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文献詳細

雑誌文献

medicina40巻12号

2003年11月発行

文献概要

column

若い医師よ大海で腕を磨け!

著者: 岩田修1

所属機関: 1帝京大学市原病院麻酔科

ページ範囲:P.388 - P.388

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 最近の医療の進歩には目覚ましいものがあり,最先端の医療機器や医科器械,医療材料によって診断や治療はより正確かつ容易,迅速に行えるようになった.従来は医師個人の能力の差が診断や治療行為に大きく影響し,医療の格差が存在したが,これら医療機器・機材の進歩は医師の個人的手腕の格差を減少させ,すべての患者さんが最先端の高度な治療を安心して受けることができるようになることにつながる……はずであるが,実際の医療現場で感じる印象は多少異なっている.

 私は麻酔科医として15年間ひたすら臨床に携わってきたが,最近は医師の技術的成長が周囲機材の進歩に遅れている,いや,以前よりも低下しているのではないかと感じる.確かに内視鏡や顕微鏡下手術,電気メスやレーザーメス,自動吻合器や縫合器など医療手技や機材の進歩に伴い,経験や鍛錬によって築かれる“わざ”的な技術が必要とされることが少なくなった.しかし,面倒で難しかった手技を習得するための鍛錬が必要なくなったことにより,基本的技術そのものが低下し,その結果,これら新しい手技に熟練することが困難になってきているように思う.最近の医療訴訟においても技術的なミスによる事故が増加してきており,医師は個人の技術向上に対する意識を強くもつことが要求されている.私は一生懸命やりましたが,不器用だから患者さんが死んでしまいました,なんてことは許されない.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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