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文献概要
今月の主題 腹部疾患をエコーで診る 臓器・疾患別アプローチ―ワンポイントレクチャー 〈消化管〉
食道・胃接合部疾患(腹部食道を含めて)
著者: 宮本幸夫1
所属機関: 1東京慈恵会医科大学放射線医学
ページ範囲:P.269 - P.269
文献購入ページに移動1. 超音波解剖と描出法
食道・胃接合部(esophago-gastric junction:EGJ,esophago-cardiac junction:ECJ)および腹部食道は,比較的管腔内のガスが貯留しにくく,かつ肝を音響窓として利用することが可能であるため,通常は腹臥位にて心窩部を走査することにより,比較的容易に捉えることが可能である.腹部食道は,横隔膜食道裂孔を通過した後,腹部大動脈の前を斜めにトラバースし,食道・胃接合部を経て胃底部へと連続する.このため,腹部食道は,心窩部矢状断ではやや斜め輪切りに描出され,腹部食道から胃への長軸像をとらえるためには,探触子を矢状断の位置から反時計回りにやや回転させる必要がある.食道は通常ターゲット(標的)様に描出され,低エコーに描出される外層は固有筋層を反映し,中心部の高エコーは,食道粘膜と粘膜下層との複合エコーを示す.腹部食道の長軸像は,食道前壁および後壁の固有筋層がtram line様に平行に走行する2本の線として描出され,EGJでは,壁がやや肥厚する(図1).
2. 食道・胃接合部疾患の超音波像
食道癌(図2)や胃癌の食道への進展例は,食道壁の不整な肥厚像として捉えられる.EGJを越えての腫瘍進展を評価することも可能であり,横隔膜脚部や大動脈への直接浸潤,さらに周囲転移性リンパ節の評価にも超音波検査はきわめて有効である.狭窄部位より口側の食道はしばしば拡張し,時に液体貯溜を認めるが,食道アカラシアでは,食道の拡張は捉えられるものの,腹部食道に狭窄はなくEGJ自体の壁肥厚はあまり目立たない.門脈圧亢進症では,食道静脈瘤と傍食道静脈瘤とが鑑別可能であり,硬化療法の評価も可能となる.食道裂孔ヘルニアでは,同部位が貯留するガスにより描出しえなくなることもあるが,ガスのない場合では,上記のtram lineの蛇行などにより,ある程度診断可能となる.
食道・胃接合部(esophago-gastric junction:EGJ,esophago-cardiac junction:ECJ)および腹部食道は,比較的管腔内のガスが貯留しにくく,かつ肝を音響窓として利用することが可能であるため,通常は腹臥位にて心窩部を走査することにより,比較的容易に捉えることが可能である.腹部食道は,横隔膜食道裂孔を通過した後,腹部大動脈の前を斜めにトラバースし,食道・胃接合部を経て胃底部へと連続する.このため,腹部食道は,心窩部矢状断ではやや斜め輪切りに描出され,腹部食道から胃への長軸像をとらえるためには,探触子を矢状断の位置から反時計回りにやや回転させる必要がある.食道は通常ターゲット(標的)様に描出され,低エコーに描出される外層は固有筋層を反映し,中心部の高エコーは,食道粘膜と粘膜下層との複合エコーを示す.腹部食道の長軸像は,食道前壁および後壁の固有筋層がtram line様に平行に走行する2本の線として描出され,EGJでは,壁がやや肥厚する(図1).
2. 食道・胃接合部疾患の超音波像
食道癌(図2)や胃癌の食道への進展例は,食道壁の不整な肥厚像として捉えられる.EGJを越えての腫瘍進展を評価することも可能であり,横隔膜脚部や大動脈への直接浸潤,さらに周囲転移性リンパ節の評価にも超音波検査はきわめて有効である.狭窄部位より口側の食道はしばしば拡張し,時に液体貯溜を認めるが,食道アカラシアでは,食道の拡張は捉えられるものの,腹部食道に狭窄はなくEGJ自体の壁肥厚はあまり目立たない.門脈圧亢進症では,食道静脈瘤と傍食道静脈瘤とが鑑別可能であり,硬化療法の評価も可能となる.食道裂孔ヘルニアでは,同部位が貯留するガスにより描出しえなくなることもあるが,ガスのない場合では,上記のtram lineの蛇行などにより,ある程度診断可能となる.
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