medicina43巻10号

2006年10月発行

今月の主題 皮膚から見つける内科疾患 薬疹を見逃さない

重症薬疹を見逃さない―重症化の最初の徴候は？

著者： 小野田雅仁¹ 池澤善郎¹

所属機関： ¹横浜市立大学医学部環境免疫病態皮膚科学

ページ範囲：P.1670 - P.1672

ポイント

SJS，TENの初期症状の3主徴は，①発熱(多くの場合39℃以上)，②皮膚粘膜移行部の粘膜疹，③皮膚に多発する多形紅斑様発疹(紅斑，水疱，びらん)である．

TENは，①びまん性紅斑進展型TEN，②SJS進展型TEN，③特殊型(多発性固定薬疹進展型TENなど)の3病型に分類される．

SJS/SJS進展型TENでは，病理組織による至急診断が重要である．表皮細胞の好酸性壊死が多数認められる場合には，急激に症状が進行する可能性が高いため，ステロイドパルス療法などを検討する必要がある．

参考文献

１) Roujeau JC：The spectrum of Stevens-Johnson syndrome and toxic epidermal necrolysis, a clinical classification. J Invest Dermatol 102：28s-30s, 1994

２) 橋本公二：SJS，TENとHSの診断基準および治療指針の研究，厚生科学特別研究事業平成13年度総括研究報告書．2002

３) 池澤善郎：DIHSやSJS/TENのような重症薬疹の治療とその問題点．医学のあゆみ 205：965-971, 2003

４) 飯島正文：重症型薬疹・中毒疹・輸血後GVHD，宮地良樹，古川福実(編)：皮膚疾患診療ガイド，pp235-237，文光堂，2002

５) 飯島正文：重症型薬疹，玉置邦彦(編)：最新皮膚科学大系第5巻，薬疹・中毒疹，pp47-55，中山書店，2004

６) 相原道子：薬物アレルギー．日内会誌 93：2085-2090, 2004

７) 池澤善郎：重症薬疹とその対応，西部支部企画前実績研修講習会テキスト，pp1-20，日本皮膚科学会研修委員会，2005