文献詳細
文献概要
今月の主題 慢性心不全を最近の知見から整理する―病態生理から治療まで 付録
心不全治療に関する臨床試験一覧
著者: 渡辺淳1
所属機関: 1東北大学医学部循環器内科
ページ範囲:P.1910 - P.1915
文献購入ページに移動解 説
多くの臨床試験は主観的判断を排除するため,全死亡や心不全入院など客観的事実を評価項目(end points)としている.無作為化対照研究(RCT)において全死亡が有意に改善した場合,予後改善効果が証明されるが,死亡率のみが抑制されるわけではない.心筋能改善に伴うADL(activity of daily living)改善も期待できるが,これは数字としては表されてはいない.ある臨床試験からのエビデンスを実際に適応する場合,対象患者が被試験群と完全に合致する必要はないと考えられる.Sackettらは名著“Evidence-Based Medicine”38)の中で,症例の“同一性”よりも有用なエビデンスを適応できないほどの“異質性”が明らかでない限り適応可能であると主張している.
掲載誌情報