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文献概要
今月の主題 腹部疾患をエコーで診る 症候からのアプローチ
下腹部痛
著者: 平井都始子1 大石元2
所属機関: 1奈良県立医科大学附属病院超音波診断室 2奈良県立奈良病院
ページ範囲:P.185 - P.185
文献購入ページに移動下腹部痛を主訴とする疾患は数多く認められ,超音波検査に際して,個々の臨床症状や特徴的超音波所見を認識しておかねばならない.図1に臨床症状と予測される疾患を示したが,痛みの場所,強さ,間欠的疼痛か持続性疼痛か,急性発症か慢性的な痛みか,女性か男性か,などによって予測される疾患をある程度絞ることが可能である.例えば,右下腹部痛をきたす代表的疾患として,急性虫垂炎,大腸憩室炎,腸間膜リンパ節炎などが挙げられる.しかし女性で持続的な痛みであれば,急性付属器炎,卵巣出血,子宮外妊娠破裂,卵巣腫瘍茎捻転などの婦人科疾患を考慮する必要がある.また間欠的な痛みであれば,感染性腸炎,Crohn病,腸重積症などの消化管疾患も念頭に置いて検査を進めることになる.通常病変に一致した部位に圧痛を訴えるが,必ずしも痛みの強い部位にだけ病変が存在するとは限らないため,症状のある部位のみならず全体を観察する姿勢が大切である.特に消化管病変は,後述されている個々の疾患の特徴的超音波所見を熟知し,高周波のプローブを使用するなど工夫しながら注意深く検査することが疾患の診断あるいは推定につながる.
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