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文献詳細

雑誌文献

medicina43巻10号

2006年10月発行

文献概要

できる医師のプレゼンテーション―臨床能力を倍増するために 7

「伝える」ことのコツ─声・姿勢・目線・時間

著者: 川島篤志1

所属機関: 1市立堺病院・総合内科

ページ範囲:P.1772 - P.1778

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例 便秘がちで動脈硬化性病変のリスクの少ない65歳女性が,下血を主訴に憩室からの出血疑いで入院した時のプレゼンテーションで

研修医:(現病歴の中で)夜間就寝中,えーっと2時30分ごろだったそうですが,突然便意を催して,1階のトイレに行かれ,最初は普通便が出たそうです.その後,下痢みたいな水が出ていたそうです.次は4時ごろ,時計を見ていたそうですが,座った瞬間にシャーッと水様便が出たそうで,見てみると真っ赤だったそうです.結果的には血液が出てたということだと思います.えーっと,その次は6時をちょっと回った時に…….

指導医:とにかく,突然の便意があって,最初に便が混じった血液を頻回に排泄したんだね.

研修医:えーっと,まとめるとそうです.すみません.

 (検査結果まで進んで)血液検査ですが,Hb/Hctが12.3で,36.7でした.アレ,36.9だったような…….

指導医:比較できる以前のHb/Hctはありますか?

研修医:データを確認しようとしたんですけど,コンピュータに取り込まれていなくて,いろいろと聴きにいったんですが…….開業医の先生にも連絡しようかと思ったんですが,かけようとした時に別の用事で呼ばれて…….

指導医:あ,じゃあ比較のデータはないんだね.

研修医:はい,ありません.すみません.

指導医:凝固系は異常なかった?

研修医:凝固系ですか…….えーっと.(パラパラ)やっているとは思うんですけどぉ…….ちょっと待って下さい.(パラパラ)えーっと.PTは97%で,aPTTは35.2秒だった~と(ゴモゴモ).

指導医:じゃぁ,異常ないんだね.

研修医:す,すみません.ありません.(その後,最後までようやく到達し)以上です.

指導医:ハイハイ.これで終わりですね.

研修医:あの……次の症例にいっていいですか?

指導医:まだあるのか……(周りを見ると,数人が眠っている).フゥー.

 症例プレゼンテーションは,症例の把握をする部分とそれを伝える部分に分かれます.前回までの話は,情報をいかに集めるか,いかに整理するか,と症例把握=内容の部分を話してきました(一部,それぞれの箇所での伝え方のコツもありましたが).今回は「伝える」ことのコツを全般的に話します.

 症例提示のプレゼンテーションに限りませんが,プレゼンテーションをするときのポイントには,内容・声・姿勢・目線・時間が大切になってきます.聴衆を飽きさせることなく,集中力を落とさず,イライラさせることなく,気持ちよく聞いてもらうか,ということを意識しましょう.

参考文献

1)鈴木富雄:15 プレゼンテーションの上手な方法を教える,尾藤誠司,藤沼康樹(編):総合診療ブックス 決定版!スグに使える臨床研修指南の21原則,pp 134-135,医学書院,2005

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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