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雑誌目次

雑誌文献

medicina40巻5号

2003年05月発行

雑誌目次

今月の主題 一般医も診る血液疾患 血液疾患を見逃さないために―診断のきっかけ

血液像から何がわかるか?―末梢血赤血球血液像の読み方

著者: 宮地勇人

ページ範囲:P.770 - P.773

ポイント

・末梢血赤血球の形態変化は,貧血において,赤血球動態に関する情報や確定診断の手がかりを提供する.

・赤血球の形態の読みと病態の絞り込みは,MCV,網赤血球数を解釈したうえで行う.

・赤血球の形態所見は,白血球数や血小板数異常での鑑別にも有用である.

血液像から何がわかるか?―末梢血白血球血液像の読み方

著者: 朝長万左男

ページ範囲:P.774 - P.775

ポイント

・血液一般検査実施時には,必ず白血球分類を行うべきである.

・好中球,リンパ球の増減を,%ではなく絶対数で判定する習慣をつける.

・芽球や異常細胞の出現は,白血病,悪性リンパ腫,ATLの診断の端緒となる.

血液像から何がわかるか?―末梢血血小板血液像の読み方

著者: 川合陽子

ページ範囲:P.777 - P.779

ポイント

・血小板形態の観察は,従来見過ごされる傾向にあったが,先天性血小板機能異常症や骨髄異形成症候群の診断に不可欠である.

・特に巨大血小板・奇形血小板・灰色血小板・小血小板などの比率が高いときは,血小板機能検査や骨髄穿刺などの精査を進める補助診断として有用である.

リンパ節腫脹―リンパ腫を疑うとき

著者: 矢野尊啓

ページ範囲:P.780 - P.782

ポイント

・リンパ節腫大の増大速度,局所の疼痛の有無,触診上の硬度が鑑別診断上重要である.

・悪性リンパ腫のリンパ節は弾性硬で無痛性のことが多い.

・悪性リンパ腫でも,時に腫大リンパ節が自然に縮小することがある.

・癌の転移によるリンパ節腫大は石様硬であり,深部とも強く癒着して可動性を欠く.

・4~8週間の観察で改善しない頸部,鎖骨上窩,腋窩リンパ節腫脹は,生検の適応である.

どのようなときに骨髄検査をするか

著者: 内田秀夫

ページ範囲:P.783 - P.785

ポイント

・骨髄検査は,血液悪性腫瘍や造血障害をきたす疾患の診断,病期決定,および治療効果の判定に必要不可欠な検査である.

・骨髄検査には穿刺法と生検法がある.特に細胞密度の評価には生検法が重要である.

・骨髄検査の施行可能部位は,成人では胸骨,腸骨である.

・凝固異常症や重篤な出血傾向では,骨髄検査は一般に禁忌である.

血液異常へのアプローチ

貧血と多血症の精査

著者: 生田克哉 ,   鳥本悦宏 ,   高後裕

ページ範囲:P.787 - P.789

ポイント

・貧血を診た場合,平均赤血球容積(MCV)によってまず小球性,正球性,大球性に分類し,さらに鑑別診断を行う.

・多血症は,循環赤血球量から絶対的赤血球増加症と相対的赤血球増加症を鑑別し,さらに鑑別診断を進めていく.

白血球減少・増多の精査

著者: 中村弘之 ,   檀和夫

ページ範囲:P.790 - P.791

ポイント

・白血球数減少・増多の診断は,それぞれの血球の種類ごとに分けて考える.

・好中球500/μl以下では重症感染症合併のリスクが高いので,迅速な対応が必要である.

・多系統の血球異常から血液疾患を疑ったら,速やかに血液専門医に紹介する.

血小板減少・増多の精査

著者: 村上博

ページ範囲:P.793 - P.797

ポイント

・血小板減少症の原因として,血液疾患以外に,自己免疫疾患,ビタミンB12など代謝性因子,凝固・線溶系の異常,薬剤性などによるものを血液疾患以外に考える必要がある.

・血小板減少をきたす遺伝性疾患がある.

・血小板数が正常なのに出血傾向がみられる場合は,薬剤性を否定したうえで血小板機能異常症を疑う.

・血小板増多症は,慢性骨髄性白血病や悪性腫瘍の合併に注意する.

凝固・線溶系の異常

著者: 尾崎由基男

ページ範囲:P.798 - P.800

ポイント

・出血傾向,血栓傾向の鑑別診断をするうえで,生理的な止血機序を十分に理解することが必要である.

・正常な止血には,血管,血小板,凝固,線溶などの要素が重要であり,これらのどれに問題があるのかを判定しなければならない.

・まず,最も重要なアプローチとして,詳細な問診・診察が必要である.正確な病歴と症状を把握した後に,診断に有用な臨床検査をオーダーすべきである.

・スクリーニング検査で,ある程度の機序を推定し,次に特殊検査を行う.

単クローン性免疫グロブリン血症をみつけたら

著者: 木下朝博

ページ範囲:P.802 - P.804

ポイント

・単クローン性免疫グロブリン血症は,多発性骨髄腫や悪性リンパ腫などリンパ増殖性疾患に伴って認められる.

・リンパ増殖性疾患が明らかでない病態として,monoclonal gammopathy of undetermined significance (MGUS)がある.

・MGUSは治療を要しないが,多発性骨髄腫などへ病態進展する場合があるため,慎重な経過観察が必要である.

血液異常を起こしうる薬剤

著者: 芦田隆司 ,   金丸昭久

ページ範囲:P.805 - P.807

ポイント

・薬剤による血液異常の診断で重要なことは,まず薬剤起因の可能性を疑うことである.

・薬剤投与と症状発現との時間的関連性に留意する.

・薬剤と特有の副作用の報告を参考にする.

・重篤になる前に,速やかに薬剤を中止する.

血液検査と感度・特異度

著者: 新保卓郎

ページ範囲:P.808 - P.810

ポイント

・感度・特異度・尤度比を知ることで,具体的に検査特性を把握し結果を解釈できる.

・感度の高い検査は除外に有用であり,特異度の高い検査は確定に有用である.

・複数の所見の意義をまとめる方法として,clinical prediction ruleが発展してきた.

・検査をする決断には,検査特性のほかにいくつか考慮すべき要因がある.

一般医も診る血液疾患―マネジメントの注意

鉄欠乏性貧血,溶血性貧血のマネジメント

著者: 小船雅義 ,   加藤淳二

ページ範囲:P.812 - P.815

ポイント

・鉄欠乏性貧血の確定診断は,血清鉄が低いことではなく,低フェリチン(Ft)血症と総鉄結合能(TIBC)の高値を目安とする.

・鉄欠乏性貧血では,消化管あるいは婦人科領域の悪性腫瘍に伴う出血が原因となっていることがあり,基礎疾患の検索が必要である.

・溶血クリーゼが疑われる場合には,患者を緊急入院させ,早急な診断と総合的な治療が必要である.

腎性貧血,慢性疾患に伴う貧血のマネジメント

著者: 高橋直樹 ,   別所正美

ページ範囲:P.816 - P.818

ポイント

・基礎に腎不全があり,血中エリスロポエチン(EPO)の相対的または絶対的低下が主な原因である貧血を,腎性貧血という.

・保存期または透析下の慢性腎不全患者は,いずれも遺伝子組換えヒトエリスロポエチン(rhEPO)の保険適用があり,欧米の成績では,Htを33~36%に高めることにより予後とQOLを高めることが知られている.

・慢性疾患に伴う貧血(anemia of chronic disorders:ACD)の病態には炎症性サイトカインによる赤芽球系コロニーの抑制が関与しており,最近では基礎疾患の病態の改善のほかに,抗TNF-α抗体による貧血の改善が期待されている.

赤血球増多症の外来マネジメント

著者: 大屋敷一馬

ページ範囲:P.821 - P.823

ポイント

・治療の基本方針としては,①ヘマトクリット値は45%を目安,②50歳未満では,血栓症のリスクがない限り瀉血のみでコントロールし,瀉血を頻回に必要とする患者や血栓症の既往のある患者では,ハイドロキシウレアを投与,③70歳以上の患者にはハイドロキシウレアを投与し,補足的に瀉血を行う,④50~70歳までの患者では,血栓症のリスクファクターを考慮しながらハイドロキシウレア投与と瀉血の組み合わせでコントロール,などが挙げられる.

血小板増多症の外来マネジメント

著者: 岡村精一

ページ範囲:P.824 - P.826

ポイント

・血小板数60万/μl以上の血小板増多症は医療の対象となる.

・反応性血小板増多症では,原疾患の診断と治療が必要である.

・原発性血小板増多症の確定診断は血液専門医が望ましい.

・本態性血小板増多症の症状としては,肢端紅痛症,頭痛,一過性脳虚血発作などがある.

・本態性血小板増多症の治療としては,低用量アスピリンや高度のものには抗腫瘍剤の投与が外来ベースで行われる.

好酸球増多症のマネジメント

著者: 増本暁

ページ範囲:P.827 - P.829

ポイント

・好酸球の産生や機能の活性化には,Tリンパ球などが産生する各種のサイトカインがきわめて深く関与している.

・好酸球の増加には反応性と腫瘍性とがあるが,両者の区別は必ずしも明確ではない.

・原因不明の著しい好酸球増多が長期間持続し好酸球浸潤による臓器障害が存在する場合を,好酸球増多症候群(hypereosinophilic syndrome:HES)と呼ぶ.

多発性骨髄腫を見逃さないために

著者: 朴載源

ページ範囲:P.832 - P.834

ポイント

・単クローン性抗体(または軽鎖)の検出は,多発性骨髄腫の診断の1つの鍵である.

・その確認には,血清および尿の免疫電気泳動が必要である.

・脊髄圧迫症状で発症する多発性骨髄腫では,迅速な診断・治療が重要である.

・多発性骨髄腫は,発熱・舌の腫瘤・触知される髄外腫瘤などを伴って発症することがある.

悪性腫瘍に伴う血液異常

著者: 高山信之

ページ範囲:P.835 - P.837

ポイント

・悪性腫瘍における血液異常で最も多いのは貧血だが,原因にはさまざまなものがある.

・悪性腫瘍が造血因子(エリスロポエチン,G-CSF,トロンボポエチン)を産生する結果,血球増加をきたすことがある.

・悪性腫瘍が進行した病態では,骨髄転移,播種性血管内凝固もしばしばみられる.

リウマチ性疾患に伴う血液異常

著者: 諏訪昭 ,   金子祐子 ,   野島崇樹

ページ範囲:P.838 - P.840

ポイント

・血液検査は,リウマチ性疾患の診断,病態・病勢の評価,治療効果判定,副作用や合併症の把握などに有用である.

・慢性疾患に伴う貧血(anemia of chronic disorders)は,造血剤投与に反応しない.

・SLEの難治性血小板減少の治療として,ステロイドパルス療法,免疫抑制療法,免疫グロブリン大量療法,摘脾術などがある.

肝疾患・内分泌疾患に伴う血液異常

著者: 米山彰子

ページ範囲:P.842 - P.844

ポイント

・重症肝障害では,赤血球寿命の短縮,脾機能亢進,骨髄機能障害,血漿量増加,栄養障害,出血,溶血などの複合的な原因で貧血をきたしやすい.

・肝疾患では,ビタミンK依存性凝固因子の減少,活性化凝固因子などのクリアランス低下,DIC,限局した血管内凝固などから凝固異常が生じやすい.

・造血に影響のあるホルモンの過剰や欠乏により,貧血などの血液異常が生じる.

妊婦の血液異常

著者: 小峰光博

ページ範囲:P.845 - P.847

ポイント

・妊婦には特有な血液変化があり,検査データの解釈上わきまえておく.

・妊婦に多い血液異常は鉄欠乏性貧血であり,葉酸欠乏にも注意する.

・妊娠性血小板減少は見かけの減少であり,治療を要しない.

・ITP合併妊娠では,母体と児の出血管理が問題となる.

・抗リン脂質抗体症候群はITPと区別して管理する.

血液疾患患者への投与に注意が必要な薬物

著者: 布施一郎

ページ範囲:P.849 - P.851

ポイント

・赤血球系疾患では,酸化的薬剤,葉酸拮抗薬,ビタミンB12代謝拮抗薬の投与に注意する.

・抗腫瘍剤使用時は,各薬剤の副作用をあらかじめ熟知し,投与に支障がないことを確認する.また,使用後も細心の注意を払ってモニターする.

・抗腫瘍剤,免疫抑制剤,抗凝固剤などは,併用薬によってその効果が増強ないしは減弱する場合がある.

血液異常と外科手術―手術,観血手技処置前の検査異常とその対策

著者: 中島光

ページ範囲:P.852 - P.854

ポイント

・外科手術に伴う出血のリスクは,手術の種類,患者の状態により一様ではなく,スクリーニング,治療ともリスク層別化したアプローチが効率的である.

・出血に関する病歴が最も大事なスクリーニングである.

・出血時間は信頼度の低い検査であり,術後出血との相関がない.

・出血凝固に精通した血液内科医との協力が,出血素因のある患者の手術において重要である.

一般内科医にとっての輸血

著者: 髙橋孝喜

ページ範囲:P.855 - P.857

ポイント

・成分輸血が原則であり,得失をよく検討して適応を決定する.

・ウイルス感染症対策などの進歩により血液製剤の安全性は高くなっているが,ABO型不適合輸血の問題はなお未解決である.

・アルブミン製剤などの血漿分画製剤の多くを輸入しているほか,少子高齢化に伴う血液の相対的不足も懸念される.

・安全かつ適正な輸血の実践が急務である.

血液エマージェンシーの管理

急性失血への対応

著者: 田中孝也

ページ範囲:P.859 - P.861

ポイント

・出血初期のHb,Htは出血の程度を反映しない.

・血圧が100mmHg以下に低下する前に輸血を開始する.

・循環血液量の10%(約10ml/kg)の減少は輸液のみで対応可能.20ml/kg以上では輸血を必要とする.

・1ml/kg/min以上での輸血は避ける.

・出血への対応は,軽度:乳酸加リンゲル液,中等度:乳酸加リンゲル液+コロイド液(+輸血),重症:乳酸加リンゲル液+輸血と考える.

好中球減少時の発熱,敗血症

著者: 村瀬忠

ページ範囲:P.862 - P.865

ポイント

・血液培養などの培養検査,胸部X線撮影を行う.

・直ちに緑膿菌を含むグラム陰性桿菌に効力のある殺菌的抗生物質の点滴を開始する.

・発熱が4~5日以上持続する場合は,バンコマイシンand/orアムホテリシンBの投与を開始する.

・基礎疾患,原因となる医療行為(CVC,ステロイド,免疫抑制剤など)を評価する.

・院内の検出菌,感染情報を確認し,培養検査は繰り返し行う.

・CTスキャンなどの画像検査を積極的に用いる.

血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)/溶血性尿毒症症候群(HUS)

著者: 中世古知昭 ,   高林克比己

ページ範囲:P.866 - P.868

ポイント

・血小板減少とLDHの異常高値をみたときはTTPを疑い,破砕赤血球の有無を確認する.

・後天性TTPでは,von Willebrand因子特異的切断酵素に対するインヒビターの産生が原因となることが多い.

・典型的HUSは,病原性大腸菌O-157感染症に続発する.

・TTPと診断したら,速やかに血漿交換を行う.

播種性血管内凝固症候群(DIC)

著者: 廣澤信作

ページ範囲:P.870 - P.873

ポイント

・DICは,感染症・悪性腫瘍などの基礎疾患を有する患者に,組織因子の発現により全身性に凝固系の活性化が起こり,凝固因子・血小板が消費されて出血をきたす.

・凝固時間,血小板数,FDPなどから診断し,基礎疾患の治療(抗生物質や抗癌剤),抗凝固療法(へパリン,合成蛋白分解酵素阻害薬)と補充療法(新鮮凍結血漿,濃厚血小板)を行う.

特発性血小板減少性紫斑病(ITP),血友病の出血

著者: 倉田義之 ,   髙松純樹

ページ範囲:P.874 - P.877

ポイント

・特発性血小板減少性紫斑病(ITP)と血友病で,止血対応は全く異なる.

・ITPの出血で出血斑が散在する程度では,治療を開始しない.鼻出血や口腔内血腫など粘膜出血出現時には,治療を開始する.

・止血は局所の圧迫が基本.下血など重篤な出血時には,血小板輸血,ガンマグロブリン大量療法も必要.

・血友病での出血時は,欠乏している因子の補充が原則.出血の部位により必要血中レベルは異なる.

・凝固因子に対する抗体が生じているインヒビター症例は,速やかに血友病専門医への紹介が必要.

演習・腹部救急の画像診断(11)

山林作業中落下した丸太に衝突した60歳男性

著者: 兼子晋 ,   郡太郎 ,   葛西猛 ,   八代直文

ページ範囲:P.889 - P.894

Case

症 例:60歳,男性.

主 訴:左側胸部痛.

既往歴:特記すべきことなし.

現病歴:山林でしゃがみ込んでの作業中に,直径20cmの丸太が落下してきて,左側胸部に衝突して受傷.

現 症:血圧130/70mmHg,脈拍数110/min,呼吸数24/min,意識清明,呼吸音に左右差はなし.左肩甲部に打撲痕,左側胸部全体に自発痛および圧痛,腹部には明らかな所見なし.

検 査:Hb14.1g/dl,AST47IU/l,ALT25IU/l,LDH442IU/l,CPK818IU/l,SpO2 97%(room air).腹部エコー検査で腹腔内貯留液あり.来院時の腹部造影CTを提示する(図1a,b).

カラーグラフ 手で診るリウマチ(5)

痛風結節,偽痛風

著者: 上野征夫

ページ範囲:P.896 - P.897

 症例は50歳代,白人男性.15年程前より,親指にこぶがあるのに気づき,それが次第に大きさを増してきて,ナイフ,フォークが持ちにくくなった(図1).血清尿酸値が高いため,リウマチ外来を紹介される.過去に痛風発作の既往はなく,また痛風の家族歴もない.外来にて結節表面の白色部分を削り取り鏡顕したところ,針状の尿酸結晶であることが判明した.結節は,手術的に成功裡に除去された(図2).

 痛風結節(tophus)とはギリシア語で“チョーク石”を意味する.1797年に,英国の医師・物理学者William Wollastonが,痛風結節が尿酸塩結晶の塊であることを証明している.痛風結節は関節滑膜や滑液包に沈着して大きくなり,すなわち関節周囲に生じる場合と,耳介やアキレス腱などの軟部組織に発生する場合とがある.

連載

目でみるトレーニング

著者: 玉井佳子 ,   藤田浩之 ,   大山高令

ページ範囲:P.900 - P.905

問題 334

 症 例:34歳,男性.

 主 訴:頭重感.

 既往歴:特記すべきことなし.

 家族歴:父親と父方の叔父が鼻出血を反復する.

 現病歴:中学生時よりバチ状指と口唇のチアノーゼを認めていたが,放置.約半年前から労作時の易疲労感と頭重感があり,近医を受診したところ,胸部X線写真異常と多血症を指摘され,精査のため当院紹介となった.

救急神経症候の鑑別とマネジメント(5)

遷延性意識障害のneuro-critical care

著者: 永山正雄

ページ範囲:P.908 - P.912

可逆性遷延性意識障害例の存在

 集中治療の普及と発達により急性期の死亡は免れたが,脳血管障害後遺症や低(無)酸素・虚血後脳症,急性脳症などにより,回復の見込みなく意識障害が遷延する例が増加しつつある.一方,臨床的には,脳死や遷延性植物状態に紛れて存在するpseudocoma(広義)や,診断の困難性や時には主治医の努力不足により治療の機会を逸している病態の鑑別と治療が重要である.昨年筆者らは,その臨床像を“可逆性遷延性意識障害”として初めて報告した.これらは本来急性期の病態ではないが,意識改善による本人や家族の喜びは計り知れず,新しいneuro-critical care上の命題として本稿で扱う.

基本情報

medicina

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1189

印刷版ISSN 0025-7699

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