icon fsr

文献詳細

雑誌文献

medicina42巻12号

2005年11月発行

特集 これだけは知っておきたい検査のポイント 第7集

血液生化学検査 蛋白

フェリチン

著者: 新倉春男1

所属機関: 1昭和大学藤が丘病院内科血液

ページ範囲:P.138 - P.139

文献概要

異常値の出るメカニズムと臨床的意義

 フェリチンは肝,脾,骨髄などほとんどの臓器に分布する水溶性の鉄貯蔵蛋白で,生体の過剰で有害な無機鉄イオンを隔離,解毒し,また必要に応じてヘモグロビンや含鉄酵素の生成時に鉄を供給するという生理的役割がある1).血液中にも微量存在し,体内の鉄貯蔵状態をよく反映する.鉄は細胞内でフェリチンmRNAを増加させ,フェリチン合成を促進させることが知られている.体内のフェリチン量は男性で約800mg,女性で約200mgとされており,成人の血清フェリチン値1ng/mlは貯蔵鉄約8mgに相当するとされている.血清フェリチンの低下は貯蔵鉄の低下を意味し,鉄欠乏状態と判定できる.一方,高値を示す場合には,貯蔵鉄の増加(鉄過剰状態)のほかに,悪性腫瘍や炎症など臓器の障害による細胞からの逸脱が原因となる.つまり,血清フェリチン値を決めるのは貯蔵鉄と細胞からの逸脱である.

臨床上の重要性と選択

 1. 貧血の診断・分類

 貧血が認められる場合,特に小球性低色素性貧血(平均赤血球容積MCV低下,平均赤血球血色素濃度MCHC低下)において,鉄欠乏か否かを決定するのに必須の検査である.鉄欠乏性貧血では血清フェリチン値は低下するが,プロトポルフィリン合成障害である鉄芽球性貧血,グロビン生成障害であるサラセミアでは上昇する.慢性感染症や関節リウマチなどの膠原病による,いわゆる慢性疾患に伴う貧血はしばしば小球性貧血を呈するが,血清フェリチン値は正常ないし,むしろ上昇する.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら