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文献詳細

雑誌文献

medicina42巻12号

2005年11月発行

特集 これだけは知っておきたい検査のポイント 第7集

内分泌学的検査 下垂体

TSH(甲状腺刺激ホルモン)

著者: 家入蒼生夫1

所属機関: 1獨協医科大学臨床検査医学

ページ範囲:P.313 - P.315

文献概要

 甲状腺刺激ホルモン(thyroid-stimulating hormone, thyrotropin:TSH)は,下垂体前葉TSH産生細胞で合成・分泌される糖蛋白ホルモンで,α,β2つのサブユニットからなる.αサブユニットはゴナドトロピン(LHおよびFSH)や胎盤性ゴナドトロピン(hCG)のαサブユニットと共通の構造である.TSHの分泌調節は,血中遊離甲状腺ホルモン(free T4:FT4およびfree T3:FT3)との間の負の反回調節(negative feedback regulation),視床下部ホルモンの1つであるTSH分泌刺激ホルモン(TRH)およびその他の中枢神経からの調節因子などによりなされる.

 TSHは臨床検査ではイムノアッセイで測定される.現在の主流は,異なる2つのエピトープをもつ抗体の一方を固相抗体,他方を標識抗体とし,試料中の抗原(TSH)を挟むような複合体を形成させ,標識物質の信号(化学発光,蛍光,放射能など)を検知するシステムとした非競合サンドイッチ法である.この方法での測定感度は,実際の診療を考慮した測定間再現性を表す変動係数(CV)が20%を示す最低濃度とする実効感度で0.01~0.02μU/ml以下であり,健常人の最低濃度と甲状腺機能亢進症の示す濃度は明確に区別できる.一方,すべてのイムノアッセイに共通する問題として,標準物質や抗体の性状に依存する測定方法間での測定値の不一致があり,今なお完全には解消されていない.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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