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特集 一般医のためのエコー活用法 Ⅳ.腹部 状況からみた腹部エコー
急性腹症
著者: 佐藤通洋1
所属機関: 1済生会横浜市東部病院放射線診断科
ページ範囲:P.360 - P.366
文献購入ページに移動 腹痛は内臓痛,体性痛,関連痛に分けられる.急性虫垂炎でみられる心窩部から始まり右下腹部に限局してくる腹痛が,まさに内臓痛と体性痛である.内臓痛は管腔臓器の平滑筋の強い収縮や伸展,実質臓器の急激な腫脹による被膜や臓側腹膜の伸展などによる局在の不明瞭な心窩部や臍部の間欠的鈍痛である.体性痛は局所のさまざまな因子による直接刺激で起こる持続性の鋭い痛みである.したがって,内臓痛の時期には腹部全体を走査する必要がある.実際に,心窩部痛の患者で腫大した虫垂を描出することがある.また,腹痛の程度や性質は疾患の推測に役立つので,検査中の患者との対話は大事である.
参考文献
1) 横井 一,川原田嘉文:腹痛の発生機序.カレントテラピー 17:34-38,1999
2) 佐藤通洋:救急消化管疾患の超音波検査.臨床画像 15:142-153,1999
3) 佐藤通洋:エコー(胸部,腹部).日本救急医学会(監修):救急研修標準テキスト,pp52-57,医学書院,2005
4) 佐藤通洋:急性腹症.診断と治療 94:1376-1381,2006
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