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文献詳細

雑誌文献

medicina43巻6号

2006年06月発行

文献概要

医療事故を防ぐ! 対策を絵に描いた餅としないために 6

倫理について考える─問題共有の方法論

著者: 本村和久1

所属機関: 1王子生協病院 内科

ページ範囲:P.1046 - P.1049

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 医療の技術的な問題を解決するうえで,コミュニケーションが重要であるといままで書いてきたが,ここでは,倫理的問題に関するリスクマネジメントについて考えてみたい.

倫理的な問題とは?

 患者さんを診るうえで,倫理的な問題は常に考える必要性を感じている.食事がしっかりとれるウイルス性上気道炎の患者さんが点滴を希望されたときにどうするのか,といったような外来レベルの問題も,患者さんの背景を含め,医学的判断だけでないさまざまな問題を含む倫理的な問題といえると思う.しかし,端的に倫理的な問題に直面するのは,「人の生き死に」に関することだろう.もともと元気な方が路上で倒れて,心肺停止になるケースもあるだろうし,予後が1カ月とわかっている,意思表示のはっきりできる担癌患者さんが自宅で死を選ぶケースや,認知症で寝たきりの患者さんをどう看取るか悩むケースまで,その判断は多種多様である.

参考文献

1)例えば,2006年03月26日 朝日新聞:「医師の独断」問題視,家族同意「文書ない」 病院会見
2)医師数の統計は世界保健機関のホームページ参照World Health Statistics 2005 http://www.who.int/
3)患者の人格権侵害による不法行為責任,説明義務違反の判例については 最高裁第三小法廷判決 平成12年2月29日 判タ1031号158-161頁
4)尊厳死に関する具体的な法案化については「尊厳死法制化を考える議員連盟」(会長・中山太郎衆院議員)の動きがある.反対意見としては『不動する身体と息する機械』立石真也 医学書院 2004年
5)『臨床倫理学』Albert R. Jonsenら 赤林朗 大井玄 監訳 新興医学出版社 221ページ 1997年(具体的な議論は,白浜医師のホームページ http://square.umin.ac.jp/masashiに詳しい).
6)薬事法の規定に基づく省令において,実施医療機関ごとに一つの治験審査委員会を設置しなければならないこととされている.倫理委員会と治験審査委員会との役割は分けている医療機関とひとつの委員会になっている医療機関がある.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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