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文献詳細

雑誌文献

medicina42巻12号

2005年11月発行

特集 これだけは知っておきたい検査のポイント 第7集

腫瘍マーカー 消化器系

DU-PAN-2

著者: 澤武紀雄1 渡辺弘之1 大坪公士郎1

所属機関: 1金沢大学がん研究所腫瘍内科

ページ範囲:P.521 - P.523

文献概要

異常値の出るメカニズムと臨床的意義

 DU-PAN-2は癌細胞により産生される糖鎖を検出する腺癌系統の腫瘍マーカーである.そのエピトープはCA19-9(2→3 sialyl Lewisa)より側鎖のfucoseが除かれた構造である2→3 sialyl Lewiscである.類似した糖鎖を検出する腫瘍マーカーにはCA50とSpan 1がある.CA50とSpan 1の抗体はsialyl Leaに強く反応するが,sialyl Lewiscにも弱いながら反応性を示すといわれている.しかし,DU-PAN-2の抗体はCA19-9と交差反応性は示さないとされている.遺伝的に日本人の約10%にみられるLewis-a-bの個体では,癌を合併してもCA19-9の前駆糖鎖であるsialyl LewiscからCA19-9を産生しえないが,DU-PAN-2の産生は可能であり,本抗原の利点として挙げられる.

 正常組織では,DU-PAN-2は主に消化管,膵管,胆管および気管支の上皮細胞に微量ながら存在する.免疫組織学的に正常細胞では本抗原は管腔側細胞膜に極性をもって弱く染まるが,癌細胞では極性は乱れ,基底膜を含め広範に強く染色されるようになる.さらに癌細胞周囲の間質へも遊離し,血中にも上昇するようになる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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