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文献詳細

雑誌文献

medicina42巻11号

2005年11月発行

文献概要

「デキル!」と言わせるコンサルテーション 第11回

デキレジのコンサルテーション④神経系

著者: 早川幹人1

所属機関: 1虎の門病院神経内科

ページ範囲:P.2050 - P.2054

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外科病棟で

(とある午前中,外科をローテート中の研修医から専門医へ電話でのコンサルテーション)

●研修医:「お忙しいところすいません.相談したい患者さんがいるのですが,胃癌の術前精査で入院中の65歳,男性ですが,昨日の23時頃から発語に乏しく意識が不明瞭なのですが」

■専門医:「昨日から?」

●研修医:「頭部CTと採血をしましたが,どちらも取り立てて異常ないようなので様子を見ていました」

■専門医:「既往歴は?」

●研修医:「高血圧と心房細動で近医からCa拮抗薬,β遮断薬とアスピリンが処方されています.血圧は180/100と高めですが,もともと160/程度でコントロールはあまりよくなかったようです」

■専門医:「とりあえずすぐ行く」

(病棟で,簡単な診察の後に)

■専門医:「意識はJapan Coma Scale(以下JCS)Ⅰ-3,というより,失語が主体ですね.上肢優位のごく軽い右片麻痺があるようです.左側への共同偏視傾向も軽度ですが認められます.昨日のCTでは異常所見は確かにはっきりしないですね.すぐにCTを再検しましょう」

(CT室で)

■専門医:「……左中大脳動脈領域にLDA(低吸収域)があります.」

●研修医:「……」

脳梗塞では? と疑うことが重要

 心房細動が関連した心原性脳塞栓症でした.この研修医は疑いながらもその答えにたどり着けなかったようです.一般に脳梗塞はCTでは(もちろん病変の部位や大きさにもよりますが)12~24時間たたないと病変が描出されないことが多く,超急性期での感度は高くない検査です.この症例では失語が症状の中核をなし,共同偏視や麻痺症状がごく軽度だったために見逃され,脳梗塞の可能性が見落とされて(あるいは否定されて)しまいました.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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