文献詳細
特集 これだけは知っておきたい検査のポイント 第7集
血液生化学検査 蛋白
IgE,アレルギー特異的IgE抗体,アレルギー特異的IgG抗体
著者: 市橋秀夫1 東田有智1
所属機関: 1近畿大学医学部呼吸器・アレルギー内科
ページ範囲:P.152 - P.154
文献概要
近年,国民の30%がアレルギー症状を有する状況となっており,今後も増加の一途をたどると考えられている.アレルギーとは抗原抗体反応のうち病的なものを指しており,Ⅰ~Ⅴ型に分けられる.IgEが関与するのはⅠ型アレルギーで,即時型アレルギーともいわれている.その定義は好塩基球あるいはマスト細胞(肥満細胞)に固着したIgE抗体が抗原と反応することにより,それらの細胞より遊離されるchemical mediator(化学伝達物質)により惹起される生体反応とされており,生体が抗原に曝露された後,数分で発症し1時間程度で消失する.アレルギー疾患では,この抗原が特異的なアレルギー反応を引き起こすうえで重要な物質であり,抗原を特定することが診断と治療に当たる際に必要となる.抗原特定のために,in vivoでのプリックテストやパッチテストなどの皮膚テストや誘発試験,感度は落ちるが安全性の高いin vitroでのアレルゲン特異的IgE抗体の検出がある.代表的な疾患として気管支喘息アトピー型,鼻アレルギー,アトピー性皮膚炎などが挙げられる.またアレルギー疾患においては,アレルゲン特異的IgG抗体,特にサブクラスの1つであるIgG4抗体の関連性が示唆されており,減感作療法や長期間アレルゲンに曝露された際に増加するとの報告もある.
アレルギー特異的IgEの感度・特異度
感度はRAST法で71%,CAP RAST法で94.2%,AlaSTAT法で71%.
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