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教訓となった症例(1)
著者: 山口哲生1
所属機関: 1JR東京総合病院呼吸器内科
ページ範囲:P.79 - P.79
文献購入ページに移動〔症例1〕 1978年6月.60歳代男性.息切れを主訴として独歩で来院.ひどい亀背があったが,その他の身体所見に異常はないとした.「息切れは亀背のせいだろうか」などと勝手に考え,胸部X線像も異常なしとして帰宅させた.夜に息切れが強くなり,他の先生が往診したところ,著しい心収縮期雑音があり「心筋梗塞後のVSDか乳頭筋断裂だろう」とのことであった.私のカルテには「heart sound; no murmur」と書かれてあった.私は本当に聴診をしていたのだろうか.胸痛のない心筋梗塞など思いもよらず心電図もとっていなかった.その夜半に患者は亡くなられた.
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