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文献詳細

雑誌文献

medicina42巻12号

2005年11月発行

文献概要

特集 これだけは知っておきたい検査のポイント 第7集 腫瘍マーカー 消化器系

シアリルSSEA-1(SLX)

著者: 神奈木玲児1

所属機関: 1愛知県がんセンター分子病態学部

ページ範囲:P.514 - P.517

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異常値の出るメカニズムと臨床的意義

 癌細胞により産生される糖鎖を検出する腫瘍マーカー検査である.検出に用いられる抗体が末端シアル酸とLex糖鎖構造とi-抗原糖鎖構造を併せもつ糖鎖とよく反応することから,シアリルLex-iと呼ばれる.Lex糖鎖構造とi-抗原糖鎖構造を併せもつ糖鎖は,以前にマウス初期胚に発達時期特異的に発現する胎児性抗原(stage-specific embryonic antigen-1:SSEA-1)に対して作製された抗体の認識糖鎖であり,これにシアル酸が付加した糖鎖であることから,シアリルSSEA-1とも呼ばれる.SLXは本糖鎖の測定用に市販されている試薬キットの商品名である.

 正常の上皮細胞には本糖鎖よりも複雑な多種多様の糖鎖が発現している.細胞が癌化する際に,こうした複雑な正常糖鎖の合成を行う糖鎖関連遺伝子の一部がヒストンの脱アセチル化やDNAのメチル化などのエピジェネティックな機構により発現抑制され,合成不全が起こる.この結果,癌細胞に本糖鎖をはじめとする特定の糖鎖の発現が誘導される1,2).さらに局所進行癌になると,病巣が低酸素環境であるため,癌細胞に転写因子であるHIF(hypoxia inducible factor:低酸素誘導因子)が誘導され,これが本糖鎖の合成に関与する複数の糖鎖関連遺伝子の発現を誘導する.この結果,進行癌では本糖鎖の発現がさらに亢進する3~5)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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