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文献詳細

雑誌文献

medicina42巻12号

2005年11月発行

特集 これだけは知っておきたい検査のポイント 第7集

血液生化学検査 蛋白

α2-マクログロブリン(α2-M)

著者: 伊藤喜久1

所属機関: 1旭川医科大学臨床検査医学

ページ範囲:P.136 - P.137

文献概要

 α2-マクログロブリン(α2-M)は分子量800,000Da,糖含有量6~7%の蛋白量で,補体第3成分(C3),C4,C5などと相同性を有する.肝細胞,単球マクロファージ系細胞,星状グリア細胞など全身の種々の細胞で産生されている.α2-Mの機能はトリプシン,アンチキモトリプシン,エラスターゼ,トロンビンなどの蛋白分解酵素と結合して複合体を形成し,血中から短時間のうちに除去し,酵素機能の不活性化に作用し,さらに血液凝固線溶の制御作用にかかわる.また,ホルモン,インターロイキン-6(IL-6)などとも結合,その機能を調節する役割も狙う(図1).α2-Mはラットなどの動物種では急性相反応物質で,組織の破壊,感染症などでは短時間に濃度の増加がみられるが,ヒトではこのような変化はほとんどみられない.

異常値の出るメカニズムと臨床的意義

 臨床評価は血中濃度(質量濃度)の動態変化による.濃度増加は産生増加,クリアランスの低下が,一方,低下は産生低下,クリアランスの増加による(表1).ネフローゼ症候群では体外にすべての蛋白成分が漏出する.この結果,代償的に産生が亢進し,分子量の大きいα2-M,IgMなどは相対的に漏出されにくいため,これらの機序により血中濃度は増加する.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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