたいそう役に立っている.なお実際には,疲れて図書館でときどき朝までうたた寝していたことも幾度かあった.また図書館での夜間のクーラーの騒音が近所迷惑になり苦情が寄せられ,私が研修を終えた翌年からは夜9時以降は図書館が使用禁止になってしまった(後日,内科部長が苦笑いされてお話くださった).後輩の研修医には図書館が使いづらくなってしまい,大変申し訳なかったと今も反省している.

研修医のあなたに期待します

著者: 佐伯晴子

ページ範囲:P.203 - P.203

 いくつもの試験や実習での困難を乗り越えて,医療者として第一歩を踏み出されるあなたを,まず心から応援いたします.日本の医療は今,いろいろな問題を抱えているようです.少子高齢化や経済不況など,問題の原因はあなたとは全く関係がないのですが,実際の現場でもろもろの問題に直面し,全力で立ち向かうのはあなたご自身です.歴史というものは,その点で理不尽だともいえますね.しかし,あなたの世代で今の現実を変えていくこともできるのではないでしょうか?

 日常の忙しい現場や学部のなかでは,さほど感じられないかもしれませんが,私たちは日々,歴史を歩いています.先人の敷いた道に足を乗せていても,その足をどちらに向けて歩いていくかは私たちが決めなければなりません.惰性で同じ方向を歩むのか,見極めた結果,同じ方向を選ぶのか,あるいは方向転換を決意するのか,すべては私たちの意思にかかっています.そして,その道は確実に私たちの次の世代につながっています.彼らにとって快適な世界をもたらすか,理不尽な現実をもたらすかは今の私たちにかかっているといえます.

看護師の貧血で

著者: 高田清式

ページ範囲:P.209 - P.209

 研修医のとき,直接の主治医ではなかったが貧血で20歳代前半の看護師が入院した.顔が真っ白であり,まさに白魚のような手をしており,Hb(ヘモグロビン)が5g/dlの高度貧血,かつ血清鉄などの値からは鉄欠乏性貧血のパターンであった.外来で鉄剤の内服をしたが,貧血の改善がみられなかったため入院した次第である.入院後鉄剤の静脈注射が行われたが,網赤血球の増加はみられたものの貧血は改善されなかった.その後,白血病の類縁疾患も疑われ,副腎皮質ステロイド剤や免疫抑制剤を投与されたが効果はなく,約半年後Hbが2.8g/dlまで低下した.対症的に幾度か輸血も行われたが,輸血後は悪寒を伴った40℃を超える間欠性の発熱が出現し,その際は白血球の増加も伴っていた.その後Hbは1.3g/dlまで減少した.毎週の総回診のたびに必ず検討会の話題になったが,結論は出なかったし,研修医の自分としても頭をひねるばかりであった.主治医も何度か交代したが,貧血の改善なく,彼女を不憫に思い車いすを押して散歩するのを日課とした主治医もあった.入院後約1年近く経った頃,当時の主治医が患者の偏食傾向に注目し,また最近薬や病院食を捨てる行動に気づいて家族歴や生活環境を再検討したところ,摂食障害とそれに伴う栄養障害の可能性があると最終的に結論づけた.高カロリー輸液を行いつつ経過をみたところ,Hbが3g/dlと貧血が改善しつつあったが,その後再び増悪したため,瀉血を疑い本人の所持品を検査したところ,注射器,翼状針,駆血帯などが発見された.いわゆるfactitious anemia(自己瀉血による貧血)で,後から思えば患者本人が看護師であり採血は得意であることに気づくべきであった.また,輸血後に急激な貧血とともに高熱が起こったのは,その使い古された翼状針が不潔なために,瀉血の際に一過性の菌血症を起こしたことが原因であった.その後,カウンセリングを繰り返し瀉血防止に努めたところ,Hbは12g/dl以上に改善し退院した.20年以上経った現在,結婚して子宝にも恵まれ幸せに暮らしているとのことである.当時,このような貧血は文献的にも少なくあまり話題にはなっていない疾患であり,疑うことを知らなかった自分自身にとって貴重な経験をしたと感じた.「女性をみれば妊娠を疑え」とともに「看護師の貧血をみれば瀉血を疑え」という教訓の1例であった.

研修医のあなたに注目します

著者: 佐伯晴子

ページ範囲:P.215 - P.215

 焦っているとき,イライラするとき,不安なとき,困ったとき,ご自分がどんな表情をするか,あなたは知っていますか? 鏡に向かって百面相をしても正面しかわかりません.

横顔やうつむいたときなど,自分で見ることのできない表情に,私たちは意外にも無頓着で無防備です.しかし,実際には,他人の表情からその人の心の中を読み取ることはよくしていますね.言葉ではいいですよと言っていたがやっぱり反対なんだ,と確信するのは,表情を見れば気持ちがわかるからです.

 問題は,伝えたい相手に表情を向けていればメッセージとして有効に「私は反対する」と意思を伝えることができるわけですが,無関係の相手にその表情を向けてしまい,誤解を生むことがあるのです.今夜中に症例レポートを作成するよう突然指示され,まいったな,今夜の約束を変更してもらわないといけない,また怒られる,嫌だな全く,などと思いながら廊下を歩いていたら,あなたの受け持ちの患者さんとすれ違いました.あなたはレポートのことで頭がいっぱいで,すれ違ったことに気づいていません.患者さんはあなたが毎日にこやかに病室を訪ねてくれるので,いい研修医さんに受け持ってもらったとつねづね感じていました.廊下を歩いてくるあなたに気づき,ていねいに挨拶したのですが,あなたは全く無視して,しかもイライラと不機嫌な顔で通り過ぎてしまいました.患者さんはあなたの豹変ぶりにショックを受け,いろいろ気を回し,病気が悪くなっているのではないか,あるいはあなたとの信頼関係に自信がもてなくなるかもしれません.

ジンクス

著者: 松村正巳

ページ範囲:P.236 - P.236

 私が研修医の頃,当直するたびに重症の患者さんが搬送され,上級医から「おまえは,よくつく奴だ」と,言われた覚えがあります.看護師さんからは,「お祓いでも受けたらいいんじゃないの」と言われる始末でした.このコラムをお読みの方のなかにも,同じような経験のある方はいらっしゃいませんか? どの病院にも,患者さんを呼び込む医療スタッフがいるものです.当直中に,重症の患者さんが来院されなければ,ホッとする反面,研修にならず難しいところです.

 さて,このような,“つく”,“つかない”といった科学的な根拠がないと思われることについても,研究が行われることがあります.例えば,満月と救急患者の数などです.洋の東西を問わず,米国の医師たちも,いわゆるジンクスを気にするようです.Ahn A, et al:“We're jinxed”―Are residents' fears of being jinxed during an on-call day founded? Am J Med112:504,2002は,ちょっとおもしろい論文です.Dr. Ahnは,マサチューセッツ総合病院の医師です.これはシニアレジデントを対象に行われたrandomized controlled trialで,シニアレジデントをジンクス群 (n=33)と,非ジンクス群 (n=36)に分け,on-call dayの入院患者数,睡眠時間,主観的な仕事の困難度(1~5までのスケール)をon-call dayの終わりに報告させて,比較,検討しています.群分けはon-call dayの朝,“You will have a great call day”と書かれた紙が入っている封筒か,何も書いてない紙の入った封筒を選ばせています.もちろん,“You will have a great call day”と書かれた紙が入っている封筒を選んだレジデントは,ジンクス群です.そしてレジデントに対して“You will have a great call day”と,声に出して読み聞かせました.さて,結果や,いかに?

空の輝きの一部は家々の灯りである

著者: 山本和利

ページ範囲:P.248 - P.248

 私が医師6年目に赴任した人口6,000人の山間の町は南北に長く,北の3村と南の1町が合併して町を形作っていた.北から天竜川が流れ町の途中から一方は浜松へ,もう一方は豊橋へと分かれていた.赴任した病院は3つの村のやや南に位置し,豊橋へ向かう川沿にあった.医療施設としてこのほかに,町が有床診療所と無床診療所を抱え,耳鼻科の開業医が一人いた.赴任後,病院で待っていても患者は一向に集まって来なかった.病院といっても医師が少ないため当直体制が取れず,宅直制であった.夜間に電話で呼ばれると病院に出向いた.

 ある夜,発熱がひどいので往診してほしいという依頼があった.これまで発熱くらいで往診をしたことはなかった.病院に行きたくとも車がないというので運転手と看護師と私の3人で出向くことにした.15分ほど車で行くと道が途切れた.往診鞄と太い竹竿を運転手が往診車から取り出してきた.竹竿に往診鞄を吊して私が前で運転手が後を担いで30度はあると思われる坂道を登った.これがこの町での往診スタイルだった.15分経っても着かなかった.家の灯りが見えた頃には全身汗でビッショリだった.患者さんを診ようとすると冷たい飲み水とおしぼりが出された.10分ほど家の方と話をしてから患者さんを診察した.高齢の婦人であった.かぜと診断した.事前に用意してきた薬を飲むように指示した.帰り道,空を見上げると星に手が届きそうだった.

患者の命をつなぐ往診

著者: 山本和利

ページ範囲:P.267 - P.267

 2年前から寝たきりとなり定期往診されていた83歳女性を前任者から引き継ぎ,段々畑の間の坂道を往診かばんを下げて通った.寝たままの患者を運び出すには多大な労力が必要であったため,少々の病状変化では在宅でするしかなかった.しかし1年ほど通った頃,発熱,全身衰弱が強くなり,独身で面倒をみている息子を説得して,町の消防団員を頼んでタンカで下ろし入院させた.胸部X線写真で肺に異常影があることがわかり,肺結核と判明して療養所へ転院となった.その後,しばらくして死亡したという連絡が届いた.町では搬送の方法が問題になるなど考えられないことであろう.できることなら便利なところへ移りたいと思っていたのか,たとえここで朽ち果てようともここに居たいと思っていたのか,この患者さん本人の本当の気持ちは知るよしもないが,このようにして過疎地に生きる人々は,現実にたくさんいる.

 心不全で往診対応した85歳男性.夫人も息子夫婦とも一家4人が私の患者だった.入院するのを嫌がるため往診に山頂の家まで通った.車で20分山道を登って,道が途切れたところで車を降りた.荷物運搬用のレールは引かれていたが,人間は乗せてもらえず,毎回だらだらと20分歩いて登った.10kg近くある往診かばんを持つのは看護師の役目であるが,それを持ってあげると看護師に喜ばれた.陰囊水腫があることがわかり,毎回陰囊穿刺をして排液した.時には家族の薬を届ける役目も果たした.このような往診が任期中続いた.私が任地を離れても,そのような往診は今も続けられている.過疎地では往診が患者の命をつないでいる.

研修医の先生,頑張って

著者: 遠藤正之

ページ範囲:P.281 - P.281

 研修医の先生方はいろいろのエピソードを残してくれます.患者に危害が加わらない範囲では笑えます(しかし,この話は業界内にとどめておいてください).

 〈その1 内科研修〉

 うっ血性心不全で,血管確保目的の点滴がされており,尿量が少なく,浮腫もある患者.

 指導医:「ラシックスを1アンプル『ソッカン』から追加しようか.」

 研修医:「え? ラシクッスを『足の間から』打つのですか?」

 指導医:「……. 側管,点滴のゴムのところ.」

 もっとも,現在では三方活栓が主流ですが.

あなたのポジションは大丈夫?

著者: 尾形和泰

ページ範囲:P.288 - P.288

 いろいろな医療行為の際に,医師はもちろん患者さんの姿勢・位置が大切です.いわゆる態度といわれる領域では,医療面接のときにそれぞれが座る位置,病棟回診のときに立って話を聞くのか座って聞くのかなど,患者医師関係を作るうえで重要なことは言うまでもないでしょう.

 手技の面では,中心静脈カテーテル挿入を例にとると,ベッドと壁の距離,ベッドの高さ,ベッド上の患者さんの位置,下肢を上げるのか,頭を上げるのか,施行する医師や介助する人はどこに立つのか,道具はどこに置くのか…,ガウンや手袋を着用する前によく考えることが大切です(しっかり準備した後に,手袋が点滴台に触れて不潔にしてしまった研修医もいましたが…).特に無理な体勢で穿刺するのは余計なストレスがかかりますので,事故の元です.

コメディカルと仲良く

著者: 遠藤正之

ページ範囲:P.293 - P.293

 日常の診療でより良い医療を行っていくには,看護師さんをはじめとしてコメディカルの方々と頻繁に情報交換をして,良いチームワークを組むことが大切です.看護師さんには,受け持ち患者の現状と今後の方針を常に伝えて,受け持ち医が現在何を考えているのかを口に出してコミュニケートすることが重要です.看護側からの疑問,質問もこころよく受け入れ,可能なかぎり答えていき信頼を築いてください.「カルテに指示が書いてあるだろう.」ではうまくいきません.

 検査に関しても,指導医に受け持ち患者の検査結果を聞かれて「結果報告はまだ来ていません」の返事ではだめです.「検査結果をできるだけ早く知りたい」との熱意を検査室の技師の方々に伝えるためにも,検査室に自ら出向いて直接結果を聞きに行くことが重要です.各検査のスペシャリストたちが親切にいろいろ教えてくれるので,勉強になること間違いなしです.コメディカルの方々も研修医教育の立派なティーチングスタッフです.

塩分に注意しましょう

著者: 下正宗

ページ範囲:P.304 - P.304

 高血圧の予防のための減塩食品がいろいろと市場に出回っています.減塩しょうゆ,減塩梅干しなどです.高血圧患者さんばかりでなく,食事に注意して健康に長生きしたいという方々が,塩分に注目して生活を送ることは疾病予防のうえでも重要なことです.ところで,この塩分を患者さんたちはどう考えているのでしょうか.「しょっぱいものが好きです」とか「どちらかというと薄口が好きです」という表現で塩分に関する会話が患者さんとの間でなされることが多いと思います.医学的には,高血圧予防のための減塩とは塩化ナトリウムを減らすことです.すなわち,体内に入るナトリウムイオンを減らすのがその目的です.このことを十分に頭に入れて生活指導,栄養指導を行わないといけません.

 私が研修医の頃,ある高血圧患者さんの担当になりました.型どおりに「塩分制限」の必要性を中心とした生活・栄養指導を行っていました.入院中には病院の食事にも慣れ,降圧薬も必要がなくなるくらいの軽症高血圧の患者さんでした.病院での味覚に慣れたとはいっても自宅で同じような味覚のものを継続するのはなかなか難しいものです.次第に塩分が増えてくることはしばしば経験することです.この患者さんが外来で血圧があまりに高くなってきたので「塩分制限が守られていませんね.このままだとまた入院するか,薬を始める必要がありそうですね」とお話をしました.すると患者さんは毅然として「塩分制限は守っています.食塩は退院した後言われた量以上は使っていません」とおっしゃいました.「変ですね.ストレスかな? 食事を作るときに前と変わったことは食塩を使わなくなったことだけですか?」と問いかけたところ,「塩がないとやっぱり味があまりしないので,これまではあまり使わなかった味の素で味を調えるようにしました」との答えがありました.これだったのです.味の素は成分名ではグルタミン酸ナトリウムです.ナトリウムイオンの負荷は減るどころかかえって増えていた可能性もあります.それ以来,減塩指導のときには,味の素の話も出し,ナトリウムが入っているものに気をつけなさいという指導内容にしています.

子宮は青かった

著者: 山田春木

ページ範囲:P.311 - P.311

 研修医時代,当直アルバイトに行った埼玉県M病院でのこと.

「先生が先ほど診られた患者さん,これから緊急手術ですよ」

 のんびり待機していた私にとって,寝耳に水の電話でした.腹痛を訴え来院した若い女性を一時間ほど前に診察し,触診で腹部は柔らかく緊急性はないと判断して,ブスコパン®を静注して帰したところでした.当直ナースがベテランで,患者の異常な痛がりようにしばらく留め置いたところ,まもなくショックとなり外科と婦人科の当直医を呼んだのだそうです.メスが入れられようとする直前に私は見学衣を着て手術室に入りました.

医師になりたくなかった男の話

著者: 谷本普一

ページ範囲:P.326 - P.326

 あまりほめられた話でありませんが,医師になりたくなかったのに,医師になってしまった男,私自身の話をしましょう.私と同じような人もいると思いますが,一般には,医学部を志す人の大半は,医師という職業に明瞭な目的意識をもっていると考えられます.

 私がなぜ医師になりたくなかったかという理由は単純です.私の青春は戦後の慌しい時代のさなかにありましたが,その頃の私は文学書の濫読時代にあり,漠然と文学を専攻しようかと思っていました.いざ大学受験が迫り,文学部入学を考えましたが,当時地元北海道大学(以下,北大)には文学部はなく,他の学部のなかでは,語学が重視されるといわれていた北大医学部を選択したようなわけです.

研修医だからこそできること

著者: 市村公一

ページ範囲:P.331 - P.331

 研修医になって2カ月目,何をするにも自信がなく,いちいち先輩に確認をしなくては何もできなかった頃のこと.受け持ち患者が少なかったこともあるが,とにかく足繁くベッドサイドにお邪魔して,話に耳を傾けるようにしていた.そんな私を見て,ある看護師さんが声をかけてくれた.

 「先生は患者さんのところによくいらっしゃいますね」

 「1年目の研修医にできることといったら,患者さんの話を聞くことくらいしかないじゃありませんか」

 「その心懸け,感心だわ」

未知な疾患との初めての出遇い

著者: 谷本普一

ページ範囲:P.345 - P.345

 未知な疾患と初めて出遇ったときの新鮮な感動と未知のまま気づかずに過ぎた後の痛烈な反省は,今も私の心に深く刻まれている.北海道大学医学部卒業後10年を経て,虎の門病院呼吸器科医師として働いていた私が,1960年代に経験した未知の疾患との遭遇と経緯を語りたい.

 その疾患は,びまん性汎細気管支炎(DPB),肺リンパ脈管筋腫症(LAM),閉塞性気管支細気管支炎(BBO)などである.本稿では後二者について述べる.

若い医師よ大海で腕を磨け!

著者: 岩田修

ページ範囲:P.388 - P.388

 最近の医療の進歩には目覚ましいものがあり,最先端の医療機器や医科器械,医療材料によって診断や治療はより正確かつ容易,迅速に行えるようになった.従来は医師個人の能力の差が診断や治療行為に大きく影響し,医療の格差が存在したが,これら医療機器・機材の進歩は医師の個人的手腕の格差を減少させ,すべての患者さんが最先端の高度な治療を安心して受けることができるようになることにつながる……はずであるが,実際の医療現場で感じる印象は多少異なっている.

 私は麻酔科医として15年間ひたすら臨床に携わってきたが,最近は医師の技術的成長が周囲機材の進歩に遅れている,いや,以前よりも低下しているのではないかと感じる.確かに内視鏡や顕微鏡下手術,電気メスやレーザーメス,自動吻合器や縫合器など医療手技や機材の進歩に伴い,経験や鍛錬によって築かれる“わざ”的な技術が必要とされることが少なくなった.しかし,面倒で難しかった手技を習得するための鍛錬が必要なくなったことにより,基本的技術そのものが低下し,その結果,これら新しい手技に熟練することが困難になってきているように思う.最近の医療訴訟においても技術的なミスによる事故が増加してきており,医師は個人の技術向上に対する意識を強くもつことが要求されている.私は一生懸命やりましたが,不器用だから患者さんが死んでしまいました,なんてことは許されない.

卒後初期研修―目標は基本的臨床能力の習得

著者: 木川和彦

ページ範囲:P.393 - P.393

 平成16(2004) 年度から導入される新医師臨床研修制度には,3つの基本的考え方が示されています.①医師としての人格の涵養,②プライマリ・ケアへの理解を高め,患者を全人的に診ることができる基本的臨床能力の習得,③アルバイトをせずに研修に専念できる環境の整備,という3点です.1点目は当然のことですし,3点目は今回の新しい制度の成否を決める前提条件です.2点目については,現行制度下での現状をふまえれば,現時点では妥当な結論だろうと思います.現行制度は,3ない(医師でも学生でもなく身分の保証がない,経済的な保障もなく,さらに,研修に必要な指導体制もない)制度と呼ばれ,一連の学生運動の発端ともなったインターン制度の改正案として導入された制度です.しかし,インターン制度は廃止されたものの,そのために必要な卒前教育や医師免許取得後の研修体制は当初から全く不十分で,なのに,アルバイトは可能という,むしろ卒後初期研修にとっては欠陥の多い制度でした.さらに,これらの欠点を運用面で補うことも,結果的には不調に終わったということです.

 米国の卒後研修制度は,当時,卒前での基本的臨床能力の習得を前提に,それまでのスーパーローテーション方式から,内科,外科などの専門研修へと移行した時期でした.米国で30年以上前にすでに取りやめた制度を,日本ではこれから開始するということになります.この大変な違いは,社会制度,医療制度,そして医学教育制度などの差異によるものでしょう.制度を単に形だけ移入し,その背景への理解と対応の不十分さが,「失われた36年間」といわれる付けを回すことになったように思います.同じ過ちを繰り返さないことです.

回診にもインフォームド・コンセント

著者: 市村公一

ページ範囲:P.403 - P.403

 現在勤めている会社の同僚が,ある大学附属病院に入院し,退院後の朝礼でこんな感想を語ってくれた.

 「教授回診といって,普段診てくれる主治医以外に教授から研修医みたいな若い先生までたくさんの医師がやって来て,みんなで代わる代わる私の胸を聴診してフムフムと頷いていた.何だかまるでモルモットにでもされたようで,とても不愉快だった.」

 医療サイドにとっては,教授や部長などの診療責任者が主治医の治療方針を確認したり患者の状態をチェックする患者管理上重要な場であると同時に,研修医や学生に対する教育の場でもある回診.それは患者にとっても第三者の眼で自分の状態や自分に対する治療内容をチェックしてもらえる,言うなれば居ながらにしてセカンド・オピニオンを得られる,貴重な,ありがたい場であるはずだ.しかし,回診の意図や特に自分にとってのメリットがわからないために,「見せ物にされた」という被害者意識だけが残っているケースも少なくないのだろう.ある診療科で患者に回診の是非をアンケート調査したところ,「やめて欲しい」という声が過半数を占め,回診をとりやめたという市民病院の話も聞いている.

医療はコミュニケーション

著者: 下正宗

ページ範囲:P.416 - P.416

 医療が,患者さんとのコミュニケーションを基本として成立している点は,今更言うまでもありません.医療面接の目的のなかでも,医療情報の収集,ラポールの形成,教育の3本の柱の一つに数えられています.一方では,医療が高度に組織化された活動であることも忘れてはならない事実です.病院には,患者さんに直接接する診療部門のほかに,中央診療部門があります.診断関係では,検査部門,診療放射線部門,病理部門,治療関係では,リハビリテーション部門,輸血部門などです.これらの部門の特徴は,各科臨床診療部門の指示を受けて,その活動が開始されることです.専任の医師が配置されている場合もありますし,技師などのコメディカルスタッフだけで運営されている場合もあります.また,病院内で行うのではなく,病院外の専門の業者に委託されているものもあります.

 一般的には,指示伝票という文書が発行され各部署に届くことで業務が発生します.中央診療部門では,この指示伝票の情報を読みとり適切な対応をとることを要求されています.検査部門では,検体と同時に届いた依頼伝票に沿って作業が進められます.放射線部門では,伝票を受けて検査の準備をして患者さんが撮影に訪れます.医師が配置されている場合には,それぞれに読影という作業が行われ,診断が臨床各科に提供されます.すなわち,骨髄所見と診断,免疫電気泳動所見と診断,遺伝子所見と診断,病理所見と診断,細胞所見と診断,放射線画像所見と診断などが臨床各科に提供されるのです.読影担当の医師は,直接患者を診察することなく,臨床側から提供された情報のみで診断までコメントするわけです.それぞれの工程のなかで「所見をとる」ことはそれほど困難ではありません.しかし,診断名とかかわるコメントを出すには,臨床情報が必須です.読影担当医の能力を最大限に発揮させるのは詳細な臨床情報です.決して占いのように「画像を見ればぴたりと当たる」世界ではないことを理解しておいてください.院内で相談できる体制がある場合は,ぜひカルテを持って診断医のオフィスを訪ねてください.報告用紙に記載されないさまざまな役立つコメントがもらえると思います.正しい診断をするためには医療スタッフ間のコミュニケーションは必要不可欠です.

卒後初期研修―臨床医としての原点

著者: 木川和彦

ページ範囲:P.427 - P.427

 昭和43(1968)年のインターン制度廃止以来の36年ぶりの医師法の一部改正(文字通り改正でなければならない)の施行が目前です.大変革であるがゆえに伴うものだとしても,方針決定の遅れと準備不足は予想を遥かに上回るもので,特に,現在6年次の学生と彼らを新しく受け入れようとしている研修現場に,必要以上の混乱と不安が生じています.臨床研修プログラム作成にあたっている立場として忸怩たる思いの毎日です.

 平成16(2004)年度からの,この新医師臨床研修制度の導入だけで,より良い臨床研修が保証されるとは,決してだれも思ってはいないでしょうが,①卒後研修が法的に位置付けられたこと,②同一の研修目標が定められたこと,③研修の自己裁量と,④研修先の選択の幅が広がりうること,などの改善点には注目すべきです.これらの点を研修医と彼らを受け入れる研修病院・施設の双方の努力で最大限に活かしていかなければなりません.でなければ社会のニーズには応えられないことになります.

ローテート研修の罠

著者: 草場鉄周

ページ範囲:P.436 - P.436

 臨床研修必修化で標準となるローテート研修は,さまざまな疾患を経験し,知識・技術の幅を広げるという大きなメリットがある一方で,落とし穴も少なくない.そのなかでもよくある失敗は,2~3カ月という短期間の研修のなかで,その科の全貌を学ぼうと努力するあまり,結局は何も学べないというものである.私自身,研修医1年目の初期に「あれも,これも」と意気込んで取り組んだものの,自分の研修目標の半分以下しか到達できず,つらい思いをしたことがあった.

 この失敗を克服する良い方法は,自分自身の目指す医療や医師像を研修に反映させることだろう.循環器科の研修を例に挙げてみる.循環器専門医を目指す場合は,冠動脈カテーテル検査の経験を重視することで自分の志向性を試す機会にすることができる.心臓血管外科医を目指すなら手術適応に着目する.一般内科医を目指すなら心不全や虚血性心疾患の各種検査による確定診断と病棟治療,家庭医を目指すなら外来見学を増やして循環器疾患の外来マネジメントと入院適応の判断を重点的に学ぶ.

出血後Hbが下がるまでの時間

著者: 山田春木

ページ範囲:P.443 - P.443

 医師になって初めて看取った患者さんが私に教えてくれたのは,出血して1,2日経った後でさえもヘモグロビン値(Hb)が下がらない場合があることです.

 患者Hさんは,T大医学部絵画クラブの顧問をされていたご年配の画家で,学生たちやクラブOBからの人望厚く,連日医学部のエラい先生までがお見舞いに来ました.原病の血液悪性腫瘍に対する治療は一進一退で,吐・下血を繰り返すようになったあるとき,

「(こんなにひどく下血して)輸血をしなくてよいの?」

と私に尋ねたのは第3内科血液グループのM先生.夫は血液・免疫学M教授で,媒酌人をされたHさんの様子を毎日のように第1内科病棟に見に来られていたのです.

「しかし先生,今朝のHbはまだ下がっていません.輸血の予定はありません」

と答えた私が患者急変の知らせで呼ばれ,生まれて初めて“ご臨終”の声を居並ぶ先輩ドクターの前で絞り出したのは,それから半日も経たないときでした.病理解剖では腸管内に大量の出血を認め,直接死因は出血性ショックと診断されました.

考えるということ

著者: 北村聖

ページ範囲:P.463 - P.463

 臨床は意思決定の連続ということができる.意思決定といってもすべてが重いものではなく,「今すぐ診察しようか,食事の後に診察しようか」など,つまらないことを含めすべての行動が意思決定の連続といってもよい.その意味で,臨床能力が向上するということは言葉を変えれば,臨床上の意思決定が正確に,効率よくできるようになることといえる.

 意思決定論については,認知心理学や,あるいは経営学などで取り上げられている.少しではあるが医学の分野でも取り上げられている.代表的なものが,ヒューリスティック(heuristics)と呼ばれるもので,「直観」とか,「経験に基づく単純化された決定方法」というふうにいわれる.多くは無意識に用いられる.たとえば「みぞおちのあたりが痛い」と言う患者をみれば,多くの医師は食事と痛みの関係を尋ねる.しかし,労作との関係は尋ねない.これは,心窩部痛が胃潰瘍など消化器疾患であることが多いことを経験的に知っており,狭心痛が時に心窩部痛と訴えられることは知識では知っていても,頻度が少ないため実際の臨床現場では思い浮かばないことによる(利用可能性バイアス).一般には,ヒューリスティックは思考の陥穽と促えられ,規範的・理想的な思考ではヒューリスティックに陥らずに,すべての可能性を考えて対処するようにといわれる.しかし,ヒューリスティックには思考の節約といった意義があり,現実の臨床ではあながち悪い思考とばかりはいえず,「効率的な思考」と促えることも可能である.特に,救急など,瞬時に的確な判断を要する場合は,より多くの経験が求められ,この「経験」が「より精緻なヒューリスティック」を指している.

肘内障の整復

著者: 山藤雅之

ページ範囲:P.501 - P.501

 肘内障の整復の方法についての記述は日本のみならず海外にも数多くあるが,どれを読んでも“今一つ理解できない”か“実際に患者を前にしたとき記憶があやふやになる”難解なものが少なくない.

 今回は,筆者が当院のレジデントにも教えている非常に簡単で確実な方法(図1)を紹介するとともに,診断,治療のピットフォールを解説する.

医局制度

著者: 冨高辰一郎

ページ範囲:P.511 - P.511

 最近,医局制度を改革しようとする大学病院がいくつか出てきました.弘前大学が昨年末に廃止を宣言しました.札幌医大や群馬大学医学部も医局制度の改革を行うと聞きました.東海大学医学部も診療と教育を分離する,と報道されています.

 それぞれの大学で医局制度改革の方法は違います.医師の派遣依頼を病院長が窓口となる会議で決めたり,診療と教育を人事面で分けようとしたりと,やり方はさまざまです.先行した大学病院で良い結果が出れば,追随するところも出てくると思うので結果を期待しています.

スタッフとの関係

著者: 尾形和泰

ページ範囲:P.519 - P.519

 研修医に限らない話ですが,看護師さんをはじめ,スタッフとの関係をしっかり築くことは研修をスムーズにするだけでなく,患者さんの安全を考えても大切なことです.

 一般に,研修医は指導医よりも患者さんのベッドサイドに行く機会も多いですし,ゆっくりと話を聞く時間もあります.しかし,患者さんにとっては,研修医といっても「医者」ですから,言いにくいことがあるかもしれません.

研修医の心得

著者: 山本和巳

ページ範囲:P.529 - P.529

 ローテート研修中は短期間に複数の病棟に出入りすることになります.研修科や病棟によってスタッフはもちろん,業務内容やスケジュール,働き勝手も全く違い,研修医は研修科が変わるたびに相当なストレスにさらされるのが実情です.ストレスに翻弄されて本来の研修が疎かになってしまうのでは困ります.そこで,そんなストレスフルなローテート研修を乗りきるための,私の独断によるポイントをご紹介します.

 まず,新しい科や病棟では,自分が見ている以上に周囲のスタッフから見られていることを意識しましょう.初めは研修医といえども,そこでは「異物」も同然です.そもそも短期間しかいない存在ですので「お客様」扱いです.変なことをすれば目立ちますし,何もしなければ全く相手にされません.初めから業務をスムースにこなせないのは仕方のないことですが,研修医としての立場や態度に常に留意することが大変重要です.具体的には,①いつも元気に明るく,②言語明瞭で意思明確に,③適当な相手,場所,タイミングを考え,④謙虚な気持ちで数多く質問し,⑤体を積極的に動かして貪欲に学び,⑥なにより,患者さんに親切で信頼される,などがポイントです.これだけできれば,まず周囲のスタッフから悪い印象はもたれないでしょう.医療はチームワークですから,スタッフとの良好な関係をいかに速やかに築けるかに研修の成否がかかっています.例えば,次のようなコツもあります.

李下に冠を正さず

著者: 冨高辰一郎

ページ範囲:P.537 - P.537

 医師になって2年目,私は内科研修を地方都市の某市中病院で行っていた.症例も豊富で,指導医にも恵まれ,自分が医師として日々成長するのを自覚できるような充実した生活を送っていた.病棟では看護師からかわいがられ,時には若手医師たちと看護師さんのグループでドライブに行ったりと公私ともに楽しい日々だった.あの事件があるまでは…….

 ある日先輩医師から「薬局にかわいい新人薬剤師が数人入ったので飲み会に誘ってこい」と頼まれた.私はその新人薬剤師らの顔も見たことがなかったのだが,いつもお世話になっている先輩の頼みでもあるし,夜間当直の時間を利用して新人薬剤師さんに連絡することにした.昼間忙しい仕事中に薬局に行き,飲み会に誘うのは不謹慎と思ったし,新人薬剤師さんの当直日と私の当直日がその週は偶然重なっていたのだ.

研修医卒業試験

著者: 山本和巳

ページ範囲:P.554 - P.554

 私が学生の頃から漠然と思い描いていた理想の医師像というものがありました.それは例えとして,「飛行機の中で急病人が出た際に,いかなる主訴でも自信をもって名乗りを上げられる医師」というものでした.言い換えれば,あらゆる救急疾患の初療ができるということです.専門性に対する興味がなかった研修医時代は,研修後に僻地勤務に出ることが決まっていたこともあり,多科ローテート研修の後に,1年間救急部専属の研修を積みました.救急での経験を重ねるにつれ,それなりの自信はついたものの,所詮研修医です.常に後ろ盾があって責任を半分しか負わないような環境ですので,自分の行った医療行為の成果や,医師であること自体に大きな喜びを感じることができずにいました.

 研修医生活も終わりに近づき,私事ですが結婚することになり,大学時代の先輩に結婚式での余興をお願いしました.同士とともに演じられた寸劇は,救急医である私がサンフランシスコ行きの航空機内で急病人に遭遇するという設定でした.急病人の対処に右往左往する仮の私の姿をおもしろおかしく演じるのを見て,何も考えずに楽しみました.ところが,式の翌日に出発した新婚旅行で,サンフランシスコ行きの航空機内で本当に急病人に遭遇してしまったのです.なんとも偶然の成り行きと思いながら,私は求めに応じて医師として機内で診察を行いました.幸いにも大事ではありませんでしたが,それまで病院内でしか医師として振舞った経験がなかったこともあり,そのときの私の緊張と興奮はかなりのものでした.

やる気と期待:予言の自己成就

著者: 北村聖

ページ範囲:P.601 - P.601

 卒後研修で最も大切なことは何かと問われたとき,常にそれは「やる気」であると答えている.研修医の選抜の面接でも「やる気」を高く評価するように努めているが,客観的に見るのはなかなか難しい.

 WHOの健康の定義に「身体的な健康」と,「精神的な健康」とに加え,「spiritualな健康」が追加された.日本語としての定訳はないが「霊的な」などと訳していることが多いのではないだろうか.私はこれを「気合」とか「やる気」などと勝手に解釈している.逆に,やる気のない日というものはどうしてもあるもので,そういう日は患者さんから「先生,元気ないですね」とかえって心配されたり,インシデントを起こしたりする.やる気のないときは,当然研修の効果も上がらないだろう.

病理医との対話

著者: 下正宗

ページ範囲:P.605 - P.605

 病理診断は最終診断(final diagnosis)といわれています.確かに,現時点では,病理組織学的診断を最終診断として種々の医療行為が進行していきます.腫瘍マーカーが上昇していても,局在がはっきりしない腫瘍は切除のしようがありませんし,ましてや化学療法などの適応になりません.病理組織学的に判断が難しい症例に遺伝子診断などの手法も用いられてきていますが,その基本になるのはヘマトキシリン・エオジン(HE)染色を中心とした病理組織学で,遺伝子診断が先に行われることはありません.病理医に診断を依頼する際には,できる限り詳細な臨床情報と肉眼・画像所見がある場合には,その所見を詳しく伝える努力をしてください.病理医は組織学的な所見だけでなく,臨床側からの情報を十分加味して病理組織学的診断を行います.しかしながら,病理医の診断が万能でないのも事実です.もし,自分が考えているものと違った診断名の報告用紙をもらったら,ぜひ病理医に診断に至った過程を聞いてみてください.

 私がまだ認定病理医になる前の研修時代の話です.胃内視鏡でⅡc型の胃癌が疑われ,生検された検体が届きました.標本を作って見てみると軽い炎症所見があるのみの胃粘膜でした.その結果を見た内視鏡検査を実施した内科医が「そんなはずはない.もう一度見直してほしい」ということで病理検査室を訪ねてきました.レクチャースコープで同じ標本を見ながら腫瘍細胞がないことを確認しましたが,写真を見ながら「出ないのはおかしい」ということになり,「深切り」することになりました.「深切り」とは,検体をさらに削ってたくさん標本を作ることです.顕微鏡で検索する検体の厚さは通常2~4μmです.1mmの生検検体で,熟達した技師で250~500枚までの間で標本ができていきます.つまり,1mmの検体をどの向きから薄切するかで,腫瘍細胞があっても標本に載ってこない可能性があるわけです.このケースの場合は,検体がなくなりかけた残り十数枚の場所から低分化型腺癌が出現してきました.臨床医の肉眼所見に対するこだわりが癌の診断に結びついたわけです.病理診断の限界もわかりながら,病理部門との連携を深めていってほしいと思います.

サマリーというもの

著者: 草場鉄周

ページ範囲:P.609 - P.609

 臨床研修というと,毎日の診察・検査・治療とそれに伴う知識の吸収,技術の習得に焦点が当てられるのは当然であるし,学習者も指導者もそれに異を唱えないであろう.

 ここに「サマリー(退院時要約)」というものがある.入院患者が回復あるいは死によって病棟を去る際に,担当医が入院から退院までの治療の流れを記録する公式文書である.おそらく,日々の研修のなかで記載する機会も多いと思うが,すべての診療を終えた後に書く性質のものなので,人によっては忙しさのなかで業務として仕方なく書いていることも少なくないだろう.華々しい研修のなかでは地味な存在といえる.

他山の医師

著者: 橋本直明

ページ範囲:P.616 - P.617

 「もっと触って」「ズボンをぬがせて」.これは,今春他界された上野幸久先生の著書『先生もっとよく診てお話しを!』のなかの一節である1).先生は問診と診察とを殊のほか大切にされ,著書のほか,本誌にも寄稿されておられる2).患者様のお話をよく伺い,身体所見をきちんと取ることは,診療の基本のはずなのだが,多忙で雑然とした日々の診療では,ともすればこのことが守られなくなる.以下の稿は筆者の失敗の記録である.不十分な問診に加えて,診察を省略しようとして,危うく誤診の落とし穴にはまるところだった.若い先生方に,他山の石(医師?)にしていただければ幸いである.(お三方で分担して音読して下さるのも一法です.)

基本情報

medicina

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1189

印刷版ISSN 0025-7699

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55巻1号(2018年1月発行)

特集 気管支喘息・COPD診療に強くなる

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