icon fsr

雑誌目次

雑誌文献

medicina41巻1号

2004年01月発行

雑誌目次

今月の主題 高血圧診療のエビデンスと個別的治療―主治医の役割とジレンマ 個別降圧療法のために知っておくべき基本情報

日本の高血圧治療―現状と課題,日本人と欧米人の高血圧の共通点と違い

著者: 築山久一郎 ,   生駒英子

ページ範囲:P.6 - P.8

ポイント

 わが国における主要死因別にみた年齢調整死亡率をみると,脳卒中は減少し,最近では心疾患とほぼ同程度である.

 欧米諸国の高血圧例では,虚血性心疾患発症が脳卒中と比べて高頻度である.わが国の高血圧例では脳卒中の比率は高いが,脳出血は減少し,相対的に脳梗塞の重要性が増している.

 わが国も欧米諸国も同様に降圧薬服用率は上昇しているが,不十分であり,同時に降圧目標の達成率は低い.

2000年以降の大規模介入試験と新しいガイドラインの日常診療への応用

著者: 武田和夫

ページ範囲:P.9 - P.14

ポイント

 2000年以降,高血圧治療に関する大規模介入試験は,約13ほど発表されている.これらの成績を受けて,ガイドラインの改訂が次々発表されてきている.なかでもALLHAT試験は薬剤比較のうえでも重要な成績であり,この試験でサイアザイド系利尿薬の評価が大きく変わった.しかし全般的には,高血圧の治療は,基本的にlower is betterの方向を示している.

【血圧評価】

これからの医療施設における血圧測定はどうあるべきか

著者: 杤久保修 ,   岸本彩

ページ範囲:P.15 - P.17

ポイント

 血圧は2回以上の各来院時に2回以上適切に測定された座位の血圧平均で判定する.

 JNC7報告の成人における血圧分類では正常は120/80mmHg未満,高血圧は140/90mmHg以上,両者の中間は前高血圧と分類される.

 血圧の自己測定(家庭血圧測定)や携帯式血圧測定(ABPM)は,白衣高血圧,睡眠血圧などの評価に役立ち,またその測定値は標的臓器障害とよく相関する.

 これからの医療施設における血圧評価や管理には,情報通信技術の応用が必要と考えられる.

家庭血圧―最近の知見と活用法

著者: 今井潤

ページ範囲:P.18 - P.21

ポイント

 家庭血圧は測定条件を統一することで,再現性が高まる.また診療情報としての共有性が高まり,その結果その臨床的価値は高まる.

 家庭血圧は上腕カフ装置を用い,朝晩少なくとも1回ずつ,朝は起床後1時間以内,座位1~2分の安静後,排尿後,服薬・朝食前に,晩は就床前,座位1~2分の安静後に測定する.

 1機会に複数回測定された値は選択されず記録されるべきである.診療情報としては朝晩1回目の測定値の長期の平均を用いる.その平均値が135/85mmHg以上を高血圧とし,125/80mmHg未満を正常血圧とする.

重症度と臓器障害評価―従来法の限界と新しい評価法の課題

著者: 平田恭信

ページ範囲:P.22 - P.24

ポイント

 高血圧の治療には心,脳,腎,血管合併症の有無を把握することが重要.

 それに対し心電図,心エコー,眼底,血清クレアチニン,微量アルブミン尿などが利用されている.

 最近のガイドラインでは,頸動脈内膜中膜肥厚度,CRP,腹部肥満が加わった.

 BNP,内皮機能,MRI,マルチスライスCT,アディポネクチンなどの利用が望まれる.

重症度とリスクに応じた治療プランの立て方

著者: 根来秀行 ,   田口理恵 ,   上原誉志夫

ページ範囲:P.25 - P.28

ポイント

 高血圧患者の治療プランは,血圧の重症度分類から始まる.

 危険因子および糖尿病/臓器合併症の把握は,血圧分類とともに治療プランの中心をなす.

 血圧分類とリスク因子からリスクの層別化を行い,治療方針を立てる.

 最近は,血圧分類と糖尿病/臓器合併症のみから治療プランを立てる方策も提唱されているので,最新情報に留意する.

生活習慣指導のノウハウ―効果的で効率的な生活習慣改善指導のために

個々の患者における生活習慣改善余地の評価

著者: 高橋敦彦 ,   久代登志男

ページ範囲:P.30 - P.32

ポイント

 指導にあたる者は,ヘルスカウンセリングの手法を身につけるとよい.

 生活習慣の評価法としては,①質問紙法,②面接法,③観察法,④検査(採血,採尿,測定器など)などがある.

 行動変容の過程は,①無関心期,②関心期,③準備期,④実行期,⑤維持期に分けられ,おのおののステージにより介入のしかたを変えるのが有効である.

減量指導のこつ

著者: 宮崎滋

ページ範囲:P.34 - P.35

ポイント

 高血圧は肥満に合併しやすい疾患の一つである.

 内臓脂肪型肥満,高血圧,脂質代謝異常,耐糖能障害の集積をメタボリック症候群という.

 肥満者の体重減少は高血圧の改善に有効である.

節酒指導のこつ

著者: 北村明彦 ,   黒川通典 ,   堀井裕子

ページ範囲:P.36 - P.38

ポイント

 依存症者や飲酒関連疾患を有する者に対しては節酒よりも禁酒を指示する.

 適量としては,個人差はあるものの,1日1合程度,多くとも2合を超えない.

 普段の飲酒量が日本酒換算で何合に当たるか換算し,目標飲酒量を決める.

 ストレス要因や職場環境などの背景要因の考慮も重要である.

運動指導のこつ

著者: 内藤義彦

ページ範囲:P.39 - P.41

ポイント

 高血圧に対する運動療法の有用性とその指導内容はほぼ確立している.

 大きな問題は,身体活動量が少ない高血圧患者に運動習慣を定着させることにある.

 効果と効率の点から,ステージモデルに基づく運動指導療法を理解することは有益である.

禁煙指導のこつ

著者: 高橋裕子

ページ範囲:P.42 - P.44

ポイント

 喫煙は医学的方法によって治療すべき疾患である.

 喫煙者には喫煙関連疾患や受動喫煙の知識の提供だけでなく,禁煙方法についての知識を同時に提供する.

 禁煙スタートにはニコチン代替療法が広く用いられている.

 いったん開始した禁煙の継続には,各人に合わせた支援体制を構築することが必要であり,医療現場のサポートに加えインターネットサポートなどを併用する.

降圧目標を達成するための降圧薬処方 【降圧薬療法の基本】

導入時期と選択,減薬,服薬コンプライアンスを高めるこつ

著者: 芦田映直

ページ範囲:P.47 - P.49

ポイント

 血圧以外の危険因子,臓器障害,心血管病の有無を評価し,リスクに応じて降圧薬の導入時期を検討する.

 降圧薬の選択には,個々の降圧薬の特徴を理解し個々の患者の病態を把握する.

 厳格に生活習慣の改善を行っている患者では,長期の血圧コントロールの後に降圧薬の用量や数を減らしうることがある.

 患者による家庭血圧測定がコンプライアンスを改善する.

【降圧薬の上手な使い方】

一次選択薬使用のノウハウ―利尿薬

著者: 安東克之

ページ範囲:P.50 - P.52

ポイント

 高血圧治療に用いられる利尿薬(サイアザイド系)は低K血症,高尿酸血症,耐糖能障害,脂質代謝異常などの副作用が知られている.しかし,利尿薬は低用量では副作用も少なく,緩徐な降圧作用を有し,併用薬として降圧作用増強・副作用抑制効果に優れており,第一選択薬の一つである.特に,高齢者やうっ血性心不全合併患者では有用性が高い.

一次選択薬使用のノウハウ―ACE阻害薬,アンジオテンシンII受容体拮抗薬

著者: 後藤淳郎

ページ範囲:P.53 - P.56

ポイント

 ACE阻害薬,ARBが適応となる病態には糖尿病,心不全,糖尿病性腎症や慢性糸球体腎炎などを合併した高血圧が挙げられる.心筋梗塞後,心肥大を伴う高血圧,収縮期性高血圧などもこれに準ずる病態である.心血管病リスクが高い症例に該当するので,必要に応じて,利尿薬あるいはCa拮抗薬と併用して,血圧目標値を達成することが望まれる.

一次選択薬使用のノウハウ―Ca拮抗薬

著者: 羽野卓三

ページ範囲:P.59 - P.60

ポイント

 ジヒドロピリジン系Ca拮抗薬の良い適応は高齢者,狭心症,末梢血管障害,頸動脈硬化などで,禁忌はうっ血性心不全,頻脈性不整脈である.

 ジルチアゼムの適応は狭心症,動脈硬化,上室性頻脈であり,禁忌は房室ブロック,うっ血性心不全である.

 併用可能な降圧薬としては,利尿薬,β遮断薬,ACE阻害薬,AT1受容体拮抗薬がある.

 グレープフルーツの多量摂取は避ける.

一次選択薬使用のノウハウ―β遮断薬

著者: 大塚啓子 ,   築山久一郎

ページ範囲:P.61 - P.63

ポイント

 β遮断薬の適応は,高血圧,狭心症,心筋梗塞,頻脈性不整脈より心不全にまで拡大している.

 β遮断薬は合併症のない老年者では単独での使用は推奨されていない.

 β遮断薬は利尿薬,Ca拮抗薬(非ジヒドロピリジン系Ca拮抗薬を除く),α遮断薬との併用が推奨されている.ACE阻害薬併用では降圧効果の増強は軽度である.

 β遮断薬服用例では主治医に相談なしに中止しない,服用忘れをしないように注意する.

一次選択薬使用のノウハウ―α1遮断薬による降圧療法の特徴

著者: 髙橋伯夫

ページ範囲:P.64 - P.66

ポイント

 強力な血管拡張作用から急性心不全の心機能を改善するが,長期的には心不全を増悪する.

 反射性交感神経活動亢進がなく,頻脈をきたさないので,早朝高血圧のコントロールに有用である.

 インスリン抵抗性を改善し,脂質代謝も改善する.

 血小板凝集抑制作用がある.

 尿路抵抗を低下させ尿流量を増大させる.

多剤併用療法のこつ

著者: 松浦秀夫

ページ範囲:P.67 - P.69

ポイント

 薬物による降圧療法は併用療法により達成されるが,併用薬剤の組み合わせの基本は「利尿薬,Ca拮抗薬」から1剤と「β遮断薬,ACE阻害薬,ARB」から1剤である.

 3種類の降圧薬を併用する場合,そのなかの1剤は利尿薬を用いるべきである.

 いずれの薬剤を使用する場合でも初期用量は低用量とし,緩徐な降圧を図る.

 患者背景によっては上記以外の薬剤の組み合わせを考慮する必要がある.

治療抵抗性高血圧の対応

著者: 平山智也 ,   阿部和利 ,   菊池健次郎

ページ範囲:P.71 - P.73

ポイント

 白衣高血圧や血圧測定上の問題点に留意する.

 減塩の指導と遵守を徹底する.

 病態に応じ,適切な降圧薬を選択する.

緊急降圧療法が必要な場合の降圧薬の使用法

著者: 冨山博史 ,   山科章

ページ範囲:P.74 - P.76

ポイント

 緊急降圧療法は高血圧性緊急症で適応となることが多い.

 緊急降圧療法には動脈圧モニターが必須である.

 使用される薬剤としてはニカルジピン, ジルチアゼム, ニトロプルシドの使用頻度が高い.

 降圧目標は平均血圧の20~25%程度低下,または拡張期血圧110~100mmHgである.

 急性大動脈解離を除き,目標降圧レベルには時間をかけて実行する(1~2時間以上).

 急激な降圧・過度の降圧はかえって病態を増悪させることがある.

高血圧以外の問題を有する患者へのアプローチ

高血圧以外の心血管系危険因子を改善することがなぜ重要なのか

著者: 島本和明

ページ範囲:P.79 - P.81

ポイント

 高血圧合併症を予防するには他の危険因子の管理が必須.

 危険因子・合併症によるリスク層別化を用いて治療方針を決める.

 危険因子集積にはインスリン抵抗性が関与.

 ガイドラインによってリスク層別化の扱いが異なる.

糖代謝異常

著者: 片山茂裕

ページ範囲:P.82 - P.84

ポイント

 糖尿病患者における降圧治療は130/85mmHg未満を目標血圧とする.

 第一選択薬として,長時間作用型Ca拮抗薬・ACE阻害薬・アンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)・α遮断薬を用いる.

 単剤で降圧目標値を達成できない症例には,1つの降圧薬を最高用量まで増量するのではなく,作用機序の異なる降圧薬を併用する.

脂質代謝異常

著者: 松村潔 ,   阿部功

ページ範囲:P.85 - P.87

ポイント

 高血圧症には脂質代謝異常が高頻度(約40%)に合併する.

 高血圧症と脂質代謝異常が合併する場合には,両者ともに,より厳密にコントロールする必要がある.

 脂質代謝異常を合併する高血圧症の降圧治療には,α遮断薬,Ca拮抗薬,ACE阻害薬,AII受容体拮抗薬が適している.

腎機能障害と高尿酸血症

著者: 鈴木洋通

ページ範囲:P.88 - P.90

ポイント

 高尿酸血症は心血管系障害のマーカーの1つとなりうる.

 尿酸は抗酸化作用を発揮する.

 一方,尿酸は内皮障害を引き起こす.

 尿酸は細胞の陰イオン交換系を介して細胞内に入り,細胞増殖や炎症と関連する.

 ヒトでは高尿酸血症がどの程度腎障害と関連しているかいまだ十分には解明されていない.

既往歴:脳卒中

著者: 石川譲治 ,   苅尾七臣 ,   島田和幸

ページ範囲:P.91 - P.95

ポイント

 無症候性脳梗塞は,年齢・血圧と関連している.

 脳卒中の既往者では,血圧のコントロールが,再発予防のため重要である.

高齢者の個別降圧療法

著者: 土居義典 ,   高田淳 ,   西永正典

ページ範囲:P.96 - P.98

ポイント

 わが国では脳血管障害の予防が降圧の第一目標である.そのためには高齢者の収縮期高血圧のコントロールが大切である.

 高齢者では降圧薬は少量から開始し,ゆっくりと慎重に降圧する.

 降圧薬は合併病態も考慮して選択する.潜在性の臓器障害や多臓器障害にも留意する.

 降圧による脳血管障害の予防が認知機能低下の防止や寝たきり・転倒の予防,さらには高齢者のQOLの維持につながる.

トピックス

仮面高血圧(masked hypertension)

著者: 桑島巌

ページ範囲:P.100 - P.101

ポイント

 本来は高血圧なのに診察室では正常血圧となる例を仮面高血圧という.

 仮面高血圧症の脳心血管合併症のリスクは著しく高い.

 降圧薬の効果が24時間持続しないことも仮面高血圧の原因となる.

睡眠時無呼吸と高血圧

著者: 森正明 ,   齊藤郁夫

ページ範囲:P.102 - P.104

ポイント

 高血圧と睡眠時無呼吸症候群は合併する可能性が高い疾患であり,睡眠時無呼吸は高血圧の独立した危険因子と考えられている.

 睡眠時無呼吸症候群に対して,鼻CPAPなど適切な治療が実施されれば高血圧の改善や心血管イベントの予防が期待できる.

Controversy 大多数の高血圧患者に食塩7g以下を指導すべきか?

肯定的立場から

著者: 河野雄平

ページ範囲:P.106 - P.107

食塩制限は,高血圧治療における生活習慣改善の1つとして広く推奨されている.その目安は,欧米のガイドラインでは1日6g未満と厳しく,日本では7g以下とやや緩い1).ここでは,高血圧治療における食塩制限の必要性を肯定的立場から論じていきたい.

食塩は高血圧に強く関連する

 食塩摂取は高血圧に密接に関係しており,多くの疫学研究において食塩摂取量と血圧値や高血圧との間に正相関が示されている2).食塩摂取がきわめて少ない地域では,高血圧はほとんどない.食塩摂取により血圧が上昇することは明らかであり,血圧の食塩感受性は高血圧者が正常血圧者より大きい.

エビデンス・実行可能性・費用対効果からみて否定的

著者: 齊藤郁夫

ページ範囲:P.107 - P.108

高血圧を治療する目的は脳卒中,心筋梗塞,心不全などの合併症の予防である.4~5年にわたる降圧薬治療により,合併症が予防されることは明らかであり,推奨することには何の問題もない.本稿では,減塩食のエビデンス,実行可能性,費用対効果について述べる.

合併症の予防について減塩食のエビデンスはあるか
 
 個人により降圧にばらつきはあるものの,13~60カ月の研究では,減塩食により収縮期血圧で,1.1mmHg,拡張期血圧で0.6mmHgの降圧がみられている.しかし,合併症の予防効果については,報告されていない1)

早朝昇圧(モーニングサージ)は心血管系疾患のリスクか?

肯定的立場から

著者: 苅尾七臣

ページ範囲:P.110 - P.111

脳卒中や心筋梗塞をはじめとする心血管イベントの発症が早朝に多いことはよく知られており,血圧レベルも夜間から早朝にかけて,いわゆる「モーニングサージ」という上昇を示す1,2).早朝の心血管イベント増加には血圧モーニングサージに加え,早朝に増悪する多くの要因が関与すると考えられるが(図1)3),本稿では,このメカニズムのなかでも血圧モーニングサージを介する経路が重要であることを支持する見解をまとめる.

 最近,われわれは日本人高血圧患者を対象とした自治医科大学ABPM研究において,血圧モーニングサージが脳血管障害のリスクになることを報告した4).本研究は明らかな心血管イベントの既往のない高齢者高血圧患者(平均年齢72歳)519名を対象に,ベースライン時に頭部MRIと24時間血圧モニタリング(ABPM)を実施し,心血管イベントの発症を平均41カ月間追跡した.血圧モーニングサージを夜間最低血圧と起床後2時間収縮期血圧との差と定義し,そのレベルが最上位10パーセンタイルをサージ群,他を非サージ群とし,年齢と24時間血圧をマッチさせた.この2群の脳卒中イベントの発生頻度を検討したところ,サージ群の脳卒中相対リスクは2.7であった(p=0.04).さらに,血圧モーニングサージは,夜間血圧下降の著しいextreme-dipperともオーバーラップしていたことから,血圧日内変動異常をCOX回帰分析モデルに加えて検討した(表1).その結果,加齢,24時間血圧ならびに無症候性脳梗塞と独立して,血圧モーニングサージ10mmHgの増加で25%脳卒中リスクが増加していた.また,このリスクは夜間血圧上昇型Riserとも独立していた.以上の成績は,血圧モーニングサージが臓器障害ならびに血圧レベルそのものとは異なるメカニズムで脳卒中リスクになることを示している.

否定的立場から

著者: 今井潤

ページ範囲:P.111 - P.113

本稿はディベート形式を取っている.筆者は早朝高血圧(モーニングサージ)は心血管疾患のリスクかという問いに対し,「否」という立場を主張する任が与えられている.となると,心ならずも早朝高血圧(モーニングサージ)は心血管リスクではないという立場で論を進めることになる.しかし論を進める前に少し言葉の定義を明確にせねばならない.まず第一に,早朝高血圧とモーニングサージは別の概念であることを強調しなくてはならない.モーニングサージが早朝高血圧の一部を形成することはあっても,朝の高血圧の多くは,モーニングサージではない.

 われわれは,岩手県大迫町の住民を対象に,24時間自由行動下血圧(ABP)と家庭血圧をほぼ同時期に同一対象から得ている.そのなかで,朝の家庭血圧が晩の家庭血圧に比べて,住民全体としては数mmHg,高血圧者では10~15mmHg高いことを報告している.朝の血圧が高いことは特殊な状況ではなく,一般的な現象なのである.さらに大迫研究では,地域住民の予後は朝の家庭血圧を基に策定され,朝の家庭高血圧の予後が不良であることを示してきた.加えて朝と晩の家庭血圧の差が大きくなるほど(相対的に朝の家庭血圧が高くなるほど)脳心血管疾患死亡率が上昇し,また,白衣性正常血圧(仮面高血圧:朝の家庭血圧が高血圧で外来血圧が正常血圧)の予後が不良であることを1996年に報告している.これらは,朝の高血圧のリスクであり,決してモーニングサージのリスクではないのである.

脳卒中予防のために優れているのはACE阻害薬/ARBかCa拮抗薬か?

ACE阻害薬/ARBの立場から

著者: 八田告 ,   武田和夫

ページ範囲:P.114 - P.116

脳血管障害,いわゆる脳卒中は脳出血,ラクナ梗塞,アテローム血栓性脳梗塞に大別されるが,近年,脳梗塞の発症率が増加し,脳卒中の大部分を占めるようになっている.

 しかし,増加しつつある脳血管障害に対する降圧薬間の効果の差異については,必ずしも十分に解明されていない.そこで,今回降圧薬のなかからRAS(renin-angiotensin-aldosterone system)阻害薬を取り上げ,脳卒中急性期の脳保護作用および脳卒中発症抑制効果に分け述べる.

Ca拮抗薬の立場から

著者: 桑島巌

ページ範囲:P.116 - P.117

Ca拮抗薬は,その確実な降圧効果と適応禁忌となる疾患が少ないことから,現在,わが国では最も広く用いられている降圧薬である.もともとは臨床の現場から,降圧効果が発見された薬剤であるがゆえにエビデンスに乏しく,かつての心筋虚血誘発を危惧する報告も一時みられたが,ALLHAT試験によってACE阻害薬や利尿薬と同等の心筋梗塞予防効果が確認されて以来,そのような非難もなりをひそめた.

 Ca拮抗薬の脳卒中予防効果を確実なものとして証明した大規模臨床試験はSyst-Eur試験である.本試験は,老年者高血圧症例4,695例を長時間作用型Ca拮抗薬群とプラセボ群にランダマイズして追跡した試験であるが,試験途中の2年目においてCa拮抗薬群の脳卒中予防効果が明らかになったために,2年間でランダム化試験は中止された.この時点での脳卒中発症は,実薬治療によって,13.7例/1,000人・年から7.9例/1,000人・年まで減少し,実に42%の減少を示した.本試験ではその後,オープン試験としてさらに4年間追跡した試験結果も発表しているが,やはり2年間のCa拮抗薬治療は6年後の予後も改善している.またSyst-Eur試験のサブ解析では痴呆の進展予防にも有効であるとの結果も報告している.

70歳以上の高血圧患者の収縮期血圧降圧目標は140mmHg以下とすべきか?

肯定の立場から―君子は豹変すべし

著者: 桑島巌

ページ範囲:P.118 - P.119

近年の高齢化社会の到来によって,高齢者は高血圧患者のなかで最も多い構成集団となっている.降圧薬治療の有用性を証明した大規模臨床試験のほとんどは,その対象の半数以上に高齢者を含み,これらのエビデンスが示すものは高齢者を含んだ高血圧患者における降圧薬の有用性と解釈すべきである.したがって,70歳以上の降圧目標値をあえて区別しなければならない理由は全くない.海外のガイドラインをみても,わが国のガイドラインのような年齢別に降圧目標を設定している国はもはや見当たらず,世界に類のないガイドラインとなっている.

 高齢者高血圧における積極的降圧の有用性を証明したSHEP試験では,達成すべき降圧レベルについてサブ解析を行っている.実薬群もプラセボ群も一緒にして,一定の血圧レベルに達した症例と達しなかった症例についての脳心血管イベントの発症率について比較したのである.その結果,まず収縮期血圧160mmHgに達した症例と達しなかった症例の比較では,達した症例群のほうが有意にイベント発症が少なかった.次いで収縮期血圧150mmHg以下に達した群と達しなかった群についての比較を行ったところ,これも収縮期血圧150mmHg以下に達したほうが有意に脳心血管イベント発症が少なかった.次に収縮期血圧140mmHgに達した群と達しなかった群についての比較を行った.図1に示すように相対リスクは0.78と大幅に,140mmHg以下に達成した群のほうに傾いていた.しかし,95%信頼区間がわずかに有意に達していない.本試験は,血圧を140mmHg以下に下げましょうという試験ではなく,とりあえず,収縮期血圧を20mmHg以上下げるという試験であったために,140mmHg以下に下がった症例が少なかったことによって有意差がつかなかったのである.しかし先入観なしにこの図1をみて,140mmHg以下まで下げたほうが良好であることは明らかである.

否定的立場から―老年者では必ずしもthe lower,the betterであるとは限らない

著者: 松岡博昭

ページ範囲:P.119 - P.120

疫学研究では,血圧(収縮期および拡張期ともに)の上昇とともに心血管イベントの発症率と死亡率が高くなる.しかしながら,超高齢者においては血圧値と死亡率の関係は直線的ではないことが示されている1).Framingham研究では,収縮期血圧は加齢とともに上昇するが,血圧と全死亡および心血管死亡リスクは非直線的であり,各年齢層における血圧分布の70%値を超えるとリスクが上昇すると報告されている2).例えば,45~54歳男性における70%値は140mmHgであるが,65~74歳男性の70%値は160mmHgになり,70歳男性では,収縮期血圧は160mmHg以上から死亡リスクが高まるということになる.

 確かに,70歳以上の老年者高血圧を対象とした大規模介入試験において,降圧薬治療の有用性が認められている3)が,治療群で得られている収縮期血圧値は140mmHg以上である.また,60歳以上の老年者高血圧を含めた多くの介入試験においても実薬群で得られた収縮期血圧値は図1に示すように143mmHgが最低である.高血圧患者の降圧目標値を決定するためには,異なる降圧目標値を設定して無作為に患者を割り付け,どの降圧目標値群で最も心血管イベントの発症率が低いのかというエビデンスが必要である.そのような目的で行われた試験はHOT研究4)のみである.しかしながら,HOT研究も降圧目標値は拡張期血圧にのみ設定されている.HOT研究では目標拡張期血圧を3群(80mmHg以下,85mmHg以下,90mmHg以下)に分けて行われたが,3群でイベントの発症率に差はないことが示されている.また,主要な心血管イベントの発症率は収縮期血圧139mmHg,拡張期血圧83mmHgで最低であったとされているが,患者の平均年齢は62歳である.

糖尿病合併高血圧患者にCa拮抗薬の第1選択は適切か?

肯定的立場から

著者: 羽野卓三

ページ範囲:P.122 - P.123

RENAAL試験1)など糖尿病性腎症に対する最近のAT1受容体拮抗薬を用いた大規模臨床試験において,AT1受容体拮抗薬は腎障害の進行を抑制することが示され注目されている.これらの結果を受け,2002年の米国糖尿病学会の糖尿病治療のガイドライン2)では,ACE阻害薬がジヒドロピリジン系Ca拮抗薬より有用として,糖尿病に対する降圧薬からCa拮抗薬が削除され,ACE阻害薬やAT1受容体拮抗薬が使用できない場合に,非ジヒドロピリジン系の使用が認められているにすぎない.

 しかし,大規模臨床試験においては,糖尿病合併例において,Ca拮抗薬の有用性を示す成績も多い.収縮期高血圧の患者を対象とし,カルシウム拮抗薬であるニトレンジピンを主に使用したSyst-Eur3)において,糖尿病群と非糖尿病群に分けサブ解析すると,治療群における到達血圧や降圧の程度は,糖尿病群,非糖尿病群でほぼ同じであるのに,糖尿病患者でより死亡率が減少しており,収縮期高血圧においても糖尿病における降圧治療の有用性が示されている.

否定的立場から

著者: 相馬正義

ページ範囲:P.123 - P.124

降圧療法の基本は,降圧そのものが臓器障害防止に最も重要であることにより,目標血圧達成に向けて積極的に治療することである.降圧薬の違いによるイベント抑制率の差は大きくないが,それぞれ特徴がある.糖尿病合併高血圧症の治療には,ACE阻害薬またはARB(アンジオテンシンII受容体拮抗薬)が第1選択薬として望ましい.

 Ca拮抗薬は明らかな合併症のない一般の高血圧患者については,他の薬剤に比べ脳卒中予防に優れていることから,特に脳卒中罹患率の高い本邦においては,第1選択薬として有用である.しかし,糖尿病合併の高血圧患者の治療に最初に用いる薬剤としてはエビデンスが不足している.

すべての高血圧患者に二次性高血圧の鑑別精査をすべきか?

肯定的立場から

著者: 齋藤淳 ,   大村昌夫 ,   西川哲男

ページ範囲:P.125 - P.127

高血圧は最も頻度の高い疾患の1つであり,その結果生じる心血管合併症は,医療経済学的だけでなく社会的にも大きな問題である.特に高齢化が進むわが国では,患者数3,000万人とも推計され,多数の人が生活習慣の改善・種々のリスクファクターの管理・薬物治療が必要となっている.その大半を占める本態性高血圧は,種々の因子が関与する原因不明のものであるが,その診断に際して除外するべき二次性高血圧は,原因疾患の的確な診断と治療により治癒の期待できる高血圧としても知られ,これらを適切に診断して,治癒ないし改善させることは,心血管合併症のリスク軽減に大きく寄与する.したがって積極的にこれら二次性高血圧をスクリーニングし,診断・治療に結びつける立場から述べる.

否定的立場から

著者: 柴田洋孝 ,   齊藤郁夫

ページ範囲:P.127 - P.128

二次性高血圧を疑うポイント

 高血圧症の原因は多種多様で,90%以上は本態性高血圧で,原因の明らかな二次性高血圧では,腎性高血圧(腎実質疾患・腎血管性高血圧)や内分泌性高血圧(原発性アルドステロン症,Cushing症候群,褐色細胞腫,甲状腺疾患など)が多い.二次性高血圧は,早期の診断および治療により治癒しうるので,どの高血圧患者に対して鑑別検査を行うべきかが重要である.①高血圧の発症年齢が20歳以前または50歳以後,②頻脈,振戦,発汗を伴う動揺性高血圧,③腹部血管雑音,④低K血症,高Ca血症,⑤血清クレアチニンの増加,⑥通常の降圧薬の効果が悪い,⑦有効であった降圧薬の効果の減弱,などがみられる場合には積極的な鑑別精査が必要である.本稿では,原発性アルドステロン症の鑑別精査の必要性につき述べる.

原発性アルドステロン症(PA)のスクリーニング

 PAは,以前は高血圧患者の1%以下で,この10年間では5~13%と以前より多くなった.その原因としてスクリーニングを行う対象の違いが考えられる.PAは,高血圧および低K血症を呈するが,実際には低K血症を呈さない症例が多く,高血圧が唯一の症状である場合が多い.そこで,PAのスクリーニングの目的で,血漿アルドステロン濃度(ng/dl)/血漿レニン活性(ng/ml/hr)比(ARR:aldosterone-to-renin ratio)が広く用いられており,ARRを用いたスクリーニングにより,PA疑い例が増えている傾向がある.ARRは降圧薬を中止して測定されるのが望ましいが,内服中でも有用との報告もある.ARR>25および血漿アルドステロン濃度>15ng/dlを呈する場合にPAの疑いが高まるが,ARRのcut-off値は今後さらに検討する必要がある.

理解のための27題

ページ範囲:P.132 - P.136

院内感染コントロールABC(新連載)

サーベイランスの行い方と利用法

著者: 遠藤和郎

ページ範囲:P.138 - P.141

いま,患者が医療に望むものは何か? ささえあい人権センターCOMLの辻本好子氏は,①安全で,安心と納得のできる医療,②確かな医療技術,③患者の個別性の尊重,④情報開示・コミュニケーション,とまとめている.高度な医療の提供と,高齢者を含む免疫能の低下した患者が増加し続ける今日,安全で安心できる医療を提供するために,院内感染対策は不可欠の課題となっている.院内感染の多くは,患者と医療者の接触によって発生する.したがってベッドサイドで過ごす時間の長い若手医師が感染対策に担う役割は大きい.

■院内感染対策の目的と留意点

 当院における感染対策の目標は,①患者を感染から守る,②職員を感染から守る,③医療資源の適正使用,そして最終的に④質の高い医療の提供,としている.人的・経済的資源の限られたわれわれが,有効な感染対策を行い続けるために留意している点が5点ある.

輸血のきほん(2)

これだけは知っておきたい輸血検査―血液型検査,不規則抗体検査,交差適合試験

著者: 比留間潔

ページ範囲:P.142 - P.148

ABO血液型が異なる血液を輸血すると危険な副作用を生じさせることは,医師のみならず,患者もよく知っていることである.このような不適合輸血を防ぐために,血液型検査,不規則抗体検査,交差適合試験が行われる.

 本来,輸血検査は認定輸血検査技師などの経験豊富な臨床検査技師によって行われるべきであるが,わが国では主治医が行わなければならない状況がある.また,輸血用血液の選択と使用に関しては最終的には主治医が決定することになるので,医師も基礎的な輸血検査の原理や技術を理解すべきである.

連載

目でみるトレーニング

著者: 栗山千津子 ,   太田昌宏 ,   西田隆 ,   岩田洋

ページ範囲:P.149 - P.155

問題 358 症 例:45歳,女性.

 主 訴:月経過多による貧血.

 現病歴:以前より月経不順があったが,7月に5カ月ぶりの月経があり,出血が止まらず,次第に凝血塊が出るようになった.ふらつき,倦怠感が出現し,8月1日トイレで失神したため,当院救急外来を受診した.その際,Hb 6.5g/dlと貧血を認め,産婦人科に入院.腹部エコー,MRIでは子宮の腫大と内膜肥厚を認めるほかは問題なく,輸血,ホルモン治療されていた.しかし,次の月経時に再び貧血となり,系統的疾患の精査目的に内科に紹介となった.

 身体的所見:身長144cm,体重46.35kg,体温36.3℃,血圧120/80mmHg,脈拍62/分.顔色不良,顔面・眼瞼浮腫状,口唇厚い,皮膚乾燥,眉毛脱落(図1),頭髪びまん性脱落(図2).眼瞼結膜貧血あり,眼球結膜黄染なし,甲状腺腫触知せず,胸部心音収縮期雑音あり,呼吸音清,腹部平坦かつ軟,下腹部に手拳大の腫瘤触知,下腿浮腫あり(non-pitting edema).

カラーグラフ 足で診る糖尿病(新連載)

爪の異常

著者: 新城孝道

ページ範囲:P.156 - P.157

爪は身体の一部であるが,立位,歩行,その他の日常生活で,内的および外的な影響を受ける.さらに糖尿病が背景にあると,爪に対して種々の影響が及ぶ.糖尿病患者の足病変のなかで,爪に関しては常に注意が必要である.

 「爪の変形・肥厚」(図1~3):履物による爪の変形.爪の先端が靴に接触すると,適応として下方へ変形し,底屈方向に変形することが多い.また外反扁平足やX脚例では,母趾の外反で爪もともに外側へ変形する.第5足趾は足趾のなかでも最も履物の影響を受けやすく,変形しやすい.内反小趾の程度が高度であると内側へ扁平化する.通常,爪は緩やかなアーチ状を呈するが,左右の爪の脇よりの圧迫で弓状に変形することが多い.爪を見ることで歩行状態,履物と足との関係が理解できる.爪は台所や作業場での落下物での外傷を受けやすい.外傷後の爪の変形はその後継続することが多い.爪の陥入に対し,金属ワイヤや形状記憶合金などでの矯正がなされている.

新薬情報(36)

ピタバスタチンカルシウム(リバロ®錠1mg,2mg) Pitavastain calcium

著者: 越前宏俊

ページ範囲:P.158 - P.160

適応■高コレステロール血症,家族性高コレステロール血症.

用法・用量■通常,成人にはピタバスタチンカルシウム(以下,ピタバスタチン)として1~2mgを1日1回夕食後に経口投与する.なお,LDLコレステロール値の低下が不十分な場合には,最大1日4mgまで増量できる.

書評

1型糖尿病と歩こう―“この子”への療養指導―青野繁雄 著

著者: 松浦信夫

ページ範囲:P.137 - P.137

 わが国の子どもの1型糖尿病の発症率は低く,結果として社会的認知が得られにくい状況にあります.そのため,1型糖尿病の子どものための解説書は非常に少なかったのですが,最近では日本糖尿病学会,日本小児内分泌学会,国際小児思春期糖尿病学会(ISPAD)などのコンセンサスガイドブック,外国の翻訳本,小児糖尿病専門医による解説書が出版されてきています.このようななか,青野繁雄先生による『1型糖尿病と歩こう―“この子”への療養指導』が出版されました.青野先生はご夫婦で大阪市立大学小児科の糖尿病部門の責任者として,長い間小児1型糖尿病の診療にあたられてきました.現在は寺田町こども診療所を開設され,多くの糖尿病患者さんの診療にあたっておられます.さらに,日本糖尿病学会,日本糖尿病協会小児糖尿病対策委員会,厚生労働省糖尿病研究班など数々の公的な仕事もされ,また近畿地方の糖尿病小児のサマーキャンプにもかかわってこられました.

 青野先生が糖尿病児ならびにそのご家族の心の問題を核にして診療されている様子は,学会の発表などからも十分にうかがえます.1型糖尿病のように,慢性の病気をもった本人ならびにご家族の心理的な負担は計り知れないものがあります.あまりに厳格にしても,また放任にしても,療養上うまくいきません.これまでの小児1型糖尿病の解説書の多くは1型糖尿病とは何か,インスリン量の調整法,シックデイの対応など,日常の診療に必要なことの解説が中心でした.子ども本人ならびにご家族の心理的な面を含めた解説書は少なかったように思います.一方,先生の姿勢が十分に表された本書は,子ども本人ならびにご家族の心理的な面を含めた解説書です.冒頭の“はじめに”に書かれている言葉には,まさしく出版にあたってのこの点における青野先生の気持ちが表れています.

基本情報

medicina

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1189

印刷版ISSN 0025-7699

雑誌購入ページに移動

バックナンバー

60巻13号(2023年12月発行)

特集 一般医家のための—DOAC時代の心房細動診療

60巻12号(2023年11月発行)

特集 内科医が遭遇する皮膚疾患フロントライン—「皮疹」は現場で起きている!

60巻11号(2023年10月発行)

増大号特集 患者さんの質問にどう答えますか?—言葉の意味を読み解きハートに響く返答集

60巻10号(2023年9月発行)

特集 ミミッカー症例からいかに学ぶか

60巻9号(2023年8月発行)

特集 症例から読み解く—高齢者診療ステップアップ

60巻8号(2023年7月発行)

特集 浮腫と脱水—Q&Aで学ぶジェネラリストのための体液量異常診療

60巻7号(2023年6月発行)

特集 整形外科プライマリ・ケア—内科医が知りたい整形外科疾患のすべて

60巻6号(2023年5月発行)

特集 Common diseaseの処方箋ファイル—臨床経過から学ぶ20症例

60巻5号(2023年4月発行)

特集 臨床医からみたPOCT

60巻4号(2023年4月発行)

増刊号 探求!マイナーエマージェンシー

60巻3号(2023年3月発行)

特集 令和の脳卒中ディベート10番勝負—脳卒中治療ガイドライン2021とその先を識る

60巻2号(2023年2月発行)

特集 慢性疾患診療のお悩みポイントまとめました—高血圧からヘルスメンテナンスまで

60巻1号(2023年1月発行)

特集 10年前の常識は非常識!?—イマドキ消化器診療にアップデート

59巻13号(2022年12月発行)

特集 令和の頭痛診療—プライマリ・ケア医のためのガイド

59巻12号(2022年11月発行)

特集 避けて通れない心不全診療—総合内科力・循環器力を鍛えよう!

59巻11号(2022年10月発行)

増大号特集 これからもスタンダード!—Quality Indicatorの診療への実装—生活習慣病を中心に

59巻10号(2022年9月発行)

特集 ちょっと待って,その痛み大丈夫?—“見逃してはいけない痛み”への安全なアプローチ

59巻9号(2022年8月発行)

特集 不安を自信に変える心電図トレーニング—専門医のtipsを詰め込んだ50問

59巻8号(2022年7月発行)

特集 日常診療に潜む臨床検査のピットフォールを回避せよ

59巻7号(2022年6月発行)

特集 抗菌薬の使い方—敵はコロナだけにあらず! 今こそ基本に立ち返る

59巻6号(2022年5月発行)

特集 ジェネラリストの羅針盤—医学部では教わらなかった28のクエスチョン

59巻5号(2022年4月発行)

特集 症例から学ぶ—電解質と体液量管理のベストアンサー

59巻4号(2022年4月発行)

増刊号 フィジカル大全

59巻3号(2022年3月発行)

特集 成人が必要とするワクチン—生涯を通した予防接種の重要性

59巻2号(2022年2月発行)

特集 意外と知らない? 外用薬・自己注射薬—外来診療での適“剤”適所

59巻1号(2022年1月発行)

特集 クリニカルクエスチョンで学ぶ糖尿病治療薬—糖尿病治療の新しい潮流

56巻13号(2019年12月発行)

特集 プライマリ・ケアのための—ポリファーマシー「超」整理法

56巻12号(2019年11月発行)

特集 内科医が押さえておくべき—検査の考えかたと落とし穴

56巻11号(2019年10月発行)

特集 不明熱を不明にしないために—実践から考えるケーススタディ

56巻10号(2019年9月発行)

特集 脱・「とりあえずCT」!—スマートな腹痛診療

56巻9号(2019年8月発行)

特集 みんなが知っておきたい透析診療—透析のキホンと患者の診かた

56巻8号(2019年7月発行)

特集 一歩踏み込んだ—内科エマージェンシーのトリセツ

56巻7号(2019年6月発行)

特集 抗菌薬をアップデートせよ!—耐性菌に立ち向かう! 適正化の手法から新薬の使い分けまで

56巻6号(2019年5月発行)

特集 糖尿病診療の“Q”—現場の疑問に答えます

56巻5号(2019年4月発行)

特集 しまった!日常診療のリアルから学ぶ—エラー症例問題集

56巻4号(2019年4月発行)

増刊号 一人でも慌てない!—「こんなときどうする?」の処方箋85

56巻3号(2019年3月発行)

特集 TPOで読み解く心電図

56巻2号(2019年2月発行)

特集 抗血栓療法のジレンマ—予防すべきは血栓か,出血か?

56巻1号(2019年1月発行)

特集 枠組みとケースから考える—消化器薬の選び方・使い方

55巻13号(2018年12月発行)

特集 これからの心不全診療への最新アプローチ—予防からチーム医療・先進医療まで

55巻12号(2018年11月発行)

特集 内科医のための「ちょいあて」エコー—POCUSのススメ

55巻11号(2018年10月発行)

特集 どんとこい! 内科医が支える—エンド・オブ・ライフ

55巻10号(2018年9月発行)

特集 クリティカル・ケアを極める—一歩進んだ総合内科医を目指して

55巻9号(2018年8月発行)

特集 もっともっとフィジカル!—黒帯級の技とパール

55巻8号(2018年7月発行)

特集 血液疾患を見逃さないために—プライマリ・ケアと専門医コンサルトのタイミング

55巻7号(2018年6月発行)

特集 ここさえ分かれば—輸液・水・電解質

55巻6号(2018年5月発行)

特集 プロブレムから学ぶ感染症診療—すぐに役立つ厳選シナリオ30選

55巻5号(2018年4月発行)

特集 明日のために解くべし!—総合内科問題集

55巻4号(2018年4月発行)

増刊号 プライマリ・ケアでおさえておきたい—重要薬・頻用薬

55巻3号(2018年3月発行)

特集 —クリニカル・クエスチョンで学ぶ—循環器薬の使い方

55巻2号(2018年2月発行)

特集 —デキる内科医の—神経内科コンサルト

55巻1号(2018年1月発行)

特集 気管支喘息・COPD診療に強くなる

icon up
あなたは医療従事者ですか?