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今月の主題 高血圧診療のエビデンスと個別的治療―主治医の役割とジレンマ Controversy 早朝昇圧(モーニングサージ)は心血管系疾患のリスクか?
否定的立場から
著者: 今井潤1
所属機関: 1東北大学大学院臨床薬学
ページ範囲:P.111 - P.113
文献購入ページに移動本稿はディベート形式を取っている.筆者は早朝高血圧(モーニングサージ)は心血管疾患のリスクかという問いに対し,「否」という立場を主張する任が与えられている.となると,心ならずも早朝高血圧(モーニングサージ)は心血管リスクではないという立場で論を進めることになる.しかし論を進める前に少し言葉の定義を明確にせねばならない.まず第一に,早朝高血圧とモーニングサージは別の概念であることを強調しなくてはならない.モーニングサージが早朝高血圧の一部を形成することはあっても,朝の高血圧の多くは,モーニングサージではない.
われわれは,岩手県大迫町の住民を対象に,24時間自由行動下血圧(ABP)と家庭血圧をほぼ同時期に同一対象から得ている.そのなかで,朝の家庭血圧が晩の家庭血圧に比べて,住民全体としては数mmHg,高血圧者では10~15mmHg高いことを報告している.朝の血圧が高いことは特殊な状況ではなく,一般的な現象なのである.さらに大迫研究では,地域住民の予後は朝の家庭血圧を基に策定され,朝の家庭高血圧の予後が不良であることを示してきた.加えて朝と晩の家庭血圧の差が大きくなるほど(相対的に朝の家庭血圧が高くなるほど)脳心血管疾患死亡率が上昇し,また,白衣性正常血圧(仮面高血圧:朝の家庭血圧が高血圧で外来血圧が正常血圧)の予後が不良であることを1996年に報告している.これらは,朝の高血圧のリスクであり,決してモーニングサージのリスクではないのである.
われわれは,岩手県大迫町の住民を対象に,24時間自由行動下血圧(ABP)と家庭血圧をほぼ同時期に同一対象から得ている.そのなかで,朝の家庭血圧が晩の家庭血圧に比べて,住民全体としては数mmHg,高血圧者では10~15mmHg高いことを報告している.朝の血圧が高いことは特殊な状況ではなく,一般的な現象なのである.さらに大迫研究では,地域住民の予後は朝の家庭血圧を基に策定され,朝の家庭高血圧の予後が不良であることを示してきた.加えて朝と晩の家庭血圧の差が大きくなるほど(相対的に朝の家庭血圧が高くなるほど)脳心血管疾患死亡率が上昇し,また,白衣性正常血圧(仮面高血圧:朝の家庭血圧が高血圧で外来血圧が正常血圧)の予後が不良であることを1996年に報告している.これらは,朝の高血圧のリスクであり,決してモーニングサージのリスクではないのである.
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