icon fsr

文献詳細

雑誌文献

medicina44巻12号

2007年11月発行

文献概要

特集 一般医のためのエコー活用法 Ⅳ.腹部 臓器からみた腹部エコー

膵臓

著者: 水口安則1

所属機関: 1国立がんセンター中央病院臨床検査部

ページ範囲:P.286 - P.294

文献購入ページに移動
解剖と検査法

■膵の解剖

 膵は胃の背側の後腹膜に位置する臓器である.その右側は十二指腸内側縁に接し,やや左上がりに横走し,左側は脾門部に接している長い臓器である(図1).膵癌取扱い規約1)により,膵は3つの部位に分けられる.すなわち,膵頭部は門脈・上腸間膜静脈の左側縁までとされている.膵頸部(門脈・上腸間膜静脈の前面の膵)と膵鉤部は,膵頭部に含まれる.膵体部と尾部の境界は,膵頭部を除いた尾側膵を2等分する線とされている.

 ここで十分に認識しておかなければならないことは,膵体尾部が水平断方向またはやや左上がり方向にかなり長いということとともに,膵頭部も矢状断方向に意外と長く存在することである.この認識が不十分な場合,膵尾部,膵鉤部と同様に,膵頭部,特に十二指腸水平脚に接する膵頭部足側端が超音波検査の際の盲点となりうる.言い換えれば,膵頭部が矢状断方向に長いということを十分認識していれば,同部位の病変を見落す可能性は低くなる.異常がない膵の実質エコーレベルは,肝と比較しほぼ等エコーか高エコーを呈する.高齢者,糖尿病や慢性膵炎がある場合は,特に膵実質エコーレベルが上昇しているので,膵の同定が困難となる.しかし,「膵がない」わけではない.解剖学的な膵の存在位置と周囲脈管との関係をよく理解して膵を同定する必要がある.

参考文献

1) 日本膵臓学会(編):膵癌取扱い規約,第5版,金原出版,2002
2) 秋本 伸:4.膵臓1.正常像,日本超音波医学会(編):新超音波医学 2,pp134-141,医学書院,2000
3) 鶴岡尚志,他:体位変換による膵体尾部病変描出能の検討―膵囊胞性病変を利用して.超音波検査技術 31:4-8,2005
4) 水口安則:肝胆膵領域におけるDifferential THIの有用性.映像情報 38:552-557,2006
5) 膵癌登録委員会:日本膵臓学会膵癌登録 20年間の総括.膵臓 18:101-169,2003

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら