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特集 一般医のためのエコー活用法 Ⅳ.腹部 臓器からみた腹部エコー
腎臓
著者: 宮本幸夫12
所属機関: 1東京慈恵会医科大学放射線医学講座 2東京慈恵会医科大学附属病院超音波診断センター
ページ範囲:P.306 - P.314
文献購入ページに移動正常腎実質の超音波像は,ドーナッツ状の充実性組織として描出される(図1).腎皮質のエコーレベルは肝実質よりもやや低く描出される.新生児の場合は肝と同程度のエコーレベルを呈することが多く,生後4カ月でほぼ成人と等しくなる.腎髄質は,皮質よりもさらに低いエコーレベルを呈する逆三角形の構造として描出される.皮質厚は通常6~12mm程度であり,髄質は皮質の2倍強程度の厚みを有する.腎洞の脂肪より生ずるサイドローブによるアーチファクトやスライス幅によるアーチファクトなどにより,腎洞に面した腎円錐の先端部はきわめて不明瞭となるため,髄質厚は皮質厚とほぼ同程度の大きさで描出される.なお,皮髄境界部には数条の弓状動静脈が走行するため,超音波像では同部にしばしば高輝度の線状エコーを認める.
腎実質に囲まれた高輝度の充実性構造物はcentral echo complex(CEC)やcentral echoesなどと呼ばれ,腎盂,腎杯,腎動静脈,脂肪沈着を伴う腎洞などの複合エコーより構成される.水腎症などの場合は,CEC内に拡張した腎盂・腎杯が明瞭にとらえられる.なお,腎内の静脈の拡張を超音波像では軽度の水腎症と誤診することがある.鑑別にはカラードプラが有効であるが,Bモードであっても,丹念に脈管の走行を追うことで,ある程度鑑別することが可能である.
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