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文献詳細

雑誌文献

medicina41巻2号

2004年02月発行

文献概要

今月の主題 腹部疾患をエコーで診る 臓器・疾患別アプローチ―ワンポイントレクチャー 〈肝(びまん性)〉

日本住血吸虫症

著者: 岸野智則1 森秀明2

所属機関: 1杏林大学医学部臨床検査医学 2杏林大学医学部第3内科

ページ範囲:P.206 - P.206

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日本住血吸虫症(schistosomiasis japonica)は,山梨県甲府盆地,広島県片山地方,関東利根川流域,九州筑後川流域に流行したいわゆる風土病であるが,日本では現在,感染歴のある高齢者に慢性期所見を認めるのみである.一方,中国や東南アジアでは今でも流行地がみられる.日本住血吸虫(Schistosoma japonicum)の成虫は,雌雄抱合して門脈系に寄生し,腸管壁の細血管で産卵する.虫卵の一部は腸管壁に壊死を起こし腸管内に脱落して排泄されるが,一部は門脈血流により肝内門脈の末梢枝に流れ着き,塞栓する.虫卵の毒素またはアレルゲンにより肝に炎症を惹起し,慢性化すると線維化と石灰化をきたし,やがて門脈圧亢進症を呈する.便とともに排出された虫卵は,水田,沼,川などで孵化し,中間宿主のミヤイリガイに侵入して生育した後,再び水中に出てヒトなどの終宿主の皮膚より侵入して,最終的に門脈に到達する.

 本症の超音波像(図1)は,肝内に多発する網目状(network),亀甲状(turtle back),あるいは魚鱗状(fish scale)パターンと呼ばれる特異な高エコー帯が肝を分断することが特徴であり,これは肝内門脈の虫卵石灰化と線維化に起因する.B型肝炎ウイルスによる肝硬変でみられるメッシュ(mesh)パターンと類似するが,明らかな網目状構造を呈する点で鑑別される.この隔壁の間が低エコー結節様に見える場合があり,肝細胞癌との鑑別が困難になるため,CTやMRIの併用が必要なこともある.肝硬変に至ると肝縁の鈍化,表面不整,肝右葉の萎縮と左葉,尾状葉の腫大所見のほか,脾腫などの門脈圧亢進所見を呈する.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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