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文献詳細

雑誌文献

medicina41巻2号

2004年02月発行

文献概要

今月の主題 腹部疾患をエコーで診る 超音波画像って何?

知っていると診断の幅が大きく広がる超音波画像の原理

著者: 宮本幸夫1

所属機関: 1東京慈恵会医科大学放射線医学

ページ範囲:P.172 - P.174

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個々の疾患に関する知識が深くても,超音波診断をパターン認識のみから理解しようとすると,遠からず壁に突き当たる.同じ疾患であっても,超音波像は十人十色であるからである.しかしながら,超音波像の成り立ちとそのアーチファクトとを理解すれば,超音波像自体から,体内で起こっている現象を推定することも可能となる.かくのごとき過程は一見遠回りのように思われるかもしれないが,実は,超音波診断の前に立ちはだかる壁を乗り越える最も有効な手だての一つである.本稿では,超音波像を理解するうえで避けて通れない,超音波像の成り立ちに関して,そのエッセンスをできるだけ平易に概説する.

1. 超音波とは何か?

 超音波は,可聴域以上すなわち20kHz以上の周波数をもつ粗密波である.超音波断層装置で用いられる超音波の周波数は,2~30MHz程度である.周波数が高いほど,超音波像の分解能も高くなるため,できるだけ高い周波数の装置を使用することが望ましいわけであるが,周波数が高くなればなるほど超音波ビームの減衰も強くなるため,深部の臓器は捉えにくくなる.したがって,腹部超音波検査では,一般に3~5MHz程度の低い周波数の探触子が,また表在性の甲状腺や乳腺などでは,7.5~12MHzの高い周波数の探触子が用いられる.最近では,1つの探触子で広帯域をカバーするものが用いられるようになってきた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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