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文献詳細

雑誌文献

medicina42巻12号

2005年11月発行

特集 これだけは知っておきたい検査のポイント 第7集

内分泌学的検査 下垂体

ADH(抗利尿ホルモン,バゾプレッシン)

著者: 庄司優1 須田俊宏2

所属機関: 1弘前大学医学部臨床検査医学 2弘前大学医学部第3内科

ページ範囲:P.322 - P.323

文献概要

異常値の出るメカニズムと臨床的意義

 抗利尿ホルモン(バゾプレッシン)(antidiuretic hormone, vasopressin:ADH)はアミノ酸9個からなるペプチドホルモンである.その前駆体は視床下部で転写・翻訳を受け,軸索輸送下にプロセシングされて下垂体後葉に貯えられ,刺激を受けて分泌される.分泌されたADHは腎集合管のV2受容体に作用し,水再吸収を亢進させて抗利尿作用を発揮する.また,細動脈平滑筋のV1a受容体に作用して血管収縮を起こし,下垂体前葉のACTH細胞のV1b受容体に作用してACTHの分泌を促す.

 ADHの半減期は約13分であり,血漿ADH濃度は下垂体後葉からの分泌を反映する.分泌調節は主に浸透圧受容体,容量受容体,圧受容体を介した刺激によって行われている.最も重要な分泌調節因子は血漿浸透圧である.血漿ADH濃度と血漿浸透圧との間には正の相関関係が認められ,健常人では血漿浸透圧が272mOsm/kg以下になるとADHは検出されない(図1).

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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