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文献詳細

雑誌文献

medicina44巻12号

2007年11月発行

特集 一般医のためのエコー活用法

Ⅲ.心臓 病態の評価

同期異常

著者: 古堅あずさ1

所属機関: 1東京女子医科大学循環器内科

ページ範囲:P.152 - P.156

文献概要

 重症慢性心不全患者の約20~40%では,心電図にてQRS幅≧130ms,すなわち心室内伝導障害を認められることが知られている.これは独立した予後規定因子であり,QRS幅拡大の程度と予後は相関する.心室内伝導障害を有する症例に対し,血行動態の改善を得る治療として心臓再同期療法(cardiac resynchronization therapy:CRT)が注目されるようになり,多くの臨床試験によりCRTによる予後改善効果が報告され,現在では重症心不全に対する治療戦略において重要な選択枝の1つとなった1).しかし一方で,現在のQRS幅による適応基準では約30%の症例に治療効果を認めないことも指摘されている2).QRS幅による電気的同期不全よりも機械的同期不全(mechanical dyssynchrony)の存在が重要であることが知られるようになり,この評価において心エコーは重要な役割を果たしている.心不全患者診察の際には,“同期不全(同期異常)”の存在にも注意しながら病態を評価し,治療方法の選択をすることが重要である.

参考文献

1) 松田直樹:心不全の再同期療法.呼吸と循環 51:1229-1240,2003
2) Abraham WT, et al:Cardiac resynchronization in chronic heart failure. N Engl J Med 346:1845-1853, 2002
3) 松田直樹:重症心不全におけるペーシング療法.日内会雑誌 94:290-296,2005
4) Suffoletto MS, et al:Novel Speckle-Tracking Radial Strain From Routine Black-and-White Echocardiographic Images to Quantify Dyssynchrony and Predict Response to Cardiac Resynchronization Therapy. Circulation 113:960-968, 2006
5) Cleland JG, et al:The effect of cardiac resynchronization on morbidity and mortality in heart failure. N Engl J Med 352:1539-1549, 2005

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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