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今月の主題 腹部疾患をエコーで診る 臓器・疾患別アプローチ―ワンポイントレクチャー 〈肝(腫瘤性)〉
腺腫様過形成(AH),異型腺腫様過形成(AAH)
著者: 小川眞広1
所属機関: 1駿河台日本大学病院内科
ページ範囲:P.213 - P.213
文献購入ページに移動画像診断の進歩により肝内の小さな腫瘤性病変も描出されるようになり,早期の肝細胞癌との鑑別が必要となるようになった.特に,肝癌取扱い規約1)による肝腫瘍の組織学的分類における腫瘍類似病変に分類される腺腫様過形成(adenomatous hyperplasia:AH)や異型腺腫様過形成(atypical adenomatous hyperplasia:AAH)は,肝硬変症にみられる過形成病変であり,肝細胞癌の非腫瘍部にもみられ,腫瘍径3cm以下の切除例の約20%にも並存しているといわれ,大再生結節,早期の肝細胞癌との鑑別が重要となる2).これらは,肝癌の前癌病変として扱われることもあるが,まだ組織学的にも一部確立されていない部分もあり,超音波検査のみで鑑別診断を行うことは不可能である.したがって確定診断には超音波ガイド下の針生検が必要だが,少ない組織では病理学上も診断が困難となることが少なくない.肝細胞癌の多くは腫瘍径が15mm以上になるとその組織学的特徴が画像上にも現れるといわれており,多くは肝硬変症に伴う10mm前後の結節がこれらの鑑別診断上問題となる.したがって超音波検査を行ううえでは腫瘍径も重要な因子となり,周囲の肝組織と同等の結節性変化であれば再生結節を疑い,周囲の結節より一回り大きく10mm前後であればAH,AAHを疑い,15mm以上となる場合には早期の肝細胞癌を疑う.
また,腫瘍内の門脈血と動脈血の割合の変化は組織学的悪性度と相関しており,これらの鑑別診断には腫瘍内の血流診断が重要となる.現在,肝細胞の評価も可能なFe造影剤を用いたMRI検査が早期肝癌と境界病変の鑑別に有用であるが,血流診断としては血管造影とCT検査を併用した門脈造影下のCT検査のほうが有用であるとされている.しかし,最近では経静脈性超音波造影剤(レボビスト®)を用いた造影超音波検査も細かな血流変化が観察可能となってきており,診断に有用である(図1,2).
また,腫瘍内の門脈血と動脈血の割合の変化は組織学的悪性度と相関しており,これらの鑑別診断には腫瘍内の血流診断が重要となる.現在,肝細胞の評価も可能なFe造影剤を用いたMRI検査が早期肝癌と境界病変の鑑別に有用であるが,血流診断としては血管造影とCT検査を併用した門脈造影下のCT検査のほうが有用であるとされている.しかし,最近では経静脈性超音波造影剤(レボビスト®)を用いた造影超音波検査も細かな血流変化が観察可能となってきており,診断に有用である(図1,2).
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