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特集 一般医のためのエコー活用法 Ⅳ.腹部 臓器からみた腹部エコー
膵臓
著者: 水口安則1
所属機関: 1国立がんセンター中央病院臨床検査部
ページ範囲:P.286 - P.294
文献購入ページに移動■膵の解剖
膵は胃の背側の後腹膜に位置する臓器である.その右側は十二指腸内側縁に接し,やや左上がりに横走し,左側は脾門部に接している長い臓器である(図1).膵癌取扱い規約1)により,膵は3つの部位に分けられる.すなわち,膵頭部は門脈・上腸間膜静脈の左側縁までとされている.膵頸部(門脈・上腸間膜静脈の前面の膵)と膵鉤部は,膵頭部に含まれる.膵体部と尾部の境界は,膵頭部を除いた尾側膵を2等分する線とされている.
ここで十分に認識しておかなければならないことは,膵体尾部が水平断方向またはやや左上がり方向にかなり長いということとともに,膵頭部も矢状断方向に意外と長く存在することである.この認識が不十分な場合,膵尾部,膵鉤部と同様に,膵頭部,特に十二指腸水平脚に接する膵頭部足側端が超音波検査の際の盲点となりうる.言い換えれば,膵頭部が矢状断方向に長いということを十分認識していれば,同部位の病変を見落す可能性は低くなる.異常がない膵の実質エコーレベルは,肝と比較しほぼ等エコーか高エコーを呈する.高齢者,糖尿病や慢性膵炎がある場合は,特に膵実質エコーレベルが上昇しているので,膵の同定が困難となる.しかし,「膵がない」わけではない.解剖学的な膵の存在位置と周囲脈管との関係をよく理解して膵を同定する必要がある.
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