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文献詳細

雑誌文献

medicina41巻4号

2004年04月発行

文献概要

院内感染コントロールABC(4)

院内感染肺炎への対応

著者: 藤本卓司1

所属機関: 1市立堺病院総合内科

ページ範囲:P.724 - P.726

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定 義

 院内肺炎は「入院後48~72時間以降に発症した肺炎で,かつ入院時に潜伏期になかったもの」と定義される.これは適正なサーベイランスを行うための定義である.48時間,72時間,いずれにするかは各施設で決めればよい.当然,市中肺炎と院内肺炎の境界が厳密に48~72時間に存在するわけではない.例えば入院当日の気管挿管が誘因となって早期に発症する肺炎もあり,これらの時間による定義は無意味だとの考えもある.定義に基づく区分は必ずしも個々の症例の医学的事実を反映しないが,サーベイランスにおいては集計されたデータが全体として疫学的に正しければよい.

危険因子と発症メカニズム

 院内肺炎の危険因子は多岐にわたる(表1).

 発症のメカニズムは,①口腔咽頭や胃に定着した細菌の誤嚥,②下気道に定着していた細菌からの発症,③医療器具を介した伝播,④他臓器感染症に伴う菌血症,腸管壁からのbacterial translocationに伴う菌血症に由来する塞栓肺炎,の4つである.

 ①が最も多く,特に睡眠時の不顕性誤嚥(micro-aspiration)が主な原因である.単に高齢というだけでは咽頭反射や咳嗽反射の低下は生じないという.誤嚥性肺炎の発症には大脳基底核の脳血管障害など危険因子が関与する.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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