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文献詳細

雑誌文献

medicina42巻12号

2005年11月発行

特集 これだけは知っておきたい検査のポイント 第7集

血液生化学検査 糖質および関連物質

グルコース

著者: 山口いずみ1 阪本要一1

所属機関: 1慈恵医大晴海トリトンクリニック

ページ範囲:P.220 - P.223

文献概要

異常値の出るメカニズムと臨床的意義

 1. 異常値の出るメカニズム

 グルコース(ブドウ糖)は分子量180の単糖で,血液中の糖質の主成分である.生体にとって重要なエネルギー源であり,血中のグルコースの濃度を血糖値という.生体内のグルコースは,腸管からの糖の吸収,肝における糖新生と糖放出,腎からの排泄,骨格筋や脳での糖利用,自律神経およびさまざまなホルモン(インスリン,グルカゴン,成長ホルモン,カテコラミン,ステロイドホルモン,成長ホルモン)などにより規定され,恒常的に維持される.これらの恒常性が破綻したとき,高血糖あるいは低血糖をきたす.

 高血糖は主に一過性と持続性に分けられる.例えば胃切除後症候群は前者に含まれるが,これは糖質が胃でとどまらずに一気に体内へ吸収されるため一過性に高血糖となるためである.また,肝硬変では肝でのインスリン作用が障害されるため食後高血糖を起こす.後者は,いわゆる糖尿病であり,インスリン分泌低下や欠乏が主たる原因である.膵β細胞が免疫学的機序により破壊され,絶対的インスリン分泌低下に至るのが1型糖尿病であり,糖尿病の約5%を占める.一方,インスリン作用障害による慢性的高血糖,あるいはそれにより相対的インスリン分泌低下を特徴とするのが2型糖尿病であり,本邦の糖尿病の大部分を占める.また,インスリン拮抗ホルモン(成長ホルモン,カテコラミン,ステロイドホルモンなど)が過剰な状態でも高血糖を招く.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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