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文献概要
今月の主題 腹部疾患をエコーで診る 臓器・疾患別アプローチ―ワンポイントレクチャー 〈消化管〉
胃癌
著者: 宮本幸夫1
所属機関: 1東京慈恵会医科大学放射線医学
ページ範囲:P.270 - P.270
文献購入ページに移動胃壁が超音波像にて5層構造として捉えられることはよく知られている.各層の解釈に関しては,現在もなお十分なコンセンサスが得られたわけではないが,粘膜層より順に,①粘膜と胃内腔との境界より生ずるエコー,②粘膜(腺窩上皮および粘膜固有層),③粘膜下層,④固有筋層,⑤漿膜および漿膜下層,とするという考え方が最も妥当なものと思われる.なお,より高分解能な探触子を用いれば,胃壁が11層を超える多層構造として描出されることが知られており,それらの多層構造のなかに,胃壁内の各層における境界(interface)より生ずるエコーが数多く含まれていることは,胃癌の壁深達度診断を行ううえでの重要な指標となる.これらの多層構造を前提とした胃壁の超音波診断は,胃癌の内視鏡治療の適応を決めるうえでも重要であり,腫瘍の壁内進展範囲の診断や,治療効果の判定にも有用となる.
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