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文献詳細

雑誌文献

medicina41巻12号

2004年11月発行

文献概要

特集 臨床医必携 単純X線写真の読み方・使い方 腹部

腹膜腔遊離ガス(free air)―腹膜腔遊離ガスを見落とさないために

著者: 鬼塚英雄1 山口健1

所属機関: 1田主丸中央病院放射線科

ページ範囲:P.220 - P.227

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典型的な症例

 腹部膨満の新生児の背臥位腹部単純写真である.一般に小児においては胸部に対し腹部の割合が成人のそれより大きいが,本症例の割合は異常と思われる.また腹部全体には楕円形の透亮像が広がっており,周辺では腹壁の軟部組織と明瞭に境されているのがわかる(矢印).これは大量の空気が腹腔内に充満しているためである.肝外側に入り込んだ遊離ガスによって肝辺縁が写し出されている(白矢頭).さらに肝表面の空気により肝と前腹壁の間にある肝鎌状間膜が,右上腹部から下腹部正中に向かって走る細い線状の陰影として描出されている(黒矢頭).この大きな楕円形の透亮像とその中を走る索状の陰影がラグビーのボールに似ていることからfootball signといわれる.大量の遊離ガスが腹腔内に充満している所見であり,特に新生児の消化管穿孔(胃穿孔が多い)によく認められる.

 腹腔内遊離ガスは開腹術後など特殊な場合を除き,消化管穿孔の重要なX線所見であり,急性腹症の際に撮影された腹部単純写真では,遊離ガスの有無が重要なキーとなることが多い.ここでは遊離ガスの検出に必要な撮影法,X線所見ならびにいくつかの鑑別診断について述べる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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