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文献概要
今月の主題 腹部疾患をエコーで診る 臓器・疾患別アプローチ―ワンポイントレクチャー 〈膵〉
solid pseudopapillary tumor(SC tumor)
著者: 唐澤英偉1
所属機関: 1国際医療福祉大学附属熱海病院消化器内科
ページ範囲:P.240 - P.240
文献購入ページに移動solid pseudopapillary tumorは,若年女性に好発する,稀で分化方向の不明な上皮性腫瘍である.大部分は良性であるが,悪性の報告もある.多くは,厚い線維性被膜を有する球形腫瘍,充実部分と出血壊死性の囊胞部分が共存する.稀に出血壊死性の囊胞部分のない例がある.基本的組織像は,小~中型,円形~卵円形の好酸性細胞からなる充実性腫瘍で,間質は毛細管性である.また腺腔形成がみられることもあり,papillary cystic tumorとも呼ばれる.電子顕微鏡的には,主体はミトコンドリアの多い未熟な細胞である.一部の細胞にチモーゲン顆粒がみられたり,時にα1-antitrypsinが陽性である.腺房細胞癌や内分泌腫瘍を鑑別する必要がある.
1. 超音波所見
20歳代,女性.超音波で膵頭部に境界比較的明瞭で内部低エコーの腫瘤像を認める.腫瘍に接する管腔構造がみられる(図1a).カラードプラ,パワードプラにより明らかな血流信号は検出されない(図1b).CTでも低濃度の腫瘤がみられた.切除標本で腫瘍の中心部は出血壊死に陥っていた.
1. 超音波所見
20歳代,女性.超音波で膵頭部に境界比較的明瞭で内部低エコーの腫瘤像を認める.腫瘍に接する管腔構造がみられる(図1a).カラードプラ,パワードプラにより明らかな血流信号は検出されない(図1b).CTでも低濃度の腫瘤がみられた.切除標本で腫瘍の中心部は出血壊死に陥っていた.
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