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文献詳細

雑誌文献

medicina41巻3号

2004年03月発行

院内感染コントロールABC(3)

血管カニューレによる感染症

著者: 井上善文1 武澤純2

所属機関: 1日本生命済生会附属日生病院外科 2名古屋大学大学院医学系研究科機能構築医学専攻生体管理医学講座救急・集中治療医学

ページ範囲:P.534 - P.538

文献概要

院内感染が大きな社会問題となり,輸液やカテーテルに関連した感染症(catheter-related blood stream infection:CRBSI)もその重要な要因として注目されている.感染対策チーム(infection control team:ICT)が活動している施設も増加し,血管カニューレの管理プロトコールが作成されているが,各施設で独自の対策が講じられる傾向にある.これに対し,1999年,科学技術庁科学技術振興調整費緊急研究「院内感染の防止に関する緊急研究」の分担研究として,「高カロリー輸液など静脈注射剤の衛生管理に関する指針」1)が作成された.2002年には厚生労働科学研究費補助金(医薬安全総合研究事業)「院内感染を防止するための医療用具及び院内環境の管理および運用に関する研究」において,「カテーテル関連血流感染対策ガイドライン 第2版」2)として改訂作業が行われた.筆者らは3)この研究班のメンバーとしてガイドライン作成に携わることができたので,これに沿ってカテーテル管理に関する問題点について述べてみたい.


栄養療法の選択とCRBSI予防対策の大原則

 現在の本邦における栄養管理法の選択に関する問題点の一つは,中心静脈カテーテル(central venous catheter:CVC)を用いた高カロリー輸液(total parenteral nutrition:TPN)の濫用である.TPN施行の原則は,適応が経口・経腸栄養が不可能・不十分な症例に限られることであるが,本邦ではTPNが優先的に選択され,TPNが濫用されている傾向にあることが指摘されている.また,「TPN管理においてはCRBSIは避けがたい合併症である」,「CRBSIが発生してもCVCを抜去すればいい」,と安易に認識される傾向も指摘されている.TPNの適応を吟味して,適応外のTPN症例・CVC使用症例を減らすことがCRBSI予防対策の大原則である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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