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文献詳細

雑誌文献

medicina41巻6号

2004年06月発行

文献概要

今月の主題 血栓症の予防と治療 血栓症を理解する

出血すれば止血する―止血のメカニズムを理解する

著者: 松尾理1

所属機関: 1近畿大学医学部第2生理学

ページ範囲:P.918 - P.920

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ポイント

 血液の相反する作用:血液は循環系の中にあるときは,流動性を保持(ゾル状態)して,スムースに流れる.これは細胞の物質代謝にとって非常に効果的である.血液が自然止血機構によって循環系の中で固まり(ゲル状態)血流を障害/遮断するような事態は,血栓症として生体に悪影響を与える.しかし,血管が損傷を受けた場合,速やかに出血部位を塞ぐ必要がある.こうしてできる止血血栓は生体にとって有益である.このように「ゾルゲル変換」が起こる場合によって,生体にもたらされる影響は極端に異なる.

 血栓:血栓は発生する血管によって白色血栓と赤色血栓に大別される.白色血栓は血流の速い動脈でみられ,血小板主体である.これに対して,赤色血栓は血流の遅い静脈でみられ,血液全体が固められているので,赤く見える.赤色血栓は血栓溶解療法によく反応する.

 出血:血管の損傷による出血の場合,血管の直径と内圧によって出血量が決まる.大きな血管の場合,直接結紮する必要がある.これに対して,微小血管からの出血の場合,自然止血機構の作用で止血する.しかし,病態によってはウージングと呼ばれるような出血があり,止血に困難な場合がある.特にDICの場合には,消化管出血や皮下出血など直接止血しにくい場合がある.DICでは止血のために抗凝固物質のヘパリンを使用する.

 止血機構:自然止血機構はその機能低下で出血傾向を引き起こし,機能亢進で血栓形成を起こす.このバランスが平衡状態に保たれ,正常な生命維持活動が営まれる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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