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特集 一般医のためのエコー活用法 Ⅳ.腹部 臓器からみた腹部エコー
脾臓
著者: 辻本文雄1
所属機関: 1聖マリアンナ医科大学超音波センター
ページ範囲:P.295 - P.305
文献購入ページに移動脾は左横隔膜下で左第8~11肋骨の直下にある赤紫色の柔らかい臓器である.中胚葉由来の臓器で,原基は胎生第5週に背側胃間膜の左側に出現し,13~14週で胃壁より独立した器官となる.したがって,脾動脈より分枝する短胃動脈と左胃大網動脈は胃脾間膜を走行し,胃と大網に向かう.脾内側には膵尾部,左腎上極とその腹側に存在する大腸脾彎曲部が接し,上部前面には胃底部が接する(図1).脾腫がない限り左肋骨弓より尾側に存在せず,体表より触れない.通常,第9~10肋間からの走査で描出される.大きさは,長さ12cm,幅7.5cm,厚さ5cm程度であり,重量100~150gで,6~20歳台で脾は最大となる.言い換えると,脾は小児期で最大の大きさになり,成人以降は萎縮する.通常,脾腫は約2倍の重量で,250gを超える場合を指すが,この定義には加齢に伴う萎縮は考慮されていない.spleen indexと呼ばれ,古賀ら1)の報告以来,さまざまな脾の大きさを測る方法が知られているが,筆者は最も簡便な方法として斜径を測る以外,spleen indexは不要と考える(図2,3).脾の計測法はいずれも成人例であるが,やはり加齢に伴う脾の萎縮が全く考慮されていないため,中年以降の軽度脾腫の判定には役立たない.中年以降の例では,脾門部で斜径を測るとき,たとえ斜径が10cm以下であっても,このラインより尾側に凸であれば,すなわち丸みがあれば,脾腫と判定できる3).
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