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空の輝きの一部は家々の灯りである
著者: 山本和利1
所属機関: 1札幌医科大学医学部地域医療総合医学講座
ページ範囲:P.248 - P.248
文献購入ページに移動ある夜,発熱がひどいので往診してほしいという依頼があった.これまで発熱くらいで往診をしたことはなかった.病院に行きたくとも車がないというので運転手と看護師と私の3人で出向くことにした.15分ほど車で行くと道が途切れた.往診鞄と太い竹竿を運転手が往診車から取り出してきた.竹竿に往診鞄を吊して私が前で運転手が後を担いで30度はあると思われる坂道を登った.これがこの町での往診スタイルだった.15分経っても着かなかった.家の灯りが見えた頃には全身汗でビッショリだった.患者さんを診ようとすると冷たい飲み水とおしぼりが出された.10分ほど家の方と話をしてから患者さんを診察した.高齢の婦人であった.かぜと診断した.事前に用意してきた薬を飲むように指示した.帰り道,空を見上げると星に手が届きそうだった.
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