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文献詳細

雑誌文献

medicina41巻12号

2004年11月発行

文献概要

特集 臨床医必携 単純X線写真の読み方・使い方 腹部

腸閉塞―部位と原因,血行障害の有無を見きわめる

著者: 坂本力1

所属機関: 1公立甲賀病院放射線科

ページ範囲:P.210 - P.219

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典型的な症例

機械性腸閉塞には腸管の血行障害を伴わない腸閉塞(単純性腸閉塞)と血行障害を伴う腸閉塞(絞扼性腸閉塞)がある.図1は血行障害を伴わない腸閉塞である.立位(a)は拡張腸管(空腸)の鏡面形成(air-fluid level),背臥位(b)は腸管ループがhair pin appearanceを示す.図2の背臥位の腹単は血行障害を伴う腸閉塞で,頻回の嘔吐のためガスが少なく,骨盤腔は均一軟部組織濃度(骨盤腔暗影)を示す〔この所見は造影CT(b)では腸液で満たされた小腸,腸壁は造影されない.扇状に広がる腸間膜の浮腫,間膜根部は捻転している〕.

 腹部単純X線写真は簡便,無侵襲,安価で腹部全体が網羅でき,急性腹症には欠くことができない.特にガス像の異常を示す腸閉塞は最も診断が容易であるが,閉塞部位と閉塞の原因を診断することは困難なことが多い.特に閉塞腸管が血行障害を伴うか否かは予後に影響し,必ず診断しなければならない.血行障害を伴う腸閉塞は腹部単純X線写真で次の所見があれば推測できる.①多量の腹水の出現,②腸液で満たされ拡張腸管が偽腫瘍(pseudotumor sign)としてみえたり,あるいは骨盤腔を占拠した所見(骨盤腔暗影),③壁肥厚を示す腸管とその腸管が体位で形を変えない(腸管ループの固定).閉塞の原因を知るためにCT検査は欠かせない.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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