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特集 これだけは知っておきたい検査のポイント 第7集 血液生化学検査 血液ガス・電解質・微量金属
フェリチン,血清鉄と鉄結合能
著者: 通山薫1
所属機関: 1川崎医科大学検査診断学
ページ範囲:P.286 - P.288
文献購入ページに移動異常値の出るメカニズムと臨床的意義
フェリチンは鉄を結合して貯蔵するための蛋白(蛋白部分はアポフェリチン)で,肝・脾・骨髄・胎盤などの組織に広く分布しており貯蔵鉄量を反映するが,その分布量は概ね血清中濃度と相関する.したがって,血清フェリチンは鉄欠乏時に低下し,逆に鉄過剰状態では高値を示す.また組織崩壊に際して血清フェリチンは上昇するので,肝障害や悪性腫瘍の程度とも相関する.
臨床上の重要性と選択
鉄欠乏あるいは鉄過剰状態が予想される場合は,フェリチンを測定することによって鉄貯蔵量を評価できるので有用な検査である.鉄欠乏が顕在化せず,潜在的鉄欠乏の段階でも血清フェリチン値は低下する.鉄剤投与中はフェリチン値の是正を目標に投与を継続する.鉄過剰症に対する除鉄療法時もフェリチン値の改善を効果の指標とする.前述したように,肝炎や他の炎症性疾患,悪性腫瘍でもしばしば高値を示すが,疾患特異的な意義には乏しい.
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