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文献詳細

雑誌文献

medicina43巻7号

2006年07月発行

文献概要

医療事故を防ぐ! 対策を絵に描いた餅としないために 7

インスリンを上手に使おう

著者: 本村和久1

所属機関: 1王子生協病院内科

ページ範囲:P.1233 - P.1235

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インスリン使用の現状

 血糖コントロールのためのインスリンの使用法は,医師によってさまざまである.患者さんの病態に応じて使い分けているのが主な理由であると思うが,低血糖,高血糖などの緊急時インスリン使用についても,慢性期の同じような病態(中心静脈栄養時など)でもばらつきがあり,複雑な指示を受ける看護師は大変である.業務が複雑だと医療事故につながる.医師のわかりにくい指示で害を被るのは患者さんである.例えば,下記のような事例であろうか.

ある問題ケース

 患者さん65歳男性,糖尿病歴15年,HbA1cが8.0とコントロールは悪い.今回,細菌性肺炎で入院,指導医は感染症があると血糖コントロールが不良になると考え,スライディングスケールを研修医に指示,1日3回の血糖測定を行うことになった.血糖は300前後と高かったが,研修医は「血糖300mg/dlで速効性インスリン2単位皮下注」のような甘い基準のスライディングスケールを使用した.血糖はコントロールされず,指導医の回診で厳格なスライディングスケールを使用したところ患者さんは低血糖に.また,新たなスライディングスケールを使用したが,この指示を看護師が勘違い,最初のスライディングスケールが使用され,患者さんの血糖はまた300台に後戻りした.

参考文献

1)http://www.mh.nagasaki-u.ac.jp/safe/0407insgl.pdf
2)Donihi AC, DiNardo MM, DeVita MA, Korytkowski MT:Use of a standardized protocol to decrease medication errors and adverse event s related to sliding scale insul MG in. Qual Saf Health Care 15:89-19, 2006
3)Hellman R:A systems approach to reducing errors in insulin therapy in the inpatient setting. Endocr Pract 10 Suppl 2:100-108, 2004

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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