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文献概要
医療事故を防ぐ! 対策を絵に描いた餅としないために 9
中心静脈カテーテル挿入
著者: 本村和久1
所属機関: 1王子生協病院内科
ページ範囲:P.1626 - P.1628
文献購入ページに移動 今回は中心静脈カテーテル挿入について述べたい.筆者自身が研修医のときに,この手技で大きなトラブル(頸動脈穿刺→出血→上気道閉塞)を起こしたことがある.私だけでなく,同僚,研修医が,同じ間違いを繰り返さないためには,どうしたらよいのか,医療安全を考える大きなきっかけとなった.実際に病院内でマニュアル作成を行うことにもなった1).私がトラブルを起こした当時は,まだ医療安全に注目した日本語で書かれたマニュアルは多くなかったように思えた(海外の文献を取り寄せて学習した)が,いまは,文献に挙げるように,中心静脈カテーテル挿入に関する優れたマニュアル,文書が,インターネット上で簡単に手に入る.また,視覚に訴えたわかりやすい教材もある.紙面は限られており,詳細は,ぜひそれらを参照していただきたい2~4).
私の間違い
私の個人的な経験から述べたい.高齢,人工透析中の女性,私が病棟主治医だった.虚血性腸炎の精査加療入院,大腸内視鏡後の大腸穿孔で,禁食,中心静脈栄養開始,発熱でカテーテル感染が疑われ,一度は抜去となったが,経口摂取できず,内頸静脈への再挿入でのことだった.指導医の介助のもと,エコーを使用しながらも,頸動脈を誤って穿刺してしまった.きちんとエコーをみて,針先を確認できていなかったのが原因だった.圧迫止血したつもりで,内頸静脈へのカテーテル確保はできたのだが,頸動脈穿刺→出血→上気道閉塞の状態となり,緊急気管内挿管,一命はとりとめ,一旦病状は回復傾向にあったが,敗血症を合併,死亡された.
私の間違い
私の個人的な経験から述べたい.高齢,人工透析中の女性,私が病棟主治医だった.虚血性腸炎の精査加療入院,大腸内視鏡後の大腸穿孔で,禁食,中心静脈栄養開始,発熱でカテーテル感染が疑われ,一度は抜去となったが,経口摂取できず,内頸静脈への再挿入でのことだった.指導医の介助のもと,エコーを使用しながらも,頸動脈を誤って穿刺してしまった.きちんとエコーをみて,針先を確認できていなかったのが原因だった.圧迫止血したつもりで,内頸静脈へのカテーテル確保はできたのだが,頸動脈穿刺→出血→上気道閉塞の状態となり,緊急気管内挿管,一命はとりとめ,一旦病状は回復傾向にあったが,敗血症を合併,死亡された.
参考文献
1)沖縄県立中部病院医療安全管理委員会・臨床研修委員会編:手技マニュアル 第一版,2005年3月18日
2)www.med.nagoya-u.ac.jp/anesth/cv/ 名大病院CVマニュアル:動画もあり大変わかりやすい.マニュアル本文には,エコーの画像もわかりやすく図示されている.
3)http://med-econ.umin.ac.jp/EBM-Safety/index.html京都大学大学院医学研究科医療経済学教室(訳):医療安全のエビデンス:患者を守る実践方策.http://www.ahcpr.gov/clinic/ptsafety/ の日本語訳である.いわゆるエビデンスが豊富な資料であり,まずは一読されてはと思う.
4)http://mhlw-grants.niph.go.jp/kosyu/2002/200251040005.pdf観血的診療に対する患者安全方策の導入─中心静脈カテーテル(CVC)留意関連項目を例とした問題点2)の要点をまとめたものである.2ページと読みやすい.
5)Hind D, et al:Ultrasonic locating devices for central venous cannulation;meta-analysis. BMJ 327:361, 2003
6)Shah PM, et al:Arterial misplacement of large-caliber cannulas during jugular vein catheterization;Case for surgical management. J Am Coll Surg 198:939-944, 2004
7)Schug CB, Culhane DE, Knopp RK:Subclavian vein catheterization in the emergency department;A comparison of guidewire and nonguidewire techniques.Ann Emerg Med 15:769-773, 1986
8)Kraman SS, et al:John M. Eisenberg Patient Safety Awards. Advocacy;the Lexington Veterans Affairs Medical Center. Jt Comm J Qual Improv 28:646-650, 2002
9)http://www.ptcommunity.com/ptjournal/fulltext/30/3/PTJ3003143. pdf Full and Timely Disclosure of Errors To Patients;Honesty Is the Best Policy Matthew Grissinger P&T March 2005
10)和田仁孝,前田正一:医療紛争-メディカルコンフリクトマネジメントの提案.医学書院,2001
掲載誌情報