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文献詳細

雑誌文献

medicina42巻12号

2005年11月発行

特集 これだけは知っておきたい検査のポイント 第7集

血液生化学検査 糖質および関連物質

インスリン,C-ペプチド

著者: 河盛隆造1

所属機関: 1順天堂大学医学部内科学

ページ範囲:P.235 - P.237

文献概要

異常値の出るメカニズムと臨床的意義

 インスリンとC-ペプチドは等モルで膵β細胞より分泌される.血中インスリンレベルの測定は,①内因性分泌動態の追跡に,あるいは②外来性投与ヒトインスリンの血中プロフィールの把握に必須となる.ただし,インスリンアナログ製剤注射による血中インスリンレベルは従来の方法では計測できない.一方,血中C-ペプチドの測定は,血中インスリンレベルを測定しても意味がない場合に必要となる.すなわち,インスリン治療時に内因性インスリン分泌状況を追跡するときである.一方,尿中C-ペプチド排泄量の測定は内因性インスリン分泌量の推定に有用となる.

 糖のながれ,その結果としての血糖応答状況を規定する因子が,インスリン分泌動態と,全身臓器における糖の処理に及ぼすインスリン作用である.健常人のみならず糖尿病患者においても,インスリン分泌は血糖値に最も大きく左右されることから,血中インスリン濃度や,尿中C-ペプチド量を計測する際には,必ず血糖応答を把握したうえで結果を評価すべきである.インスリン分泌動態とインスリン作用を同時に,鋭敏に把握する手段として75g経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)がある.OGTTでは,単に血糖値を経時的に測定するのみではなく,血清インスリン値を測りたい.せめて負荷前,30分値,120分値,の3点は実行すべきであろう.図1に示すように,2型糖尿病の遺伝表現型として“血糖値上昇に対応して瞬時に分泌されるべき追加インスリンの欠如”を有しているにもかかわらず,インスリン感受性が亢進し耐糖能異常がみられないのか,インスリン分泌量が大であるにもかかわらず,インスリン作用の減弱による糖代謝異常の出現であるのかが,明白に解明できる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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