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塩分に注意しましょう
著者: 下正宗1
所属機関: 1医療法人財団東京勤労者医療会東葛病院
ページ範囲:P.304 - P.304
文献購入ページに移動私が研修医の頃,ある高血圧患者さんの担当になりました.型どおりに「塩分制限」の必要性を中心とした生活・栄養指導を行っていました.入院中には病院の食事にも慣れ,降圧薬も必要がなくなるくらいの軽症高血圧の患者さんでした.病院での味覚に慣れたとはいっても自宅で同じような味覚のものを継続するのはなかなか難しいものです.次第に塩分が増えてくることはしばしば経験することです.この患者さんが外来で血圧があまりに高くなってきたので「塩分制限が守られていませんね.このままだとまた入院するか,薬を始める必要がありそうですね」とお話をしました.すると患者さんは毅然として「塩分制限は守っています.食塩は退院した後言われた量以上は使っていません」とおっしゃいました.「変ですね.ストレスかな? 食事を作るときに前と変わったことは食塩を使わなくなったことだけですか?」と問いかけたところ,「塩がないとやっぱり味があまりしないので,これまではあまり使わなかった味の素で味を調えるようにしました」との答えがありました.これだったのです.味の素は成分名ではグルタミン酸ナトリウムです.ナトリウムイオンの負荷は減るどころかかえって増えていた可能性もあります.それ以来,減塩指導のときには,味の素の話も出し,ナトリウムが入っているものに気をつけなさいという指導内容にしています.
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