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雑誌目次

雑誌文献

medicina43巻3号

2006年03月発行

雑誌目次

今月の主題 腎・尿路疾患―一般診療から専門診療へ 腎・尿路疾患の基本

Editorial:腎尿路疾患診療の注意点

著者: 富野康日己

ページ範囲:P.378 - P.380

ポイント

・腎・尿路疾患の種類や起こり方を包括的に理解する.

・尿検査,血液検査,腎機能検査,画像診断,腎生検などを効果的に行い,それらの所見を多面的に理解する.

・腎のもつ①尿の生成と排泄作用,②水・電解質の調節作用,③ホルモン作用の異常についても理解し,それらの病態と対処法を知る.

わが国の末期腎不全の現状・疫学

著者: 井関邦敏

ページ範囲:P.382 - P.383

ポイント

・わが国の末期腎不全(慢性透析)の現状は下記のごとくまとめられる.

 ①透析導入の原因疾患の第1位は糖尿病である.

 ②年度末患者数の第1位は慢性腎炎である.

 ③年度末の患者数(人口100万人対)は世界一多い.

 ④新規導入数(人口100万人対)は米国についで第2位である.

 ⑤透析患者の生存率が世界一である.

異常症候・尿検査異常をみたら―検査の進め方と診断

むくみ(浮腫)がみられたら

著者: 古家大祐

ページ範囲:P.386 - P.387

ポイント

・腎性浮腫は塩分貯留による.

・体重の変化にて浮腫の程度を判断する.

・原疾患の治療が主体である.

・対症療法は塩分制限と利尿薬の使用である.

高血圧がみられたら

著者: 鈴木洋通

ページ範囲:P.388 - P.389

ポイント

・高血圧を診断するには外来の血圧測定のみならず家庭血圧測定も積極的に取り入れる.

・両者の値をみながら血圧値に基づいて高血圧を診断する.

・高血圧が診断されたら,まず尿微量アルブミンおよび蛋白の測定を行い,血清クレアチニン値からGFRを概算する.それにより心血管系リスクの予想をたて降圧治療を行う.

乏尿がみられたら

著者: 中沢将之 ,   宮崎正信 ,   河野茂

ページ範囲:P.390 - P.392

ポイント

・1日の老廃物を排泄するのに必要な最低尿量は約400mlであり,乏尿とは1日尿量がそれ以下になることをいう.

・乏尿は原因によって腎前性,腎性,腎後性の3つに分けられ,それぞれによって治療法が異なる.

・一度乏尿を呈すると急激な経過をとることが多く,迅速な対応が求められる.

・腎前性は輸液などにより速やかに改善しうる.腎性・腎後性は専門医へコンサルトを行うべきである.

尿蛋白陽性といわれたら

著者: 柴田孝則 ,   加藤謙一

ページ範囲:P.394 - P.397

ポイント

・生理的蛋白尿と病的蛋白尿に分けて考える.

・早朝尿で蛋白尿が陰性となる場合は,体位性蛋白尿が考えられる.

・腎性蛋白尿には糸球体性と尿細管性がある.

・糸球体性蛋白尿の主たる成分はアルブミンである.

・1日尿蛋白2g以上は,通常は糸球体性蛋白尿が考えられる.

・1日尿蛋白1g以上が持続する場合は腎の予後に注意が必要である.

尿潜血陽性といわれたら

著者: 堀越哲

ページ範囲:P.398 - P.400

ポイント

・尿潜血検査には偽陽性と偽陰性がある.

・尿沈渣の判定には,まず採取された尿が診断に足るものか否かを判断することが大切である.

・尿検査は一度だけで判断せず,繰り返し行うことが大切である.

・同時に測定した尿蛋白や尿沈渣所見により糸球体疾患か非糸球体疾患かの推測が可能である.

検査の進め方―腎疾患を見逃さないために

尿沈渣のつくり方と所見の考え方

著者: 鈴木啓介 ,   三浦直人 ,   今井裕一

ページ範囲:P.402 - P.404

ポイント

・試験紙法の限界を熟知し,尿沈渣を行うことが重要である.

・尿沈渣によって糸球体病変,下部尿路異常を鑑別できる.また,出現する細胞・円柱によって病態を推理でき,疾患を推定することができる.

・尿蛋白量と尿沈渣により腎生検所見が推測できる.そのような意味で,needleless biopsyとも呼ばれている.

腎機能検査データの診方・考え方

著者: 今井圓裕

ページ範囲:P.406 - P.407

ポイント

・臨床的には腎機能は糸球体濾過量(GFR)をさす.

・GFRの正確な測定法はイヌリンクリアランスであるが,通常24時間クレアチニンクリアランスで代替する.

・腎機能を推定するにはMDRDの式やCockcroft-Gaultの式があり,一般臨床では腎機能を推測し,腎機能に応じた治療や投薬を行うのに有効である.

画像所見の診方・考え方

著者: 木村健二郎

ページ範囲:P.408 - P.412

ポイント

・超音波装置は費用があまりかからず,非侵襲的であり,しかも広く普及している.超音波検査は多くの場合,腎疾患における画像診断で最初のステップとして行うべきものである.

・造影CTや腎血管造影は有力な診断のためのツールである.しかし,患者に造影剤によるさまざまな副作用,なかでも腎症の危険があることを忘れてはならない.

腎生検はどんなときに行うの

著者: 升谷耕介 ,   平方秀樹

ページ範囲:P.414 - P.419

ポイント

・腎生検は腎疾患の診断と治療を行ううえで重要な情報をもたらす.

・超音波による腎の探索法と自動生検装置が普及し,組織の採取はより安全で確実となった.

・検査に伴う出血は不可避であり,合併症を最小限にとどめるよう,手技の向上に努める必要がある.

・標本作製は熟練を要し,病理検査室との緊密な連携が必要である.

前立腺生検はどんなときに行うの

著者: 坂本善郎

ページ範囲:P.420 - P.422

ポイント

・前立腺生検の適応は,
①PSA4.1ng/ml以上
②PSA4.1~10.0ng/ml以上の場合,PSA F/T ratio,PSAV,PSAD,PSATZD などを参考にする.
③PSA が4.0ng/ml以下でも前立腺に結節を触知する場合
④年齢では50歳以上で,80歳以上の場合には有症状の場合
⑤前立腺炎を併発している場合は,消炎後PSAを再検

腎・尿路疾患の診断と治療 【治療総論】

腎疾患の一般的な治療戦略

著者: 飯野則昭 ,   斉藤亮彦 ,   下条文武

ページ範囲:P.424 - P.426

ポイント

・腎機能障害を有する腎疾患患者の食事療法は塩分制限と低蛋白食が基本となる.

・喫煙は高血圧を招き,腎機能障害を進行させる.禁煙によりその進行は抑制される.

・肥満は蛋白尿の独立した危険因子である.

・ACE阻害薬,ARBは降圧作用だけでなく,蛋白尿減少作用や腎保護作用を有する.

【疾患各論】

急性腎炎症候群・急速進行性腎炎症候群

著者: 田中宏明 ,   山縣邦弘

ページ範囲:P.428 - P.430

ポイント

・急性腎炎症候群は腎疾患の既往のない患者に急性に発症する疾患で,血尿,蛋白尿,高血圧,糸球体濾過量の低下,乏尿を認める.

・多くは自然治癒傾向を示すが,高度蛋白尿の持続,進行性の腎機能障害例では,専門医への紹介を要する.

・急速進行性腎炎症候群は腎炎性尿所見と同時に進行性の腎機能障害を呈する.

・急速進行性腎炎症候群を疑った場合には直ちに腎疾患専門医にコンサルテーションすべきである.

ネフローゼ症候群―微小変化型・巣状糸球体硬化症・膜性腎症

著者: 斉藤喬雄

ページ範囲:P.431 - P.433

ポイント

・ネフロ-ゼ症候群の多数は微小変化型で,その大部分はステロイドにより尿蛋白が消失する.

・高齢者では膜性腎症が多く,悪性腫瘍に伴う場合など続発性も考慮する.

・難治例では腎生検で診断を確定し,免疫抑制薬の併用など専門的な治療が必要となる.

慢性腎炎症候群―IgA腎症

著者: 石井健夫 ,   川村哲也

ページ範囲:P.434 - P.436

ポイント

・持続的顕微鏡的血尿は必発所見である.

・成人の場合,血清IgA値315mg/dl以上(全症例の半数以上に認められる).

・確定診断は腎生検による糸球体の観察が唯一の方法である.

・免疫組織学的所見はびまん性にメサンギウム領域を主体とするIgAの沈着である.

・予後判定は腎生検光顕標本の組織所見をもとに行い,予後判定基準に従って治療方針を決定する.

・予後比較的不良群,予後不良群においてはステロイド治療の適応を検討すべきである.

・現在,扁桃摘出とステロイドパルス療法の併用の有効性についての調査研究が行われている.

慢性腎炎症候群―膜性増殖性糸球体腎炎

著者: 大澤勲 ,   富野康日己

ページ範囲:P.437 - P.439

ポイント

・血尿を伴う慢性腎炎症候群で低補体血症があれば膜性増殖性糸球体腎炎(MPGN)を鑑別診断に挙げる.

・病歴や全身所見から得られる鑑別のヒントを見逃さない.

・二次性MPGN,特にC型肝炎ウイルス感染を原因とする症例が増えている.

・早期発見・早期治療により必ずしも予後不良の疾患ではなくなっている.

尿細管間質性腎炎

著者: 伊藤恭彦 ,   湯澤由紀夫 ,   松尾清一

ページ範囲:P.440 - P.442

ポイント

・薬剤性によるものが最も多いので問診が重要となる.3徴は有名であるが頻度は少ない.

・非乏尿性急性腎不全でしばしば発見されるので,他の急性腎不全との鑑別が必要となる.

・薬剤性間質性腎炎が疑われればまず休薬(経過観察)し,必要があればステロイド薬の使用を考慮する.

糖尿病性腎症

著者: 大賀佐起子 ,   四方賢一 ,   槇野博史

ページ範囲:P.444 - P.447

ポイント

・糖尿病性腎症は糖尿病の細小血管合併症の1つであり,透析導入原因疾患の第1位を占める.

・糖尿病患者に腎障害を認める場合,糖尿病性腎症と他の腎疾患との鑑別を常に念頭に置く必要がある.

・病期分類は微量アルブミン尿,蛋白尿の程度と腎機能によって行う.

・発症予防や進展抑制には,厳重な血糖と血圧管理,レニン-アンジオテンシン系阻害薬の使用と食事の蛋白質制限が重要である.

ループス腎炎

著者: 新田孝作 ,   内田啓子 ,   湯村和子

ページ範囲:P.448 - P.451

ポイント

・ループス腎炎はSLE患者の50~80%に合併する.

・多彩な尿沈渣所見は活動性ループス腎炎の指標となる.

・尿異常,腎機能障害がある場合は積極的に腎生検を行う.

・2003年ループス腎炎の組織分類に改定が行われた.

・副腎皮質ステロイド薬が第一選択薬であるが,組織分類を参考に免疫抑制薬や血漿交換の併用を考える.

腎硬化症

著者: 伊藤貞嘉

ページ範囲:P.452 - P.454

ポイント

・腎機能障害の存在に早期に気づくためにGFRを計算する.

・良性腎硬化症では長期間の軽・中等症の高血圧が持続しており,尿蛋白は軽度で沈渣は正常である.

・悪性高血圧は速やかに専門医に紹介する.

・血圧の十分な管理が必要であり,家庭血圧の測定が推奨される.

・二次性高血圧を見逃さない.

常染色体優性多発性囊胞腎

著者: 東原英二

ページ範囲:P.456 - P.458

問診・検査のポイント(見逃さないためのコツ)

 多発性囊胞腎は遺伝性疾患で,両側の腎臓に無数の囊胞ができる.加齢とともに病状が進行するが,進行の程度には大きなばらつきがある.腎臓の囊胞以外に,①腎臓の進行性機能低下があり,60歳台で約半数の患者が腎不全に陥る,②高血圧が約60%の患者に合併,③頭蓋内出血のリスクが高い,④そのほか肝囊胞,心臓の弁異常などがある.

 問診では,①症状(血尿,腰痛,腹部膨満,尿路感染症など)の有無と,あればその時期,腎機能が低下している場合には,腎不全関連の症状(易疲労性,動悸,浮腫,呼吸困難など),②家族歴の聴取は重要で,家系内における同じ疾患患者の有無を聴取する.常染色体優性遺伝なので,男女の区別はなく,子どもの1/2に遺伝する.また家系内での腎不全(透析),頭蓋内出血患者の有無を聴取する.頭蓋内出血は家系内集積することが知られているので,患者本人の予後を考えるうえで大切である,③既往歴では,血管性中枢神経障害,尿路感染症を聞く,④嗜好品として,コーヒー,喫煙を聞く.コーヒーなどのカフェイン,喫煙は病気の悪化要因であるとされている.

高尿酸血症による腎障害

著者: 大野岩男 ,   細谷龍男

ページ範囲:P.460 - P.462

ポイント

・痛風・高尿酸血症による腎障害の発症・進展には高尿酸血症・高尿酸尿症・酸性尿が重要となる.逆に,痛風・高尿酸血症による腎障害の対策にはこれらに対する適切な対処が必要となる.

・痛風腎では糸球体障害よりも髄質機能障害が起きることが多い.

・超音波検査は痛風腎の診断に有用である.

・腎機能に応じてアロプリノールの投与量を調節する必要がある.

高齢者にみられる薬剤性腎障害

著者: 叶澤孝一 ,   御手洗哲也

ページ範囲:P.464 - P.466

ポイント

・高齢者は,潜在的腎機能障害の存在や体液量調節機序の機能低下により,薬剤性腎障害を合併しやすい背景をもつ.

・高齢になるほど,複数の疾患を合併している傾向にあり,複数の診療科に受診して多数の薬物を投与される場合がある.

・以上より,高齢者の腎障害では,常に薬剤性腎障害の可能性を考えておくことが重要である.

腎癌

著者: 原林透 ,   篠原信雄 ,   野々村克也

ページ範囲:P.468 - P.470

ポイント

・腎癌の多くは局所症状以外で発見される.

・高解像度CTが最も診断に有用である.

・局所に対する外科的治療は,腎部分切除術,腹腔鏡手術が主体となった.

・転移癌ではサイトカイン療法が主体であるが,可能であれば外科的治療を加える.

腎不全患者の治療を考える

腎不全治療総論―保存期,透析療法,透析合併症

著者: 斎藤明

ページ範囲:P.472 - P.474

ポイント

・慢性腎不全は,腎機能低下によりクレアチニンクリアランス30ml/min以下を呈する状態をいう.

・透析導入時期の決定は,尿素症状,腎機能低下程度,日常生活制限の3つから総合的に判断する.

・透析合併症は,導入初期と長期合併症があり,主な長期合併症には,心血管系疾患,骨代謝障害,透析アミロイドーシス,栄養障害などがある.

急に腎機能が悪化した場合の対処法

著者: 遠藤美樹子 ,   米村克彦 ,   菱田明

ページ範囲:P.476 - P.478

ポイント

・急性腎不全とは,急速に腎機能が低下する症候群であり,病態によって腎前性高窒素血症,腎性急性腎不全,腎後性急性腎不全の3つに分類することができる.

・病態によって治療法が異なるために,急性腎不全の原因を究明することは重要である.

・詳細な問診,薬剤服用・投与歴,既往歴の聴取,身体所見,検尿所見が鑑別には重要である.

腎障害時における抗生物質・消炎鎮痛薬の使い方

著者: 鈴木祐介 ,   富野康日己

ページ範囲:P.481 - P.483

ポイント

・患者,特に高齢の患者の場合,腎機能を正確に把握したうえで薬物療法を行うことが重要である.外来では,Cockcroft-Gaultの計算式がその評価に有用である.

・腎障害患者に抗生物質を投与する場合,その薬剤の排泄経路を把握して投与計画を立てることが重要である.

・腎障害患者に消炎鎮痛薬を投与する場合,脱水の有無を把握し,もし脱水が存在する場合には補液などであらかじめ改善させたうえでの使用が重要である.

腎障害時の造影剤の使い方

著者: 増田貴博 ,   草野英二

ページ範囲:P.484 - P.486

ポイント

・造影剤投与前から輸液を開始することが重要である.

・輸液は生理食塩水などの細胞外液類似液を用いる.

・利尿薬に造影剤腎症予防効果は認められていない.

・造影剤の減量はMRCDに準じて行う.

・造影剤投与前に併用薬剤(NSAID,ACE阻害薬など)を減量または中止する.

代謝性アシドーシスの治療

著者: 三村維真理 ,   南学正臣

ページ範囲:P.488 - P.490

ポイント

・腎不全患者が代謝性アシドーシスをきたす病態としては,主に尿毒症と尿細管異常がある.

・尿毒症による代謝性アシドーシスの治療におけるアルカリ製剤投与の問題点として,Na負荷による細胞外液の過剰から循環不全を増悪させることが報告されているが,一般的なコンセンサスはいまだ確立されていない.

・尿細管性アシドーシスの治療は病態によって異なるが,アルカリ製剤の補充と原疾患の治療が基本となる.

電解質異常(高K血症,低Na血症,低Ca血症,高P血症)の治療

著者: 飯野靖彦

ページ範囲:P.492 - P.494

ポイント

・腎臓の基本的機能は血清電解質濃度調節であり,腎臓機能が障害されると電解質異常が起こる.

・電解質異常には濃度異常と体内総量異常があり,濃度が正常でも体内に蓄積や欠乏が起こるときもある.

・高K血症は致死的不整脈を起こし,Ca,Pの異常は骨の異常をきたすので注意が必要である.

腎性貧血の治療

著者: 竹田陽子 ,   阿部貴弥 ,   深川雅史

ページ範囲:P.496 - P.498

ポイント

・血清クレアチニン値2mg/dl以上〔クレアチニンクリアランス(Ccr)20~35ml/分以下,糖尿病性腎症の場合Ccr 45ml/分以下〕の腎不全患者の貧血は腎性貧血も念頭に入れる.

・遺伝子組み換えヒトエリスロポエチン製剤(rHuEPO)は,貧血の改善効果のみならず残腎機能の保持作用などの数多くの有益な効果がある.

・効果的なrHuEPOの使用には,鉄の状態などの評価が必要である.

理解のための33題

ページ範囲:P.501 - P.506

問題1 次のうち誤っているのはどれか.
①微量アルブミン尿の検出は,糖尿病性腎症の早期診断に不可欠である.
②尿中NAG やβ2-ミクログロブリンは,尿細管障害の程度を知る指標である.
③血清シスタチンC の測定は,早期腎機能低下を速やかに知るために優れている.
④血清PSA の測定は,前立腺癌の確定診断に用いられる.

A:①,②,③

B:①,③

C:②,④

D:④のみ

E:①~④のすべて

問題2 わが国の慢性透析療法の現状について,正しい組み合わせはどれか.
① 新規透析導入患者の原因疾患の第1位は糖尿病である.
② 新規透析導入患者数(人口100万人対)が一番多いのは米国である.
③ 透析患者の生存率はわが国が世界一である.
④ 年度末患者数(人口100万人対)で一番多いのは米国である.
⑤ 年度末患者数で一番多いのは糖尿病である.

A:①,②,③

B:①,②,⑤

C:①,④,⑤

D:②,③,④

E:③,④,⑤

連載

目でみるトレーニング

著者: 福田耕一 ,   高田健治 ,   倉澤美和

ページ範囲:P.509 - P.514

問題 436

 症 例:23歳,女性.

 主 訴:咳嗽,呼吸困難.

 既往歴:虫垂炎.

 現病歴:2005年7月16日,朝より倦怠感があり,昼より悪心,乾性咳漱が出現,7月17日0時頃より呼吸困難が出現し,7月17日午前4時頃当院救急外来を受診した.7月初め頃より喫煙を始めている.

病理との付き合い方 明日から使える病理の基本【実践編】 2

下部消化管

著者: 武内英二

ページ範囲:P.517 - P.521

 下部消化管は空腸から直腸までを指すが,小腸と大腸とでは疾患の頻度や内容が大きく異なる.

 小腸はまず,大腸に比べて癌の発生頻度が圧倒的に低く,内視鏡が回腸末端までしか届かないことや,造影しづらいこともあり,日頃内科的には病理との接点は少ない.小腸の炎症性疾患で病理医が活躍することは剖検以外ではめったにない.外科的に頻度の高いのは小腸梗塞であり,壊死に陥った部分が切除される.小腸癌は頻度は低いが筆者は数年に一度遭遇する.悪性度が高く予後は期待できない.腺腫は空腸・回腸では無視できるほど低頻度である.癌腫より頻度が高いのは非上皮性の腫瘍である.代表的なものはmalignant lymphomaとgastrointestinal stromal tumor(GIST)であるが,leiomyoma,leiomyosarcoma,neurilemoma(schwannoma)なども発生する.

 大腸では,大腸癌がついにわが国で女性の癌死亡率のトップとなった.したがって,やはり最大の関心事は癌とその周辺ということになる.腫瘍性疾患では,粘膜に発生する腫瘍として,polyp状を呈する腺腫(adenoma)の頻度が上部消化管に比べてきわめて高く,さらに非腫瘍性のpolypの頻度も高いため,良悪性の鑑別に加え,腫瘍性か非腫瘍性かの鑑別も必要となる.さらに小腸と同様に粘膜以外に発生する非上皮性腫瘍も存在する.腫瘍性疾患のほかにもUC(ulcerative colitis)やCrohn病などの炎症性腸疾患(IBD:inflammatory bowel disease)の頻度が高く,これらの鑑別が問題となる.そういう意味では大腸は胃よりもバラエティーに富んでいるといえる.

医療事故を防ぐ! 対策を絵に描いた餅としないために 3

全体カンファレンスの試み

著者: 本村和久

ページ範囲:P.524 - P.526

 日常業務のなかで起こる医療事故,本来なら問題の大きさによらず,すべてのケースを詳細に検討し,病院全体で共有すべきであるが,超過勤務,過労が大きな問題となっている医療従事者の現状では,効率よく問題の解決に当たる必要がある.また,時間を割いて事故を解析しても結果が共有され,問題解決に向かわなければ意味がない.情報共有,問題解決に向けての一つの試みが,医師,看護師を中心に病院すべての職員を対象に行う全体カンファレンスである.頻回に行えるものではないが,医療事故を防ぐ文化を創るには有効な方法と考える.当院では,年に3回程度の医療事故に関する全体カンファレンス(同様の試みは文献1,2を参考のこと)を行っている.一例をご紹介したい.

全体カンファレンスの実際

沖縄県立中部病院での実施例から

 医療安全管理委員会の主催で全体カンファレンスを企画した.今回のカンファレンスは後期研修医中心での運営である.研修医の提案で,実際に起こった事例を寸劇にアレンジして,その感想をグループ討議する企画となった.時間は朝7時30分~8時30分の1時間,場所は100名収容できる大会議室,テーブルを12台用意,各席に指導医,研修医,医学生,看護師が均等に振り分けるようにした.

研修おたく海を渡る 3

Retreat② みんなできがいいわけじゃない

著者: 白井敬祐

ページ範囲:P.527 - P.527

「インターンをどう教えるか,扱うか?」

 これが2年目になってすぐのRetreat(注1)のテーマでした.

 「インターンは,レジデントがうまく入院患者をmanageするための重要な戦力,チームの一員です.知識が豊富でefficientなインターンが自分の下についたらluckyだと思いなさい.あとはインターンに思う存分働いてもらいましょう.問題は,できの悪い,あるいは難しいインターンを持ったときにどうするかです」と冒頭にテーマの説明がありました.

基本情報

medicina

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1189

印刷版ISSN 0025-7699

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特集 抗菌薬をアップデートせよ!—耐性菌に立ち向かう! 適正化の手法から新薬の使い分けまで

56巻6号(2019年5月発行)

特集 糖尿病診療の“Q”—現場の疑問に答えます

56巻5号(2019年4月発行)

特集 しまった!日常診療のリアルから学ぶ—エラー症例問題集

56巻4号(2019年4月発行)

増刊号 一人でも慌てない!—「こんなときどうする?」の処方箋85

56巻3号(2019年3月発行)

特集 TPOで読み解く心電図

56巻2号(2019年2月発行)

特集 抗血栓療法のジレンマ—予防すべきは血栓か,出血か?

56巻1号(2019年1月発行)

特集 枠組みとケースから考える—消化器薬の選び方・使い方

55巻13号(2018年12月発行)

特集 これからの心不全診療への最新アプローチ—予防からチーム医療・先進医療まで

55巻12号(2018年11月発行)

特集 内科医のための「ちょいあて」エコー—POCUSのススメ

55巻11号(2018年10月発行)

特集 どんとこい! 内科医が支える—エンド・オブ・ライフ

55巻10号(2018年9月発行)

特集 クリティカル・ケアを極める—一歩進んだ総合内科医を目指して

55巻9号(2018年8月発行)

特集 もっともっとフィジカル!—黒帯級の技とパール

55巻8号(2018年7月発行)

特集 血液疾患を見逃さないために—プライマリ・ケアと専門医コンサルトのタイミング

55巻7号(2018年6月発行)

特集 ここさえ分かれば—輸液・水・電解質

55巻6号(2018年5月発行)

特集 プロブレムから学ぶ感染症診療—すぐに役立つ厳選シナリオ30選

55巻5号(2018年4月発行)

特集 明日のために解くべし!—総合内科問題集

55巻4号(2018年4月発行)

増刊号 プライマリ・ケアでおさえておきたい—重要薬・頻用薬

55巻3号(2018年3月発行)

特集 —クリニカル・クエスチョンで学ぶ—循環器薬の使い方

55巻2号(2018年2月発行)

特集 —デキる内科医の—神経内科コンサルト

55巻1号(2018年1月発行)

特集 気管支喘息・COPD診療に強くなる

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