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文献詳細

雑誌文献

medicina44巻12号

2007年11月発行

文献概要

特集 一般医のためのエコー活用法 Ⅳ.腹部 臓器からみた腹部エコー

脾臓

著者: 辻本文雄1

所属機関: 1聖マリアンナ医科大学超音波センター

ページ範囲:P.295 - P.305

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解剖と走査法

 脾は左横隔膜下で左第8~11肋骨の直下にある赤紫色の柔らかい臓器である.中胚葉由来の臓器で,原基は胎生第5週に背側胃間膜の左側に出現し,13~14週で胃壁より独立した器官となる.したがって,脾動脈より分枝する短胃動脈と左胃大網動脈は胃脾間膜を走行し,胃と大網に向かう.脾内側には膵尾部,左腎上極とその腹側に存在する大腸脾彎曲部が接し,上部前面には胃底部が接する(図1).脾腫がない限り左肋骨弓より尾側に存在せず,体表より触れない.通常,第9~10肋間からの走査で描出される.大きさは,長さ12cm,幅7.5cm,厚さ5cm程度であり,重量100~150gで,6~20歳台で脾は最大となる.言い換えると,脾は小児期で最大の大きさになり,成人以降は萎縮する.通常,脾腫は約2倍の重量で,250gを超える場合を指すが,この定義には加齢に伴う萎縮は考慮されていない.spleen indexと呼ばれ,古賀ら1)の報告以来,さまざまな脾の大きさを測る方法が知られているが,筆者は最も簡便な方法として斜径を測る以外,spleen indexは不要と考える(図2,3).脾の計測法はいずれも成人例であるが,やはり加齢に伴う脾の萎縮が全く考慮されていないため,中年以降の軽度脾腫の判定には役立たない.中年以降の例では,脾門部で斜径を測るとき,たとえ斜径が10cm以下であっても,このラインより尾側に凸であれば,すなわち丸みがあれば,脾腫と判定できる3)

参考文献

1) 古賀 孝,他:肝疾患における脾の超音波断層法による定量化に関する研究.肝臓 13:412-420,1972
2) 三浦 融,他:コンベックス型探触子を用いた脾臓の描出および計測.第44回日本超音波医学会論文集,pp389-390,1984
3) 辻本文雄:超音波医学辞典.pp263-264,秀潤社,2000
4) 辻本文雄:誤診しないための腹部超音波診断の進め方.綜合臨牀 55:2544-2550,2006
5) Rose V, Izukawa T, Mose CAF:Syndromes of asplenia and polysplenia. Br Heart J 37:840-852, 1975
6) Moller JH, et al:Congenital cardiac disease associated with polysplenia;A developmental complex of bilateral "left-sidedness". Circulation 36:789-804, 1967
7) 森澤健一郎,箕輪良行:救急医が放射線科医へ希望すること―外傷初期診療におけるガイドライン.日獨医報 51:13-19,2006
8) Miller JH,Greenfield LD, Wald BR:Candidiasis of the liver and spleen in childhood. Radiology 142:375-380, 1982
9) Pastakia B, et al:Hepatosplenic candidiasis;Wheels within wheels. Radiology 166:417-421, 1988

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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