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文献詳細

雑誌文献

medicina42巻12号

2005年11月発行

特集 これだけは知っておきたい検査のポイント 第7集

腫瘍マーカー 消化器系

CA50

著者: 岡田祐二1

所属機関: 1名古屋市立大学大学院医学研究科臨床病態外科学

ページ範囲:P.507 - P.509

文献概要

異常値の出るメカニズムと臨床的意義

 1983年にヒト大腸癌の細胞株Colo-205を免疫原とするモノクローナル抗体C-50(IgMクラス)が作製され,このC-50が認識する抗原としてCA50(carbohydrate antigen 50)が臨床的に応用された.この抗原(CA50)は糖鎖抗原であり,I型糖鎖に属するシアリルラクトテトラオースである.C50抗体はその構造中にシアリルI型糖鎖を有するCA19-9に対しても反応し,その親和性はCA50よりも強いともいわれている(図1).血液型の遺伝形質であるLeaの陰性者(全人口の4~10%)はCA19-9を産生できないのに対し,CA50はLeaの有無に関係なく合成される点がCA19-9よりも有用と考えられたが,いまだ十分な証明はなされていない.

 異常値の出るメカニズムとしては,癌化に伴う形質変化は糖鎖部分に起こる場合が多く,上皮細胞の産生するムチン上の糖鎖が癌性変化を起こし,それが血中に流出し,異常値として臨床的に検出されることとなる.CA50の臨床的意義としては,膵癌および胆道系癌の腫瘍マーカーとして重要であり,主としてこれら領域の癌の診断・経過観察に用いられることが多い.各種悪性腫瘍患者でのCA50値を図2に示す.膵癌,胆道系癌では70%程度,肝癌では40%程度の高い陽性率が報告されている.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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