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文献詳細

雑誌文献

medicina42巻12号

2005年11月発行

文献概要

特集 これだけは知っておきたい検査のポイント 第7集 腫瘍マーカー 消化器系

エラスターゼ1

著者: 岡田祐二1

所属機関: 1名古屋市立大学大学院医学研究科臨床病態外科学

ページ範囲:P.504 - P.506

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異常値の出るメカニズムと臨床的意義

 エラスターゼ1は膵液中に存在する消化酵素の1つであり,弾性線維エラスチンを加水分解する蛋白分解酵素である.ヒト膵液中にはエラスターゼ1(anionic elastase)とエラスターゼ2(cationic elastase)の2種類が存在する.膵の腺房細胞にプロエラスターゼとして局在し,腸に分泌されてトリプシンより活性化される.膵臓のほか脾臓,大動脈壁,白血球,血小板にも存在が確認されている.エラスターゼ1の分子量は29,000~33,000で,至適pHはpH8.8である.

 異常値の出るメカニズムとしては,膵臓に発生する何らかの炎症により,腺房細胞よりエラスターゼが血中に逸脱することにより高値を呈すると考えられる.血中の膵アミラーゼやトリプシンなどと同様に,膵から血中へのエラスターゼの逸脱量の増減で膵障害の存在を推測する.エラスターゼ1は膵特異性が高く,他の膵酵素に比べて異常高値が長く持続する特徴がある.その臨床的意義として,①膵疾患に対する特異性が高い,②膵疾患のスクリーニングに有用,③経過観察に有力な指標となる,などの点が挙げられる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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