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文献詳細

雑誌文献

medicina42巻12号

2005年11月発行

特集 これだけは知っておきたい検査のポイント 第7集

免疫学的検査 自己免疫関連検査

抗ミトコンドリア抗体

著者: 平形道人1

所属機関: 1慶應義塾大学医学部内科

ページ範囲:P.445 - P.447

文献概要

異常値の出るメカニズムと臨床的意義

 抗ミトコンドリア抗体(anti-mitochondrial antibody:AMA)は原発性胆汁性肝硬変症(primary biliary cirrhosis:PBC)に高頻度(約90%)かつ特異的に検出され,PBCの診断のうえで最も大切な検査である.PBCは中年以降の女性に好発し,組織学的に肝小葉内の細胆管の慢性非化膿性破壊性胆管炎を特徴とする慢性胆汁うっ滞性疾患である.

 AMAの対応抗原にはM1~9までの亜分画(Berg)がある.この中で,ミトコンドリア内膜蛋白に対する自己抗体である抗M2抗体がPBCに特異的であるが,他の亜分画に対する抗体は他疾患でも検出される.抗M2抗体の主要対応抗原はピルビン酸脱水素酵素複合体の74kDaのE2成分(pyruvate dehydrogenase complex-E2:PDC-E2)で,その他の対応抗原ではbranched chain 2-oxo acid dehydrogenase complex-E2(BCOADC-E2),2-oxo glutarate dehydrogenase complex-E2 (OGDC-E2),protein Xが同定されている.大腸菌のPDC-E2と分子相同性を示す自己抗原を認識するT細胞のトレランスが破綻し,自己免疫応答が活性化し,抗M2抗体が産生され,PBCが発症する機序などが想定されているが,まだ不明な点も多い.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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