文献詳細
特集 これだけは知っておきたい検査のポイント 第7集
免疫学的検査 感染症関連検査 ウイルス関連検査
その他の肝炎ウイルス関連検査
著者: 新海登1 溝上雅史2
所属機関: 1名古屋市立大学大学院医学系研究科臨床分子内科学 2名古屋市立大学大学院医学系研究科臨床分子情報医学
ページ範囲:P.367 - P.369
文献概要
E型肝炎ウイルス(hepatitis E virus:HEV)は約7,200塩基長の一本鎖(プラス鎖)RNAをゲノムとする小型球形粒子である.E型肝炎は熱帯,亜熱帯の発展途上国でみられる主要な急性肝炎の1つで,HEV常在国へ旅行し,帰国後に発症する,いわゆる輸入感染症として位置づけられてきたが,近年,本邦においても一部地域1)においては決して稀な感染症ではなく,原因不明(non-ABCD)急性肝炎の約30%にも達するとされている.
1. HEV-RNA
急性期の血清あるいは糞便あるいは肝臓から核酸を抽出し,PCR法にてHEV-RNAの特異的塩基配列を増幅し,その有無をみる.HEVは塩基配列の多様性が高いウイルスであり,増幅に用いるプライマーのデザインによっては偽陰性がありうる.核酸増幅検査にはコンタミネーションの可能性もあり,増幅が得られても,可能であれば,その増幅産物のシークエンシングをし,配列を確認すべきである.
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