文献詳細
特集 これだけは知っておきたい検査のポイント 第7集
内分泌学的検査 下垂体
プロラクチン(PRL),黄体化ホルモン(LH),卵胞刺激ホルモン(FSH)
著者: 安部由美子1 伊藤理廣1 峯岸敬1
所属機関: 1群馬大学大学院医学系研究科生殖再生分化学
ページ範囲:P.316 - P.318
文献概要
異常値の出るメカニズムと臨床的意義
プロラクチン(PRL)は下垂体前葉のPRL産生細胞から分泌される蛋白ホルモンであり,PRL産生細胞の増加(PRL産生腫瘍など)は高PRL血症をきたす.他の下垂体前葉ホルモンと異なり,視床下部因子による調節は,分泌抑制因子であるドーパミンによる抑制的調節が優位であるため,視床下部-下垂体茎の障害によるドーパミンの産生・転送不全は高PRL血症を引き起こす.また,ドーパミンの生成や作用を阻害する薬剤の服用よっても高PRL血症をきたす.一方,甲状腺ホルモン放出ホルモン(TRH)やエストロゲンは,PRL分泌促進作用を有するため,これらの上昇する状態においても高PRL血症をきたす.高濃度のPRLは視床下部-下垂体-性腺系と乳腺に作用して,性腺機能低下症や乳汁漏出症をもたらす.
検体採取と取り扱い上の注意
血中PRL値は日内変動を示し,夜間睡眠時,特に明けがたの起床前に頂値を示す.また,ストレス,運動,食事などにより一過性に上昇する.このため採血は起床後3時間以上,食後2時間以上経った安静時に行うことが望ましい.
掲載誌情報